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#夜

詩 あかりが浮かぶ

詩 あかりが浮かぶ

遠くグレーの空と溶ける
無機質なビル
あかりだけが浮かんでいる様は
どこか異国のようで

街灯の灯りが水面に映る
私たちの生活は
いつも揺れながら
そこにある

ゆらりゆらり
水辺に集まる
こころがなぜだか
落ち着くのは

揺らぎの中でしか
生きられない
世界と心が
通じるからか

異国の存在
遠くに見ながら
いつもはいつか
忘れぬように

詩 照らす

詩 照らす

目の前を
照らしていれば
どうにか
大丈夫

緩い坂道
息を切らして
コンビニに向かう
夜のペダル

遠くまで
無理に明るく
しなくとも

目の前のこと
ひとつずつ
見つめ
じっくり
じっくり
辿っていけば

わたしの後には
いつしか
明るい道が
できている

詩 月が走る

詩 月が走る

四角い月の羅列が走る
月の外を物憂げに
見つめる瞳

瞳の先には
誰かの日常
新世界

見つめながら
煌めくこの地を
俯きがちで

月にいない
うさぎを見ている
遠ければ遠いほど
思い膨らむ

月の中
あなたは何を
考えているのかと
考えている
わたしもまた
月の中

夜を描く
わたし何者にもなれる
月はどこかに走ってる

詩 常夜灯

詩 常夜灯

何も見えない分だけ
わたしが色濃く映し出され
心もとない時間が流れる
夜というもの
飽き飽きしてるのに
飽きずに同じ思考に戻ってくる
丁寧な人間
不思議な生き物

当たり前のことと
受け入れるほどの余裕は無く
ため息がまた出るけれど

不安を膨らませた分だけ
わたしは寂しさを覚えて
きっといつか優しくなれる

人生の問いを循環させた分だけ
わたしはわたしを知ろうと足掻き
答えを求めに言葉を探す

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詩 ひらりの夜

詩 ひらりの夜

壁に貼ったメモが
ひらりと落ちる

約束からの
時間の経過
教えてくれる

もう捨てようかな
もう一度貼ろうかな

貼り直せば
またつくのだけれど
メモの内容は
変わらないわけで

変われるものと変わらないもの
考えると渦の中
私にとって
ただのメモ
じゃなかったと
ふと気付く

行ったり来たり
遠回りしている日々の中で
突然に
メヲサマセと
まどろむ私に
落ちる声

積もった時間が
私の心にずし

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