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歌詞の写経で「!」と「?」をインストール

移動そのものは日常の一部だとして、移動の前後はいまだに非日常である。東京と鳥取の行き来をし始めて、1週間ほどの東京滞在が終え、先週末に戻ってきた。戻ると同時にすぐワークショップや打ち合わせ、猫たちが荒らした家の片付けやらでダダダと時間が過ぎ去っていく。移動前後がもう少しなめらかになっていけば日常感があるのだけど、その調整間隔を行き来の中で掴んでいきたい。何事も、やりながら考える、でいきまっしょい。

そのついでに自分の習慣を見直していて、「昔はよくやってたけど今はやらなくなったもの」「その中でもまた再開したいもの」ってなんだっけ? と振り返ってみる。とはいえ、すぐに出てこない。んーーーーーと悩んでいると、耳から入ってくるSpotifyの音楽、印象派の『常温じゃない関係』だった。

「不思議な歌詞なんだよなぁ」と聴き入ってると、ピンと思い出した。昔はよく「歌詞の写経」をやっていたのだった。写経といっても小難しいものでもなく、アーティストにとってのお経(歌詞)を書き写す、という極々シンプルなもの。

ライター時代、いろんな人の記事/文章を写経して時期があったのだけど、その流れで、アーティストの歌詞も写してみるかとやっていた時期があった。ミスチルやサザンなど高校時代よく聴いたものから、米津玄師やあいみょんなど最近のものまで、書き写してみることで言葉に対する「!」「?」を得ながら、彼ら/彼女らの脳みそを(完全理解はできずとも)追っかけることができる。

「この単語とこの単語をこう組み合わせるのかぁ(思いつかない!)」みたいな気づきとか。あと、同じアーティストの人のものを書き写し続けてると少しづつクセが見えたり、ある時から急に書き方変わったり変化を察することもできる。

さっきの印象派『常温じゃない関係』では「やたらEーの ただでイーノ」という歌詞がある。ぼくからすれば、なぜ「E」なのか、また「Eにーを足す」のが「!」だし、その後に「イーノ」とカタカナで表現してるところに「?」なんだけど、書き写すなかで前後の文脈も含めて、少しずつ書き手のロジックを追うことができる。

インタビューの書き起こしをしたことある人であればわかってもらえるかもしれないが、その音としての言葉を自分の指で文字にしていくなかで、その人の言葉がスッと自分の身体の中に入って憑依してゆく感覚を掴めるときがある。自分の言葉じゃないのに、その言葉が体内に宿っていく。そうやって蓄積し凝縮された言葉の数々が、いくとどなく活用&熟成されていくと(借り物でなく)自分の言葉として生命を帯びてくる(のだと思う)。

見つけた「!」と「?」を体内にインストールして、そのロジック(視点)を使いこなせるかどうか自分次第。なんだけど、物事の見方をいくつも知っていれば、同じものでも違ったものとして見ることができる良さはめっちゃあるわけで。

言葉は物事の捉え方を豊かにする(暮らしをベターにしていく)もので、そのちょっとしたアプローチとして歌詞を書き写してみる。耳で聴いてるだけじゃわからないことでございますよ。


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