富裕層女性をターゲットに選択と集中型のマーケティング活動を行おう【第15回利益を生み出すマーケティング】
本記事はエイドリアン・スライウォツキー著「ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか」をマーケティングに応用した内容となっています。
利益アップにつながらなければマーケティングに価値はない。「利益を生み出すマーケティング」というタイトルで、利益につながる実践的なマーケティング手法を紹介しています。
第15回は「信頼関係がもたらす巨大なリターン-取引規模利益モデル」に基づいたマーケティングを紹介します。
取引規模利益モデルとは、要約すると
①選択と集中により大口顧客との関係性を築き上げる
②最初の契約の扉を開いた時に集中する
という2つで構成されています。これを現代マーケティングに応用して説明します。
富裕層女性をターゲットに行うマーケティング
取引規模利益モデルは一見すると「大口顧客と取引する」というtoBマーケティングの特性を持っているように感じますが、toCマーケティングにおいて、大口顧客とは「富裕層」です。富裕層は自由に使えるお金が多く、一度ブランドを気に入ってくれれば、月数万、数十万という金額を好き好んで支払ってくれるからです。
最近は日本において富裕層が増加し、「マス富裕層」という言葉も出てきました。強いブランド力を持つ企業ほど、ここをターゲットにしたマーケティング活動に従事しています。
この「マス富裕層」の中でも、デジタルマーケティングがリーチできるのが「富裕層女性」です。富裕層女性はInstgramやFacebookを使いこなし、WEB検索も使用します。そのため、現代マーケティングにおける取引規模利益モデルは「いかに富裕層女性にリーチするか」に焦点を当てるということになります。
富裕層女性(世帯収入2,000万円以上)として「電通報」(電通のオウンドメディア)が「しっとり大和撫子タイプ」「全力投球人生謳歌タイプ」「ふんわり守られタイプ」「キラキラミーハータイプ」「無自覚隠れタイプ」の5タイプに分けて調査を行ったところ
・しっとり・大和撫子タイプ 20.1%
・全力投球・人生謳歌タイプ 20.1%
・ふんわり・守られタイプ 17.8%
・キラキラ・ミーハータイプ 24.9%
・無自覚・隠れタイプ 17.2%
https://dentsu-ho.com/articles/2935
という分布になっています。言い得て妙なクラスタリングですが、これだけキレイに分布しているので、実際の市場とも齟齬の無いタイプ分けだと思います。
これらの「富裕層女性」をペルソナとして設定し、マーケティング活動に従事することで、大きな利益を見込めるモデルの入り口を手に入れることができます。
【タイプ別】富裕層女性のマーケティングアプローチ
選択と集中により、5タイプの富裕層女性に向けたマーケティングをする際、実践的にどのようなアプローチを取れば良いか紹介します。
しっとり・大和撫子タイプ
このタイプは先祖から受けついた資産を守っている場合が多く、堅実で消費意欲は少なく、日本や和な事柄が大好きという特徴があります。教育や家庭のためには、お金をかける傾向があります。
取り組むべきアプローチは
・サービスやブランドが将来にわたって価値を提供し続けるという未来像を見せる
・「購買によってパートナーや子ども、親や孫のためになる」という価値を訴求する
・ロゴやLPのデザインを和風な世界観で統一する
全力投球・人生謳歌タイプ
このタイプは自分自身も多く稼ぐキャリアウーマンである場合が多く、仕事も趣味も全力で楽しみ、流行に敏感で、社会貢献意欲も高いのが特徴です。特に教育への熱意が高く、自分と同じかそれ以上の教育を子どもにも受けさせてあげたいと思っています。
取り組むべきアプローチは
・サービスやブランドを購買することで「知的で上品な自分」になれるイメージを見せる
・時代の最先端を走る「イケてるブランド」であることを訴求する
・ロゴやLPを高級感があり清潔感があるテイストで統一する
ふんわり・守られタイプ
このタイプは夫が大きく稼ぐ主婦の場合が多く、「夫のおかげである」という意識をもち、魅力的であり続けないといけないという思いから自分自身にお金をかけるという特徴があります。将来への不安は大きめであるという傾向があります。
取り組むべきアプローチは
・サービスやブランドが「自分自身を磨き上げてくれる」と思ってもらえるような魅せ方を行う
・将来の不安をイメージさせ、最適な解決策を提案する形でサービスの魅力を訴求する
・ロゴやLPはピンクやパステルカラーを用いた丸みを帯びた世界観で統一する
キラキラ・ミーハータイプ
いわゆる「港区女子」もこのタイプに当てはまり、若い世代が多いのが特徴です。ファッションやメイクにお金をかけ、仕事とプライベートのオンオフを大切にし、趣味や娯楽を全力で楽しむ傾向があります。
取り組むべきアプローチは
・サービスやブランドを利用することで「なりたい理想のワタシ」を実現できるイメージを持たせる
・著名人やインフルエンサーも使っていることを大きく訴求する
・ロゴやLPはハイブランドをイメージした世界観や派手なカラーを用いたデザインで統一する
無自覚・隠れタイプ
育ちの良いお嬢様タイプの女性で、自分の家がお金持ちであるという認識を持たずに育てられてきた実家暮らしの独身女性の場合が多いです。現状にある程度満足していますが、年齢を重ねるにつれて将来の自分や親に関する不安や悩みを抱える傾向があります。
取り組むべきアプローチは
・サービスやブランドが「持っていればひと安心」と思ってもらえるような見せ方をする
・自分のためよりも、自分以外の愛する人たちに価値を与えるという魅力を訴求する
・ロゴやLPのデザインは凝りすぎず、グリーンやブルーで清潔感のあるシンプルなテイストで統一する
丁寧な顧客対応が成功の鍵
取引規模利益モデルを意識したマーケティングによって富裕層女性の1セグメントにアプローチをできたとしても、この利益モデルを完成させるには実際の購買まで慎重に持っていかなければいけません。
基本的には「見込み客の1人も逃してはならない」という意識でリードナーチャリング(見込み客育成)を行いましょう。ここではマーケティングオートメーションツールを使いすぎず、できる限り人と人との関わり合いを大切にしたマーケティング活動に従事してください。
具体的には
・公式LINEを用いて営業時間内は比較的即座に対応できる体制を作る
・電話対応やリモート会議を活用できる状態にし、顧客のニーズに合わせて柔軟に対応する
・顧客に対してアンケートやインタビューを行いすぎないように注意する(顧客に「自分がgiveしている」と感じさせない)
このように丁寧に顧客対応を行い、富裕層女性という大口顧客を全身全霊で獲得していきましょう。
まとめ
今回は「取引利益モデル」に基づいて、マス富裕層、特に富裕層女性をターゲットにしたマーケティング手法について紹介しました。ポイントをまとめておくと
・富裕層女性を「大和撫子タイプ」「人生謳歌タイプ」「守られタイプ」「ミーハータイプ」「隠れタイプ」に分けて選択と集中によるマーケティング活動を行う
・見込み客に対して自動化ツールを使いすぎず、コストをかけて人と人とのコミュニケーションを重視する
以上のように富裕層女性という大口顧客を獲得し、継続購買をしてもらえるようになると、マーケティングのコストに対して売上が大幅に伸びていき、大きな利益を手にすることができます。ぜひ参考にしてください。