猫と針
恩田陸 2011年
・感想
前週に引き続き、恩田陸さんの作品を読了しました。こちらも図書館で借りてきたものです。
この話を読んで感じたことは、良くも悪くも「人はその人がいないときに、その人の話をする。」ということです。亡くなった友人を偲ぶ5人が、その人の生前の姿や、その人との出来事を振り返って懐かしんだりしている様子が綴られています。一方、その人がいない状態で、その人に対して、自分が勝手に作ったイメージだけで周りに語ったり、普段のその人に対する鬱憤から陰口を言ってしまったりと、無責任で残酷なことを言っている5人の様子も綴られています。そんな5人の姿を追っていると、普段の自分にも言える事なのではないかと、「はっ!」と気づくことの出来る作品だと感じました。
これは考えてみると奥が深いですよね。その場に自分がいなくて、自分の話をされていることは…。時に懐かしんだりしているような嬉しいものから、あまり聞きたくないと思う陰口まで。話のネタになる側に立って考えてみると、「ちょっと、どうなの?」と思うところがあります。
私も、人生で言う側も言われる側も、何度も経験しています。改めて考えてみると、「人の陰口は、言うもんじゃないな」と考えさせられました。
「主役はこの場にはいない友人で、私たち5人は脇役だ。」というある部分の台詞を目にして、「まるで舞台みたいだなぁ」と感じました。
この話は、実際、過去に舞台化されたこともあったようで、作品の一番最後の方には、舞台準備をする恩田さんの日記が綴られていました。舞台化にあたって、自分が執筆したものが、受け入れられるのかを心配そうにする筆者の姿が綴られていました。あれだけの作品を世に送り出してきた作家さんでも、そういうプレッシャーを感じる事もあるんだなぁと感じました。
この作品の舞台、もし今後再公演されたりする予定があるならば、興味があるので観に行きたいですね。
さて、前週に引き続き恩田さんの作品を紹介いたしました。この作家さん、「やっぱり読んでよかったなぁ。」と感じております。コメントで他の作品を教えてくださった皆さんありがとうございました。今後、図書館や書店などで探してみたいと思います😊
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