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たわいもないショートストーリー

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神様ちゃうぞ〜ユウジ ノ色彩

神様ちゃうぞ〜ユウジ ノ色彩

「俺、そろそろ帰るわ」
23時過ぎ、ニシノが腰を浮かした。
ニシノの部屋で男子4人で飲んでいたのだが
帰る、とは、ニシノの彼女の家へ、という意味だ。
家主が家を出る、というのだから自ずと飲み会はお開きになる。
どのみち、自分も終電に間に合うように移動するにはこの時間に切り上げるのが正解だ。
後の2人は自転車の距離なのでニシノのアパートの下で解散し、ユウジはニシノと駅まで歩いた。

ニシノの彼女はユ

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穴を埋める〜ケイイチ ノ色彩

穴を埋める〜ケイイチ ノ色彩

妻が浮気をしているっぽい。

こういう考えが一度でも浮かぶと全てが疑わしくなる。
そんな病にケイイチは冒されていた。

二度目の育児休暇を終えて職場復帰した妻は、ケイイチとのイーブンな育児・家事分担を盾に飲み会で夜遅く帰ってきたり、ケイイチの前では決して着ないような服を買ったり、ケイイチがあまり好きではないキツめのコロンをつけたりするようになった。

ケイイチと顔を合わせる妻は無表情か怪訝な顔をし

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水族館~ミワ ノ色彩

水族館~ミワ ノ色彩

ミワは付き合った男のほとんどと水族館にいっている。
ミワは水族館が好きだった。
好きな場所に好きな男と行きたい、と思い誘うと
水族館はデートのお決まりコースだからか、みな付き合ってくれた。

ペンギンのコーナーでかわいらしい反応をしてみたり
時々はイルカのショーなどで水しぶきをあびて声をあげたりもするけど
一番好きなのは深海のコーナー。
そしてその水族館で一番大きな水槽。
薄暗い水槽を前にして、た

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