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そのサッカーを疑え!

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#サイドバック

日本代表、アジアカップ初戦で再認識したカタールW杯以降の成長点

日本代表、アジアカップ初戦で再認識したカタールW杯以降の成長点

 アジアカップ初戦、対ベトナム戦の日本は、いいのか悪いのか評価の難しいサッカーをした。多数派はその4-2の勝利を苦戦とする声だ。トルシエ・マジックに原因ありと、現ベトナム監督=元日本代表監督を持ち上げた。しかしベトナムのサッカーは本当によかったのか。

 日本とベトナムは、2019年アジアカップ準々決勝で1-0、2022年カタールW杯アジア最終予選では、アウェー戦1-0、ホーム戦1-1と過去3戦、

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選手交代5人制の時代に重宝する、左右両サイドでプレー可能なカンセロ的SB

選手交代5人制の時代に重宝する、左右両サイドでプレー可能なカンセロ的SB

 現在プレミアリーグで首位に立ち、チャンピオンズリーグ(CL)でも、ブックメーカー各社から優勝候補の本命に推されているマンチェスター・シティ。好調を維持するチームにあって、出場時間が最も長い選手はGKエデルソンになる。CLグループステージ最終週とリーグカップの2試合こそ、先発をアメリカ代表の正GKザック・ステッフェンに譲ったが、その他の試合(21試合)は出ずっぱり。最後尾を固める役を果たしている。

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川崎の浮沈のカギを握る山根視来。「サッカーはSBが活躍した方が勝つ」

川崎の浮沈のカギを握る山根視来。「サッカーはSBが活躍した方が勝つ」

 つい1年ほど前まで日本代表に選ばれると思っていなかった選手が、今回もしっかり選ばれていた。W杯最終予選対オマーン戦(9月2日)、中国戦(9月7日)を戦うメンバーの中で、フィールドプレーヤーとして選出された国内組はわずか4人。その1人であるだけに貴重な存在に見える。川崎フロンターレの右サイドバック(SB)山根視来のことだ。

 右SBの候補として選ばれた選手は山根を含めて3人。他に酒井宏樹(浦和)

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日本代表のサイドバックとウイングの定型のない関係

日本代表のサイドバックとウイングの定型のない関係

 サイドバック(SB)とウイング。4-2-3-1あるいは4-3-3を敷く現在の日本代表には一応、サイドアタッカーが両サイド各2人存在するが、この2人の関係にチームとしての定型はない。選手任せになっている。

 2人の関係と言っても、SBは一定だ。酒井宏樹、室屋成、山根視来(右)、長友佑都、小川諒也、佐々木翔(左)のいずれかが出場しても、差は僅か。ポジショニングに大きな違いはない。

 関係を左右す

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4-3-3化が進むJリーグ。気になるピッチの4箇所で発生するウイング対SBの関係

4-3-3化が進むJリーグ。気になるピッチの4箇所で発生するウイング対SBの関係

 FC東京、川崎フロンターレ、サガン鳥栖は、今季布陣を4-3-3に代えてJリーグの戦いに臨んでいる。3-2-2-2が予想されたヴィッセル神戸もACLに続きJ1の初戦でも4-3-3を使用した。さらに、横浜F・マリノス、清水エスパルス、横浜FCも、ウイングプレーヤーをフィーチャーした4-2-3-1を使用する。

 昨季、横浜FMがJ1を制し、そこで右ウイングとしてプレーした仲川輝人がMVPに輝いた。そ

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森保J。いま探るべきいちばんの改善ポイントとは

森保J。いま探るべきいちばんの改善ポイントとは

 吉田麻也、長友佑都、柴崎岳。モンゴル戦(10日)とタジキスタン戦(15日)の2試合にフィールドプレーヤーでスタメンフルタイム出場したこの3人。森保監督が現時点で中心と考えている選手たちだと推測される。

 吉田は31歳、長友は33歳。当たり前の話だが3年後、すなわち2022年カタールW杯本大会を両者は34歳と36歳で迎えることになる。サッカー選手の寿命は伸びているとはいえ、微妙というか、厳しい年

