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EPITAPH東京

恩田陸 2015年

・あらすじ
東日本大震災を経て、刻々と変貌していく《東京》を舞台にした戯曲『エピタフ東京』を書きあぐねている“筆者”は、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが……。スピンオフ小説「悪い春」を特別収録。

・感想
恩田陸さん、これで3作目です。今回も、図書館で借りてきました。

この作品は"筆者"が戯曲を書くために東京のあちこちを訪れたりしながら、時代とともに移り変わる街に想いを馳せる小説です。小説といっていますが、エッセイ寄りの小説のような感じでしたね。

都市は、時代とともに移り変わります。それにつれて、再開発されて街が大幅に変わったりする様子が描かれていました。高度経済成長期、バブル、震災、二度目のオリンピック、これだけでも半世紀以上が経ち、かつての姿は殆ど、失われてしまいます。

後半の方で、二度目の東京オリンピックの誘致が決まった時の場面があります。”筆者”は、「また昔の姿が失われてしまうなぁ」とテレビを見ながら感じているわけですが、時代のニーズに合わせて安全性や機能性に優れた建物に建替えたりすることは、しょうがないことです。日本は地震も多いですから。しかし、「出来ることなら、変えないでほしい。慣れ親しんだ昔の姿のままであってほしい。」と感じるのは、人間の本能ではないでしょうか。私自身も、小さい頃から慣れ親しんだ場所が、解体されて無くなることになったときに、このままであってほしいと感じたものです。

都市の移り変わり、それは時代が移り変わる以上どうにもならないことです。今の生活を大切にすることや、写真を撮っておくことが必要だと感じました。(今度、今住んでいる家の写真でも撮っておこうかな…。引っ越したら同じことだし。)

今回は、ちょっと、話の全体像をうまく掴めなかったような気もしています…。

次は『蜜蜂と遠雷』や『夜のピクニック』でも読もうかな🤔

・書籍情報
第1刷発行:2018年4月30日
発行元:朝日新聞出版
定価:本体640円+税
備考
本書は朝日新聞出版より2015年3月に刊行された『EPITAPH東京』、および2016年1月に刊行されたアンソロジー文庫『20の短編小説』所収の「悪い春」を収録したものである。

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