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鏡×IoTのスマートミラー「ミラーロイド」、導入店舗は増えるか?

こんにちは、思考力特訓中の恩田です。

本日は、以下記事を取り上げます。

池袋東口にloT「ミラーロイド」を導入した新しいスタイルのメンズ専門バーバーサロンがオープンするそうです。

・ミラーロイドとは店舗の鏡をスマートミラー(Android OSを搭載した鏡)にすることで、鏡に映し出される映像や付属するカメラを使って、鏡上でヘアカタログを閲覧できたり、撮影した顔写真でヘアシミュレーションを行ったり、動画視聴ができる

・専用のスマホアプリをダウンロードすることで、過去の髪型の履歴を保存でき、次回来店時に活用することだって可能

・記事執筆時点では、ミラーロイドは全国の美容室に70店舗200台以上導入されている

今回の記事はメンズサロン(理容室)ですが、これまでは美容室メインで導入が進んでいたようです。


本製品の一番の特徴は、

「撮影した顔写真でヘアシミュレーション」

こんな感じに

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これまで言葉や雑誌(写真)でイメージを伝えていましたが、上手く伝わらず、自分がイメージしていた仕上がりとは程遠いなんてことも多々。

そんなコミュニケーションのミスマッチをミラーロイドで防げる。

何か良さげそうですね。


それではここからシンキング!

このミラーロイド、

「今後、導入する理美容室は増えるか?(1年後にはどれくらい?)」

を考えていきたいと思います。


1.顧客満足度は高まるか?

まず、この問題を考える上で、ミラーロイドにとっての顧客は、

・理美容室(理美容師)

・理美容室に来店するお客様

の2者が存在します。

ミラーロイドを購入するのは理美容室ですが、何のために購入するかと言えば、来店するお客様の満足度向上のため。

満足度向上による売上増。

となると、美容室の売り上げ増の要因を考える必要がありますが、KPIに分解すると、

「単価×客数×来店頻度」

ミラーロイドによって、それぞれの指標の増加が見込めれば導入の価値はありです。

どうでしょう?


①単価

美容室のサービスにミラーロイドのヘアシュミレーションが付加され、そのこと事態が単価アップに直結するか?

例えば現在のカット料金が4,500円だとします。

これをミラーロイドでシュミレーションできるからという理由で5,000円に値上げ。

この値上げを顧客が受け入れるか?

これを考える上で、顧客が美容院や理容院、理・美容師に対価を払う、そのお店を選択する決め手は何か?を考える必要があります。

人それぞれでしょうが、

例えば、

「家から近い」
「料金が安い」
「カットやパーマの仕上がりに満足」
「理・美容師さんとの会話が楽しい」
「常連なので説明が不要」
「その空間・時間の居心地の良さ」

などなど。

この中で、ミラーロイドの導入により影響がありそうなのは、

「仕上がりに満足」

ヘアシュミレーションすることで、顧客が望む状態を美容師は理解しやすくなりますからね。

コミュニケーションのミスマッチは確かに防げそう。

しかし、これだけで仕上がりの満足度が高まるとは言えません。

コミュニケーション以外に必要なスキルがありますから。

私が考えるに、美容師スキルとは、

「コミュニケーション力×技術力×想像力」

コミュニケーションでイメージを理解したとしても、

「それを実現するカット技術」

「髪質や癖、その人の生活スタイルなどを想像して仕上げる力」

これらを美容師が持ち合わせていなければ、イメージ通りにはなりません。

こうして見るとミラーロイドとはコミュニケーションをサポートする一道具。

道具である以上、生かすも殺すも美容師の力量次第。

そうすると、

「導入=値上げ(単価アップ)」

直結は考えにくいですね。

ただ、直結はしませんが、美容師の提案力により単価アップを図れる可能性は生まれます。

ヘアシュミレーションの際に普段とは違うパーマやカラーを提案してみたり。

顧客も実際に提案された状態を鏡で見ているので、似合っていたら受け入れやすいでしょう。

このように上手く活用できれば単価アップの道も開けるのではないでしょうか。


②客数

ミラーロイドを導入することで客数が増えるか?

これについては、

・鏡じゃないとダメなのか?
・イメチェン頻度は?

この2点により難しいと思います。

まず、鏡じゃないとダメなのか?