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永木亮太に見るサイドバックと守備的MFの親和性

永木亮太に見るサイドバックと守備的MFの親和性

 怪我で戦列を離れていた内田篤人が4ヶ月ぶりに復帰するという。

 鹿島アントラーズの右サイドバック(SB)と言えば、一昨季(2017年シーズン)まで西大伍がスタメンを張っていた。Jリーグのベスト11にも選ばれる日本代表級の選手がいたにもかかわらず、鹿島は翌2018年、ドイツで長年プレーした内田篤人をチームに迎え入れ、西大伍と競わせた。

 西大伍は交代出場を含めて23試合に出場。内田篤人の12試

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鮮明になってきた川崎Fのアキレス腱

鮮明になってきた川崎Fのアキレス腱

 3戦して3分け。J1リーグで3連覇を狙う川崎フロンターレの勝ち点は現在3で、13位と出遅れている。開幕直前に行われたゼロックス・スーパーカップで浦和レッズに勝利した試合も、相手の低調なプレーに救われた結果と言えた。順位は徐々に上がっていくだろう。早晩、上位に名を連ねると思うが、3連覇となるとどうだろうか。

 昨年、一昨年との違いは右サイドバック(SB)にある。2年連続Jリーグベスト11に輝いた

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先発わずか16試合でベスト11。SB西大伍の特異性と日本サッカーとの関係性

先発わずか16試合でベスト11。SB西大伍の特異性と日本サッカーとの関係性

 昨季のJ1リーグに先発出場したのは16試合。全34試合の半分以下だ。途中交代を含めても23試合。にもかかわらず堂々、Jリーグのベスト11に選ばれた。

 もちろんこの出場試合数は、他の10人と比較しても断然、低い。調べたわけではないけれど、歴代のベスト11の中でも最低であるに違いない。不思議なことは、西大伍のベスト11選出に、それでも違和感を抱かせないことだ。その選択はきわめて妥当。僕が選定委員

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キーマンはサイドバック。中島、堂安の活躍度もサイドバックで決まる

キーマンはサイドバック。中島、堂安の活躍度もサイドバックで決まる

 4-3で勝利した前戦のウルグアイ戦では、特に前線の4人の活躍が目立った。中島翔哉、南野拓実、大迫勇也、堂安律だ。大迫は180センチを超える長身だが、他の3人はけっして大きくない。中でも中島、堂安の両サイドアタッカーはそれぞれ164センチと171センチで、まさに小兵だ。

 ロシアW杯で活躍した左ウイングの乾貴士も169センチ。これまでハンディとされていた小ささが、試合の中でむしろ奏功している印象

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サイドバックがいない(森保)サッカーを、日本に適したスタイルだと思わない理由

サイドバックがいない(森保)サッカーを、日本に適したスタイルだと思わない理由

 サイドバックをいかに有効に使うか。近代サッカーでは、サイドバックが活躍した方が勝つ、と言われる。しかし、森保監督が採用する3-4-2-1には、その肝心のサイドバックがいない。サイドバックとは4バックの両サイドを指すので、3バック、5バックには最初から存在しないわけだが、森保式の3バックを見ていると、サイドバックが存在するサッカーを切望したくなる。やはり、サイドバックがいた方がサッカーは面白い。サ

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W杯準決勝対イングランド戦。クロアチアの右SBブルサリコは出場できるのか

W杯準決勝対イングランド戦。クロアチアの右SBブルサリコは出場できるのか

 準々決勝対ブラジル戦。ベルギーのロベルト・マルティネス監督は、それまでとは異なる布陣で臨んだ。右にルカク、左にアザール、そして、デブライネをその真ん中に0トップ気味に置く4-3-3だ。

 ルカクを右の高い位置に据えれば、対峙するマルセロの攻め上がりは抑止できる。それでもマルセロが上がれば、その背後は狙い目になる。ベルギーの勝利は、重心が低めだった3-4-3を、高い位置から圧力を掛ける布陣に変更

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