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食品メーカーのタイアップソング(ハリウッドザコシショウ、岡崎体育、チャラン・ポ・ランタン、BiSH、森山直太朗、+α)と、「タイアップは、撒き餌みたいなもの」

 世の中には自分が知らないだけで、いい音楽が死ぬほどあるわけで、その選択肢を広く持てるってのは豊かさの一つなのかもしれない、と思うわけです。

 で、定期的に新たな音楽がスマホやパソコンを通して流れ込んでくるわけど、ときどき「おっ」とグッと来るものに出会う。今日はその記録と、関連音楽をメモしておこうじゃないかと。

きみに満足 / The DON of Satisfaction

 YouTubeで芸人の関連動画をよく観てるせいか、レコメンドされたのがこの「きみに満足」。ネオシティポップバンドという説明があるのだけど、ボクはこういうジャンルとかには疎いのでよくわからんのだけど、とにかくキュイーンと爽快なメロディに渋い声が乗っかってきてクセになった。

 あらびき団での〇〇漫談、R-1優勝と芸人ハリウッドザコシショウとしての癖のありすぎる生き様を観てきた身からすると、「音楽でも来るとは!」というだけでなく、「まさかこのテイストでですかい〜!!」という衝撃は凄まじく、一本とられた感はハンパない。AmazonMusicでプレイリストに追加をし、最近はよく聴いている。あと、MVに出てくる女性(木野山ゆう←調べた)がかわいい。

 で、詳細情報をみると、これが明治商品「満足丼」とのタイアップであることに気づき、「ああなるほど、だからなのか(この歌詞なのか)」と思ったし、タイアップのわりには、単体で聴いたとしても「ちゃんと成立してる歌詞かもな」とも思った。ギャグの「ゴス」の散りばめ方もごくごく自然な感じもする。

 と、考えはじめたら、他のアーティストのタイアップソングってどんな感じだったけ? と脳内検索がかかったので続けてメモっておこうかと思う。どうせなら、同じ「食品メーカー」のものでピックアップしてみる。

割る!-Single / 岡崎体育÷JINRO

 韓国生まれの甲類焼酎「JINRO」を扱う眞露と「岡崎体育」のタイアップソング。ドラム音が心地良く、ところどころ韻の遊びがあって、聴くときには関係ないのだけどMVのふざけ具合や、昭和の(あるいは地方)CM風の演出が好き。

リンゴスター / チャラン・ポ・ランタン

 「朝食りんごヨーグル卜」の江崎グリコと、姉妹ユニット「チャラン・ポ・ランタン」のタイアップソング。元々カラムーチョなど「勝手にCMソング」づくりをしてた二人が、「正式にCMソング」として歌う中の一曲。ちなみに、真ん中のゆるキャラは、青森のにゃんごスター。ビートルズ(リンゴ・スターがいる)の曲のタイトルに隠れているつくり。アップテンポで普通に朝寝起きのテンションを上げるときにもってこい。ちなみに、姉妹ともに和光高校なんだけど、「やっぱりな...」感がある。

キリンレモンのうた 「透明なままでゆけ。」 / BiSH

 キリンの「キリンレモン」と、今をときめく楽器を持たないパンクバンド「BiSH」のタイアップソング。普段は、ややダーティというか激しめのメンバーが、このときだけ、青春真っ只中の学校を舞台に、衣装からすこぶる爽やかに歌い上げている。シングルカットしてリリースされてほしいくらい。歌詞テロップの使い方/フォントが好き。そして、メンバーがかわいい。

罪の味 / 森山直太朗

きっかけは森山直太朗の公式ツイッターだった。昨年12月、友人に勧められて「カレーメシ」を食べた直太朗が、冗談半分で「CMください」とツイートしたところ、日清食品がすぐさま反応。新商品「ぶっこみ飯」とのコラボレーションが実現した。

 ご覧の通り、「森山直太朗」がつくる日清食品「ぶっこみ飯」のタイアップソングである。商品のことを一切知らずに聴くと、ものすごく壮大な歌詞なのだが、蓋を開けてみれば(コラボと知ると)、なんだそんなことかと肩透かしをくらう。そこに森山直太朗イズムというか、バナナマンと絡むような森山直太朗の人間が垣間見え、クスッと笑えて、でもしみじみ味わえる曲のように感じる。

「タイアップは、“撒き餌”みたいなもの」

 さてさて、全5曲を記したところで気になったのが、ものづくりにおける視点/思考について。アーティストにとって「タイアップ」とは何なのか。

「自分がつくりたいものをつくる」という想いはどんな表現者でも持っているのではないかと推すが、とはいえ、作家性の強い作品と、商業性のある作品というのは仕上げ方も違うだろうし、その折り合いを絶妙につけながら曲をつくるからこそプロフェッショナルと言えるのだとも思う(これは、音楽に限らずどの分野にも言えることだろう)。

 QGJAPANインタビューでサカナクション・山口一郎はこう話している。

「言葉は悪いけど、タイアップやテレビ出演は、“撒き餌”みたいなものだと思っています。僕らの音楽を通して、いろいろな音楽を知り、さらにファッションやデザイン、音楽や映画などたくさんのカルチャーに興味を持ってもらえるようになったら嬉しいですね」

 音楽としてはもちろんのこと、映像としての作品性にも定評があるサカナクション。また、株式会社NFを立ち上げ、「NFパンチ」などの企画も仕掛けたり、音楽業界の"システム"を意識しながら、新たなスタイルを確立しようとしてるのが、そのボーカルでありプロデューサーでもある山口一郎である。

 広い意味での”カルチャー”の媒介として音楽を位置づけ、さらにその入口をつくる音楽をタイアップと捉えているようだ。もちろん、アーティストによって考え方/捉え方はそれぞれなのは重々承知してるけど、個人的にしっくりきたのがこれだった。

 (ちなみに、この番組の中で語られてる「ポップとは何か」の話もおもしろかったのでよければぜひ)

「ひきこみコンテンツ」としてのフックソング

 タイアップの話からはやや逸れるが、山口一郎が言う“撒き餌”のように、岡崎体育も「ひきこむ」ための曲と、本気(まじ)な曲を使い分けているようだ。ここではこの「ひきこみ」を「フック」と言うことにする。

 バズり、彼をメジャーデビューへと誘った曲「MUSIC VIDEO」は、フックづくりでキャッチーさを意識して作られた曲だという。「家族構成(もともとは、ステージの紙芝居ソング)」だったり、ソロがバンドに喧嘩を売る「FRIENDS」だったり、英語になんとなく聴こえる「Natural Lips」なんてのもやはりフックソングなのだろう。

 また、生放送のMステで口パクで歌ってみたり、ライブで初だしの曲に戸惑う客の様子をそのまま歌い上げる「トロッコにのって」など、曲という範疇にとどまらず総合パフォーマンスでもフックポイントは高い。

 対して、「式」などのエモさ漏れ出そうな曲こそ、岡崎体育の本気な曲なのではないだろうか。本当につくりたいのはこっちなんじゃないかと。

 よく練り、よく歌う、岡崎体育は、そんなアーティストのように思う。

罪の味 / ハンバートハンバート

 と、いろいろタイアップソングについてまとめてみたところでそろそろ終わりにしようかと思います。最後は、「罪の味」つながりで「ハンバートハンバート」の曲をどうぞ。

 ちなみに、「アセロラの歌」もタイアップだったのだけど、今回はあえて留めたみただけだからね!!!


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