朝凪

ちゃんちゃらおかしい

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ちゃんちゃらおかしい

最近の記事

いわしの梅煮

先週の月曜、朝。今までで1番出勤したくない朝を迎えて、ひゅう、と喉の奥が冷える感覚がした。 何があったわけでもない、強いて言えば大学時代の友達に週末に会っていたくらいだ。 その週末は、久々に千葉に出向いた。 千葉には恋人が住んでいるので、月に1回程度、千葉に出向いて、大学時代より見慣れた愛おしい街並みと、恋人と付き合い始めてからよく行くようになったコーヒー屋とサンドウィッチ屋と、季節ごとに変わる街ゆく人の服装と、そんな景色を享受しては、選ばずして配属を命じられた愛知県に

    • Googleの検索欄に吐き出すことしか

      自意識が強すぎて、TwitterだとかInstagramだとかLINEとか、「自分と他人」が明確に存在しているSNS上で愚痴を吐くことができない。(noteはほぼ日記なのでモーマンタイ) SNS上で弱音や愚痴を吐くと、良くも悪くも「そういう思いを持っている人」というレッテルが自分に付いてしまう。 平生の生身の自分を知っている人、いわゆるリアルで繋がりがある人と連携しているSNSは言語道断だ。SNS上でその仄暗さを明かして仕舞えば、いくら現実で明るく振る舞っていようと、「ガ

      • 唯一の救いが

        フジ子・ヘミングのピアノを聴いて無性に涙が止まらなくて、それはそれは止まらなくて、理由の模索に時間がかかってしまった 私が意味もなく泣く時、それは過去と現在を嘆く時であって未来に視点が向いている時ではない なぜ涙が出るのかつまるところの結論は出なかったが、私の拠り所である私がどこかへ行ってしまうことへの、その後ろ髪を引くための涙だったように思う かつての自分でもなく、孤独に咽び泣いていた自分でもなく、それに共感できず泣くことを忘れてしまった今の自分を、呼び止めるように縋

        • それなりに

          期待していないが故に、それなりに生きていく元気があるなあと思う。 喫煙所に向かうエレベーターの中で、会社の先輩から軽く相談を受けた。 「仕事、たのしい?」 自分にとって今の仕事は、総合的に見ると楽しくはないので、 「んまあ、別に…可もなく不可もなくですね」 と正直に答えた。 人懐っこい笑顔の先輩は、そうかそうか、と言いながら、 「俺最近楽しくないんだよね」 と悩んでいるようだった。 心配だった。何か救いになるフックがないかと、さりげない風を装いながらいろんな

        いわしの梅煮

          2025年に世界が終わるとして

          新潟に帰省をした年始、母方の伯母が「ユニクロの初売りに行きたい」と言うので、それに便乗して私も茶色い軽自動車の助手席のドアを開けた。 伯母は波乱万丈な人生を送ってきたようで、片道1時間弱の車の中で、今までに聞いたことがある話も、聞いたことがない話も、いろいろな話をしてくれた。 両親と諍いをしながら、我が身一つで東京に出てきた話。日中は保険の営業をしながら、夜は横浜のスナックでバイトをしていた話。泥臭く営業成績を積み上げ、晩年(晩年なんて言い方をすると怒られるだろうか)には

          2025年に世界が終わるとして

          師走短歌

          ささくれた指で抱える液晶の 向こう見ずな恋 無条件の愛 滲んだ星でようやくきづく ひどく進んだ乱視と師走 大丈夫です大丈夫ではないです 丈夫な私 上手な話 チキンだのローストビーフだのと議論 信じてやまない赤い日を待つ 空き缶を洗って干すのが君の好きなところ 隣にいないのが君の 生ぬるい歌ばかり歌ってるんじゃねえ 聞こえない錆びた弦のハレルヤ 空っぽの四角い箱に燻って残るライターと昨夜の話

          師走短歌

          よかったことないね

          3連休明けの月曜日、山積みの仕事から逃げるようにしてPCを閉じて自転車を漕いだ。 never young beachのライブに行くのは1年以上ぶりだった。カレンダーを確認したら去年の7月に行ったきりだ。 当日はあいにくの雨だったが、入り口前に置かれた傘立てにぎゅうぎゅうに傘が詰まっていて、大きな花束みたいでなんだかうれしかった。 新アルバム「ありがとう」に収録された曲たちを最初に聴いた時の印象は「あ…あったけ〜…」だったのだが、今回初めて生で聞けて、雨で冷えた体が内 か

          よかったことないね

          埋まる寂しさ、埋まらない悲しみ

          「ねえ、寂しさと悲しみの違いって何だと思う?」 最近6年間付き合った彼氏と別れたと言う同期が、梅酒の水割りを飲みながらあっけらかんと聞いてきた。 彼女曰く、 「今までは私がたとえば今日みたいに飲み会に来てたとして、そんな時に彼氏はふと『いま彼女は何してるかな、飲み会楽しんでるかな、知らない男に手出されてないかな』とか考えてもらえてたんだと思う。 でも彼氏がいない今は、ふと自分のことを思い出して『今何してるかな』と考えてくれる人が家族以外にいないのが悲しい」 とのことだっ

