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りん奥様のストーリー①

「はあ」
 狭い厨房の中で、私は溜め息をついた。何故か? 私はつい先日40歳の誕生日を迎えたのだが、その誕生日を目前にして、妻に出ていかれたのだ。
 なぜ愛想を尽かされたのか? 妻が言うには、私が仕事ばかりしているかららしい。
 確かにここ数年、私は休日でも仕事のことばかり考え、妻を蔑ろにしていた。しかし、自分の城を守るために必死になるのは当然のことではないか。
 先ほどは狭いなどと卑下していたが、ここは私の店だ。一介の料理人だった私が、数年前に一大決心し、今まで守り抜いてきた私の城だ。
 店休日にも休むことなく、仕入れの交渉や食材探しに奔走していた。しかしそれは店の為であり、ひいては家族の為だったのだ。そのおかげで店は今まで存続してきた。
 妻だって最初は私を応援してくれていた。なのに、先日妻は出て行ってしまった。これだから、女なんてものは信用できない。
 そんなわけで、私は家に帰っても誰も居ない。話し相手がおらず、寂しいのだ。最近の話し相手といえば、この店の唯一の従業員である、大学生の女の子だけだ。その女の子は、今目の前でテーブルを拭いている。
 ……それにしてもエロい尻だ。身体が左右に揺れるたびにブルンブルン震えている。ジーンズの上からでもわかる割れ目もいい。さぞ弾力もいいのだろう。叩けばいい音がしそうだ。
 従業員をそんな目で見てはダメだとわかってはいるのだが、寂しさのせいか、最近はそんな欲求ばかり溢れてくる。一度、ゆっくりと休んだ方がいいのかもしれない。
 次の店休日にリフレッシュしよう。私はそう決めた。

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