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今、この瞬間も”人生”だ──『今日の人生』益田ミリ
ぼぉっとした状態で本を選ぶとき、やっぱり知っている名前の方に自然と視線が向かう。
益田ミリさんの『今日の人生』という本を手に取って、そんなことを考えていた。
それもまた、私の今日の人生。
◇
普段、何気なく過ごしている私たちは気にも留めていないけれど、”私”が過ごした時間は私だけのものだ。
なーんのこっちゃ、と思う気持ちも分かる。
だって、私もこの本を読むまでは本気でなーんのこっちゃ、としか思えなかったから。
『今日の人生』というタイトルが示しているように、この本は益田ミリさんの”人生”そのものがギュギュっと詰まっている。
そこにあるのは、やわらかーいタッチのマンガと、胸にじんわり優しく刺さるようなエッセイ。ひとつひとつが、生きているのだ。
現在進行形で生きているからこその温かみを感じられるこの作品が、「今、こうして本を読んでいるのも私の人生だ」と感じさせてくれた。
◇
ミリさんは、とにかくかわいい。
自分で書いた「夕刊」の文字を「タモリ」と見間違えたり、よく見るとタイトルの手書き文字がバリエーション豊かだったり。
「なんてかわいらしい方なんだろう!」
と読んでいて何度も笑みをこぼした。ミリさんのかわいいイラストも相まって、かわいらしさが爆発していた。
マンガの合間にあった、ミリさんのペンネームの由来が書かれたエッセイは、特に印象に残っている。
わたしのペンネームの「ミリ」は、実は手塚作品の中からつけられた。
誰かの”好き”が詰まった名前を見聞きすると、なんだかこっちまで胸がときめく。嬉しさみたいなものが伝わる気がしてならない。
私は誰かの名前の由来を見聞きするのが好きなので、うっはぁ!と興奮しながらこの部分を読んでいた。
◇
もちろん、この本の魅力はかわいらしいさだけではない。
最初読んだときは気付かなかったけれど、ページを開いてすぐのお父様とのエピソードは、実は後半に差し掛かる部分の伏線になっていたりもする。
詳しくは実際に読んでみてほしいので詳細は書かないけれど、それこそ”人生”を肌で感じた部分だった。
5コマに渡って描かれたミリさんの言葉も、忘れられない。
わたしの、わたしの人生に降りかかってくる面倒なできごとすべて作品に昇華してみせると、改めて思った今日の人生
ハッとした。
私はこれを、頭の片隅に置いていても実行できた試しがないからだ。ビビって書くことをやめた出来事が、わんさかある。
それも私の選択=人生に変わりはないけれど、私はもっと”私”を生きたい。
忘れていたというよりも、見て見ぬふりをしていた。けれど私も、色んな感情を作品に昇華させていきたい。
◇
この本を読むと、何かに気付いたり、ふっと笑ったり、共感しまくったり、ほろりときたり、色々な感情をゆるーく味わえる。
最近お疲れ気味のあなたに、ふんわりと届いてほしい一冊でした。
楽しんでいただけたなら何よりです!