知っているようで知らない『Barbour』
知っているようで実は知らないファッションのこと。
聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥。
しかしファッションのこととなると一体誰に聞いたらいいものか。
本来であればそんな時に助けになる販売員だが、
ひとたび店員に聞こうものなら、インターネット顔負けの情報の濁流を浴びせられたのち、
必要のない買い物をして店を後にする、なんて想像をしてしまう方も多いのではないだろうか。
Burberry(バーバリー)やMACKINTOSH(マッキントッシュ)、天気の悪いイギリスでは雨に対抗するための技術が多く生み出された。
Barbour(バブアー)のオイルドコットンもその一つである。
誰もが目にしたことのあるセージグリーンの生地とコーデュロイの襟のついたジャケットで知られるBarbour。代名詞でもあるBEDALE(ビデイル)やBEAUFORT(ビューフォート)の登場以来、冬のカジュアルウェアの定番として老若男女問わず支持を得続け、「流行りすぎてダサい」と定番アイテム特有のヘイトを謳われるまでになっている。
流行っているのにダサいという矛盾を伴なったヘイターは、ぜひ標的とするプロダクトをよく見ていただきたい。知ったつもりで実は知らない魅力を知れば、今よりもきっとファッションを楽しむことが出来るだろう。
Barbourの歴史は長く、設立は1894年まで遡る。ナイロンやGORE-TEXといった高い撥水性を持つ化学繊維が開発される前、天候の悪いイングランド北東部の漁師たちを厳しい雨風から守るために、コットンに魚の脂を染み込ませたのがブランドの始まりである。
もちろん現在作られている製品に魚の脂を染み込ませていることはなく、当時より幾度となく改良が重ねられたオイルドコットンは、その製法について門外不出の企業秘密となっている。
そしてBarbourは第一次世界大戦時には、BurberryやAquascutum(アクアスキュータム)と並んで英国軍に防水服を支給。その後はモーターサイクルレーサー向けのジャケット「INTERNATIONAL」を開発し、このジャケットは現在まで同ブランドの看板アイテムとして通な愛好家に親しまれている。
その後も研究開発に余念のないBarbourは、乗馬、ハンティング、フライフィッシング等、イギリス国民のライフスタイルに寄り添ったアイテムを数多くリリースしてきた。
こうした功績からBarbourを語る上では欠かすことの出来ない、ロイヤルワラント(王室御用達)に3度認定。異なる3人の王室から受けた御用達は、それぞれ異なる紋章が現在のブランドタグに刺繍されている。
ここまで何度も登場しているオイルドコットンは、「良い工業製品」の判定基準とされるJIS規格において、最高クラスの撥水性能とされており、これだけでも最早Barbourに対して疑念を持つ人は少ないだろう。
現在リリースされているジャケットには長年作られ続けているクラシックフィットに加え、モダンなスタイルにアレンジしたSL(スリムフィット)、トレンド感のあるバランスが新鮮なOS(オーバーサイズ)が仲間入りしている。
さらに使われるファブリックはオイルドコットンの趣をそのままに、日常生活にフィットするピーチド、軽く3シーズン対応のポリエステルを使用した2レイヤー等、アップデートがなされている。
ブランド創業から120年以上もの間、時代や着用シーンに合わせて変化しながらも、アイデンテティを守り続ける。
そんなBarbourの本質は、どんなに流行ったとしても決してダサいと言われるようなものではないのではないだろうか。
知っているようで実は知らないファッションのこと。
今シーズンもBarbouaのモノづくりには、ジャンルを問わず様々なブランドからラブコールが絶えず、別注アイテムが数多くリリースされいている。
その多くは発売から間もなく完売してしまうものがほとんど。
興味のある方は是非チェックしてみてはいかがだろうか。
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