最初は物珍しさで増える可能性はありますが、前述の単価でも述べたとおり、ミラーロイドはあくまでも道具。

道具であれば鏡である必要はありません。

例えば、アプリでもOKでしょう。

わざわざ美容室に行って、美容師さんと一緒にシュミレーションするより、アプリであれば自分だけで時間を気にせずできます。

一人でシュミレーションしたものを馴染みの美容師さんに相談すればいいわけですから。

次にイメチェンの頻度。

シュミレーションしたいのはロングからバッサリショートとか、ストレートからパーマをかけるとか。

あとは、黒から茶色に髪色を変えるとか。

要はこれまでのヘアスタイルから変える時。

それが自分に合っているかを事前に確認しておきたい。

この時にミラーロイドで髪の専門家である美容師さんと一緒にシュミレーションできればありがたいですね。

しかし、

このようなイメチェンって頻繁に起こりますかね?

う~ん。。。

芸能人やヘアモデルならあり得そうですが、一般人であればそこまで大きく変えないことの方が多い気がします。

つまり、ミラーロイドが必要となる場面はそう多くはないと思います。


③来店頻度

来店のタイミングは、

・髪が伸びた時
・ヘアスタイルが維持出来なくなった時
・イメチェンしたい時

などでしょうか?

多くは髪が伸びた時でしょう。

そうすると、1ヶ月毎とか2ヶ月毎とか。

ミラーロイドによって来店回数が増えるということは考えにくいです。


以上、①②③からミラーロイドが理美容室の売上増に寄与するかは、施術者の力量など他の要因が大きく関係する。

「導入=売上増」

と単純な話ではなさそうです。


2.費用対効果

次にコスト面から。

美容室のミラーロイド導入費用は?

上記サイトには、

ミラーロイドapp1ID購入代金、app導入説明トータルパッケージ
合計 100万円(+税)

とあります。

だとすると、仮に単価5,000円の美容室が1年で導入費用をペイしようとしたら、既存顧客(数)はそのままに、新規顧客(延べ)が年間200人。月16~17人増える必要があります。

1,000,000円(導入費用)÷ 5,000円(単価)=200人

200人 ÷ 12ヶ月=16.6人

単価によって変動はありますが、考え方は一緒で、このラインを超えたところからミラーロイド導入による利益が生まれます。

ただ、新規顧客獲得以外にも売上増の機会はあり得るので、そちらで賄えれば問題はありません。

(上記は購入が前提のシュミレーションですが、サブスク等、美容室にとって支払いリスクが軽減される契約パターンが加味されたら、導入しやすくなりそうですね)


3.1年後の導入店舗数は?

現状、70店舗200台以上が実績。

これが1年後に何店舗(何台)まで増やせるか?

ちなみに去年、2020年6月のプレスリリースでは、

2020年内に1000台の導入を目指すと発表しています。

この発表から1年が経過し、未だ200台ですから当初の思惑通りにはなっていないようです。

導入実績、前項までの私の考察、そして理・美容室の市場動向から導入店舗数を予測してみます。

上記記事によると、

美容室25万、理容室11万店。

約36万店。

(コンビニの6~7倍? こんなにたくさん有ったの??)

このうち経年で美容室は増加、理容室は減少で推移。

全体では美容室増加が理容室減少を上回り増加。

この36万店のうちミラーロイド導入は70店。

0.02%。

同社ホームページの導入店舗一覧を見ると、EARTHのようなチェーン店は一部存在しますが、格安系チェーン店は見当たらず、中・高価格帯、小規模展開のお店が多そうです。

恐らく費用対効果の面からも今後ミラーロイドの導入の可能性があるのは、現在の導入店舗と同様の形態のお店になると予想します。

そうすると、仮に36万店のうち、半分が中・高価格帯、小規模とすると、18万店(これも予想です)。

だとすると、現状の70店舗は、

0.04%

これがどこまで伸びるか?

私の予測は、

180~300店(約600~1000台)

割合は0.1、多く見ても0.2%。

これくらいかなと。

私個人は前項で示したとおり導入に前向きではありません。

(もし美容室を経営していたらですけど)

理由は美容師のスキルを高めることが先だから。

しかし、お店それぞれの置かれている状況、コンセプト、顧客属性・ニーズ、近隣との差別化要因などによっては同製品の導入がビジネスチャンスになり得ることもまた事実だと思います。

そうすると、一定数の導入は見込めると考えます。

その一定数が「中・高価格帯、小規模展開のお店の0.1~0.2%くらい」と予想します。

(サブスクにてレンタル可能になればもっと増える可能性大)


今回の学び

テクノロジーが差別化をもたらすのではなく、そのテクノロジー、つまり道具を活用する人のスキルによって差別化される。

これはフィットネスクラブなどにも当てはまりますね。

フィットネスクラブはA社、B社、C社どこへ行っても、同じメーカーのマシン、同じプログラムのことが多いです。

看板が無ければ、何社かわからないでしょう。

同じマシン、同じプログラムでもそれを活用してお客様のニーズを解決できる人が存在するか?

ここが差別化要因になります。

最新事例を取り入れることより、こっちが本質ですね。


本日は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。










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