地方建設業界に変革の波!建設テックで未来を創る2024年版カオスマップ発表
みなさま、こんにちは!ON-SITE X広報担当の池田です。
7月はイベント盛りだくさんのON-SITE Xでしたが、本記事では25日に参加したTECH BEAT Shizuoka2024について振り返っていきたいと思います!
1.共創活動を拡げるON-SITE Xは3年目へ突入!
2022年7月に立ち上げたON-SITE Xもついに3年目を迎え、この間、さまざまな共創事例を生み出してきました。コミュニティの立ち上げを皆さんに初めてお知らせしたのは、まさに2年前のTECH BEAT Shizuoka!これからも新たな可能性を切り拓き、さらに多くのイノベーションを創出していきます。
2019年に始まったこのイベントは、静岡県内の企業や自治体とスタートアップが「共創」し、静岡の未来のビジネスの芽を生み出すことを目的としたビジネスマッチングプロジェクトです。
10回目の開催となる今回は、初の土曜日開催や140社を超えるスタートアップの出展、約8,000人の来場者など、過去最大規模の盛り上がりを見せていました。地方建設業の変革を目指す我々にとっても、さまざまな最新技術や革新的なアイデアを体感する貴重な機会となりました。
さらに、会場には前日24日に開催されたON-SITE X交流イベントに参加いただいた多くの建設会社の皆様も現地まで足を運んでいただきました!この場を借りて、改めて御礼申し上げます!
このTECH BEAT Shizuokaは、前述の通り2022年に当コミュニティの立ち上げを宣言した記念すべきイベントであり、静岡の3社(木内建設㈱、須山建設㈱、加和太建設㈱)を中心に、全国へと広がる取り組みを共有する大切な場でもあります。
今回は3回目の登壇ということで、「拡がる共創活動~ON-SITEXと地方建設業の可能性~」というタイトルのもと、建設業とスタートアップの共創や、コミュニティ活動の全国的な広がり、静岡の3社による多角的な交流などを発表しました。
オープニングは、ON-SITE X 事業統括責任者の近藤が務め、全国108社の地方建設会社を巻き込んだコミュニティ活動について、この1年間での活動内容や共創の広がりなど、ON-SITE Xの現在地について語りました。
また、特に毎年多くの注目を集める3社トップ対談のセッション(木内建設:木内 藤丈社長、須山建設:須山 雄造社長、弊社代表:河田 亮一)では、ON-SITEXを通じた共創活動の先に、どのような建設業の未来を描いているかを語り、その実現に向けて建設業に関わるスタートアップへのメッセージも発信させていただきました!
ON-SITEXでも上記のような視点を持ちながら、スタートアップとの共創活動に取り組んでいきたいと思います。
そして、最後はON-SITE Xとして3年間活動をするなかで得たものと、共創の先に描くものについて語りました!
2.新たな共創のカタチ!ON-SITEX×フォトラクションで2024年版カオスマップを発表
今回、一つの目玉としてON-SITE X山越とフォトラクション中島CEOで共同発表させていただいたのが、「2024年版建設テックカオスマップ」です!ここからは、実際に登壇した山越から解説させていただきます!