          埋まる寂しさ、埋まらない悲しみ

          文字を書く仕事がしたいよ〜、、

          文字を書く仕事がしたいよ〜、、

          ミーム化という防衛機制

          ミームとして現代社会に普及している言葉は実に多い。推しだのエモいだの沼だの、平生からインターネットにどっぷり浸かり込んでいない人々でも、いつの間にか日常生活にミームをすっかり順応させて使いこなしている。 ミームの便利なところは、個々の主観的な事象や感情を抽象化して多勢に平易に理解しやすく、かつポップに伝達できるところだと思う。 大それた目標も展望も学びたいこともなく、ただ山に囲まれた地元では少しばかり勉学もでき、周囲から将来を期待された事実に自分も「何者かになれるであろう

          ミーム化という防衛機制

          惨めな1日

          フレックス制度を導入している弊社では出勤時間は個人の裁量に任せられるが、今日はちょっと早く行ってお仕事頑張っちゃお〜な気分だったので少し家を早く出た。 早めにお弁当も詰めて、早めに身支度を終わらせたため、少しゆとりのある気持ちで駅へ向かう朝8時。足取りもゆったりと、ぼんやりと歩くと、ファミリーマートの店員が割引券を配っていた。朝から大変ね。 お得なものには目がない拙僧、とりあえず受け取り地下鉄の階段を降りる。時計を見ると、電車が来るまであと2分。あれ?余裕を持って出たはず

          惨めな1日

          箱の中にある夢

          誕生日を迎えた。 ぴちぴちのセクシープリティー23歳爆誕である。 私はいつまで経っても学生気分でいるし、雪国に住んでいながら毎年初雪を懲りずに喜んでいたので、誕生日に関しても幾つになってもソワソワウキウキできると思っていたが、悲しい哉、年々誕生日への意識は希薄になるようだ。 高校生の時は日付が変わる瞬間まで起きて友達からの連絡を心待ちにしていたり、大学生の時は誕生日付近に遊びに誘われるといつサプライズをされるのだろうとキョロついたりしていた。 しかし今年は前日夜23時に

          箱の中にある夢

          目の前にケーキがあったらケーキが食べたくなる

          1ヶ月少し前に恋人ができた。 大学の同期で、兼ねてから交流のあった方となんやかんやあってお付き合いさせていただくことになった。私には勿体無いくらい、とてもすてきな人だ。 惚気るのはこれくらいにしておいて、本題は人間(というか私)の「限りなく近く手に入り得るもの」に対する欲望に関してだ。 毎年夏は煌びやかなイベントが立ち並ぶ。海、プール、公園で手持ち花火、花火大会、縁日。大きくて豪華な花火大会もいいが、郊外の控えめな花火大会もいい。 一本道の静かなシャッター商店街も、花

          目の前にケーキがあったらケーキが食べたくなる

          「許せない」という事実を許せ

          大学4年の秋だったか、大学生活の余生を食らい尽くすように友人とカラオケで騒いでいた夜中、兄から電話があった。 たまたま私は喫煙所に行く道すがら1人だったので、電話に出た。 「もしもし?」 「あ、ごめん今大丈夫?」 「カラオケだけど話せるよ」 「ああ、ごめん」 はは、と笑いながら、兄は少しぎこちなく話し出した。 「最近はどう?誰かにいじめられたりしてない?」 何それ、と私も笑った。 「いや、なんか今NHKでいじめのドラマ観ててさ、それでさ、なんか心配になって」

          「許せない」という事実を許せ

          目まぐるしく日常

          愛知、暑い!信じらんない! 先日在宅勤務の合間に徒歩2分くらいのウエルシアに行ったのだけど、その2分が悠久を感じさせるくらいに長く暑い!長く暑い祭! ウエルシアに着くと、両手にビニール袋を持ったおっちゃんが出てきて、顔を顰めて上を見上げ、「しんどいな、夏…」と言って重い足取りで歩き始めた しんどいよな、夏 そんな暑い7月、そして仕事も含めた私生活が目まぐるしくざんぶざんぶと波を打った月、noteの筆がまた止まってしまった!   久々に短歌です ドーナツが五つ並ん

          目まぐるしく日常

          怪物は異物ではない

          他の下書き記事もまだ溜まっている中でも、これだけは今日のうちに書かなくてはならないと思った。坂元裕二脚本、是枝裕和監督「怪物」を観てきた。 ※ここからネタバレを盛大に含むので!ご覧になりたくないという方はお気をつけください!! ※もう大丈夫ですか!?ネタバレしゃべりますね!! 「どの人が怪物なんだろう?」と、最初は誰もが思わざるを得なかったと思う。タイトル上、また物語の内容上、"怪物"がどこかにいるに違いないと思わせられる序盤だった。 パンフレットの中で角田光代氏も同

          怪物は異物ではない