ブルターニュと古書と雨【東京観光日記 -上野・神保町-】
6月9日、雨
前日からの大雨で新幹線に遅れや運休が見込まれたが、問題無し。
無事に乗車し、駅で購入したサンドイッチを食べる。タンドリーチキンがメインの様だが、ごぼうサラダの方が絶妙で美味しかった。
好きな著者の本を読みながら、田畑の景色をなんとなく眺める。ぼやっとして眠気が混じっていく感覚。
静岡辺りから雨足が強い。
富士山は見えなかった。
東京は5年振りくらいだろうか。
今回の目的は美術と古書。次に写真を撮ること。
具体的には上野にある国立西洋美術館、そして神保町の古書店街散策。
雨の上野に着いた。
大学時代に1度常設展を観たことがあった。大量の西洋美術を浴びて虜になり、必ずもう一度来たいと思っていた場所。それくらい作品数が多い。有名な作品も多数ある。私はジョン・エヴァレット・ミレーという画家が1番好き。(落穂拾いではない方のミレー。オフィーリアが有名。)
ミレーの絵画も2点ほどあったはず。
今回は企画展も同時に楽しむことにした。
憧憬の地 ブルターニュ
―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷
ブルターニュ地方とはフランスの最北西端にある
芸術家と縁の深い土地とのこと。19世紀の画家たちを惹き付けてやまなかった土地らしい。
作品としてはモネやゴーガンら近代美術の印象派。黒田清輝等の日本人も惹き付けた土地とのこと。
以下、撮影可能だったものを載せていく。
近代美術なので、基本的には風景や大衆の日常、人の生活の営みが描かれている。アルフォンス・ミュシャの作品も1部あり、ポスターやお菓子のパッケージ絵なども飾られていた。
ブルターニュ地方の美しさ、その土地の人々がどのような生活を送っていたかが分かる展示。
常設展
大人も500円で観ることができる。
(企画展のチケットがあればタダ。)
こちらは西洋美術が幅広く展示されており、歴史の古い宗教画から近代美術(ピカソ等)という形で並んでいる。
今回は指輪の展示もされていた。
指輪
キラキラ綺麗。
昼食を済ませ、上野公園を少し散策。
平日だが人が多い。観光客と学生。そして雨はさらさらと。
上野からメトロで乗り換え、神保町へ。
雨が止んだ。
神保町古書店街
ここは未知の場所。
そもそも人生の中で古書店に入ったことがない。
先に話しておくと、よく分からん世界に足を踏み入れる心細さとわくわく、探す過程の楽しさが体験出来るいい場所であった。
そもそも何故、こんなディープな場所に来たのか。
紙が好きで本の装丁が好きで、未だにアナログから離れられないから。電子書籍では紙の手触りは分からないし、紙独特の歴史を感じる風合いは出せない。
それに昔から、本屋に入り浸るのが好きだった。
何か悩むことがあれば本屋に行き、数時間かけて読む本を探す。自分より遥かに頭のいい人達が書いた知識が、数千円で手に入る場所。(図書館ももちろん良いが、自分のものにしたい欲張りさんなので本屋の方が好き)
言うほど読書してない時期もあるのでライト勢だとは思うが、本好きとして1度勇気を出して踏み込むべき世界なのでは。と思い、来た訳である。
駅を降り、地上に顔を出すと普通のビル街だった。
あれ、路地裏に店があるのか?と思ってよく見ると、大通り沿いにも関わらず、こじんまりしたディープな古書店が並んでいる。それも何店舗も。
あっこれ全部見るのは無理だ、とすぐに理解し、ひとまず行く予定だった古書店に狙いを定めた。
ボヘミアンズ・ギルド
美術書やアート・デザイン本専門の古書店。
なので基本的には画集、作品集、企画展図録が所狭しと並んでいる。
ジャンル上、いちばん興味があった古書店だった。
だが、最初に入ったのは間違いだったかもしれない。
なにしろ古書店初めて故に、本の探し方が分からない。通常の本屋とは全く違う。
この店の場合、基本的には写真、絵画、といったジャンルで分けられてはいるのだが、国内外のデザイン書が大量にあるため、洋書も混じってるしサイズもバラバラ。背表紙で中身の判断ができない。
これはどうしたものかと悩んでいても仕方なく、とりあえず背表紙の雰囲気で手当り次第中を見ていく作業を1時間ほど繰り返した。これはこれで見たことないものが大量に目に入ってきて楽しい。
一通り見たがなかなかピンと来ず、よく考えたら1店舗目なんだよな、と冷静になり、別の店を見つつ頭を冷やすことにした。そこからが長かった。
古書店ごとに恐らく得意ジャンルがあるようだが、素人には全く分からない。それに雑食な店もあるし、あまりにディープなジャンルもある。
ひたすら店に入ってザックリ見て気になるジャンルで本を取る、という行為を繰り返す。
頭が冷えない。
ピンとくるものがない。煮詰まり。
てことで一旦お茶(脳内作戦会議)。
足が非常に疲れる。
余談だが、神保町は路地裏も多く、そこにひっそりとお店があることも。雰囲気の良い喫茶店もたくさんありそう。
これは難しいぞと思っていたが、手当り次第に店を回っているとだんだん見方が分かるようになってきた(人間慣れるものだね)。
折角来たからには何か買いたい思いがあるので、もう少し頑張ってみることにした。元々アート本が欲しかったのだが、この際ジャンルは絞らずに見た目で良いのがあれば買う作戦。
この作戦が良かったのかもしれない。大通り沿いの古書店をひたすら入り、とある場所を見つけた。
澤口書店
アンティークな洋書コーナー。
実は骨董市なんかで100年以上前の聖書買ったりするの好きで。こういうのはツボ。もちろん中身は日本語ではないので読めない。ただ、挿絵や雰囲気が好きなだけ。記念に1冊購入。
そして最後に入った店。
三茶書房
こじんまりしたお店だが雰囲気がとても良かった。お会計時、店主のおじちゃんの、丁寧に本を扱っている手元がとても好き。古いけど綺麗に扱われてることが分かる本が多く、装丁も私好みのものが多かった。
店の中では時間がゆったりと過ぎていく感覚。
必ずまた来ます。
ここでは梶井基次郎の檸檬を購入。
立派なカバーの中にまたケースがあり、更にトレーシングペーパーのような薄い紙に包まれている本。丁重に扱われているものに私は弱い。
神保町には5時間ほどいただろうか。
帰りの新幹線の乗車時間が迫る。
楽しくなってきたところなのに。
名残惜しいが今回はここでサヨナラ。
上野に懐古し、神保町に新たな世界を感じた1日。
そんな雨の日。
おむ
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