作成の背景
過去2年間、建設業界へのスタートアップ参入を促進すべくさまざまな活動を行ってきたON-SITE Xですが、2024年問題をはじめとする外部環境の変化が追い風となり、今では建設系スタートアップは勃興期にあります。しかし、我々は新たな課題として「素晴らしい技術や業界変革への熱意を持つスタートアップは増えたものの、現場への導入・活用の段階で大きな壁がある」と認識しています。
そこで今回は、課題解決に向けた一つのアクションとして「地方建設業に特化した建設テックカオスマップ」の作成を行いました。また、このカオスマップの作成には、建設テックの第一人者であり、㈱フォトラクション代表取締役CEOや一般社団法人建設テック協会の代表理事を務められている中島 貴春様に構想段階から全面的なご協力をいただき、カオスマップ作成に関する知見や、スタートアップの最新動向についてアドバイスをいただいております。
地方建設会社における課題
作成のポイント
① 地方建設会社とスタートアップが両者の目線で建設テックのカテゴリを分類
② 新しいものに限らず、既存サービスも含めて現場で利用されている又は利用することができるサービスを中心に掲載
③ サービスロゴがない場合は会社名として記載
④ サービス領域が多岐にわたる場合は主領域で掲載
※上記ルールについては、一部例外もございます。予めご了承ください。
カオスマップには135のサービスを配置し、大カテゴリとして①設計/デザイン/積算/測量、②施工管理、③現場支援(効率化/省人化)、④人材/採用支援、⑤経営管理に分類しています。さらに、各カテゴリ内で詳細な分類を行っています(2024年8月時点)。
3年間での変化
①カテゴリが細分化され、ニッチな領域で展開する新サービスが増加
カオスマップ作成時の条件に違いはあるものの、2024年版は2021年版と比較して、機能カテゴリの細分化が顕著です。具体的には、「遠隔臨場」「遠隔操作/自動運転」「環境配慮」「3D加工」などの領域でサービスを展開する企業が増加しています。特に、これまで職人にしかできないと考えられていた施工領域を、テクノロジーで代替しようとするスタートアップの台頭は、大きな注目を集めています。
このニッチ領域でのサービス提供者の増加というトレンドは、今後もしばらく続くと考えられます。しかしその一方で、地方建設会社などのユーザーにとっては、選択肢が増える一方で、選択がさらに難しくなるというトレードオフが発生することも予想されます。
②既存サービスの複合化
施工管理系SaaSの領域において、現場の効率化から経営改善までを一元管理できるオールインワンのプロダクトが増加していると捉えています。従来は各サービスがそれぞれ強みとなる領域や対応企業規模に応じて棲み分けされていましたが、最近ではその境界が曖昧になり、工務店から中堅ゼネコンまで幅広く対応できるサービスが登場しています。
建設業界では、各社が独自の方法で利益管理や現場運用を行ってきたことが、"強み"として機能する一方で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展を妨げる要因にもなっていました。さらに、多くの地方建設会社では、未だにExcelでの書類・情報管理が主流であり、クラウド化や基幹システム(ERP)の導入は一部に留まっているのが現状です。2024年問題に代表される抜本的な生産性改革に対応するためには、単なる既存プロセスの電子化に留まらず、"Fit to Standard"の思想を取り入れた業務プロセス改革が求められるかもしれません。
③BIM/CIM領域の興隆
BIM・CIMはもはや説明不要なほど重要なテーマとなっていますが、多くのスタートアップ企業がこの領域に参入し、プロダクト開発からコンサルティングに至るまで、革新的な技術やサービスを提供しています。しかし、効率的な活用を実現しているのは一部の先進企業に限られており、現場での主流とはまだ言えない状況です。高性能PCやリモート通信環境の整備、BIMを扱える専門人材の確保・育成、設計から施工運用に至る情報の一元管理など、課題は山積しています。しかし、これらの課題を克服し、情報収集フェーズから本格的な導入・活用フェーズへの移行を実現するために、スタートアップをはじめとする共創活動に積極的に取り組んでいきたいと思います。
地方建設業からスタートアップに期待すること
カオスマップを見る限り、現在は建設系スタートアップの勃興期にあると言えます。企業数が増加するだけでなく、提供されるサービスの領域も広がりを見せていることは、地方建設業にとっても喜ばしい限りです。しかし、これまで以上に特化したサービスを追求するあまり、部分最適化が進行している現実も否めません。現場の抜本的な生産性向上を実現するためには、新たなサービスの創出だけでなく、それらがシームレスに連携することが不可欠です。そのためには、スタートアップ同士の共創やシステム連携、さらには企業間の合従連衡が重要なポイントになると考えています。ON-SITE Xとしても、このような可能性に大いに期待し、積極的に関与していきたいと考えています!
3.今後に向けて
本取り組みによって、建設業界の中でも特に「地方建設会社」で働くさまざまなプレイヤーが、現場での課題解決や生産性向上に向けた新たなチャレンジを支援し、さらに、建設業界に参入するスタートアップがより良いサービスやプロダクトを現場に提供することで、さらなる課題解決につながることを願っています。
このような目標を達成するためには、多くのスタートアップや建設テック企業との連携が不可欠です。また、我々の取り組みに共感いただけるチャレンジングな地方建設会社や、活動を共に広げてくださるメディアの方々を巻き込みながら、業界全体に変革を起こしていきたいと考えています。少しでもご興味を持っていただいた方は、ぜひお声がけください。共に業界を盛り上げていきましょう!