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まちで”踊る”コンテンツを増やせるよう、「KILTA大山」はじめます。

はじめまして。合同会社TENG(テン)の大見謝(おおみじゃ)と申します。ざっくりとだけ自己紹介させてください。1988年の昭和と平成の狭間世代、長崎生まれ沖縄育ち、東京経由で今は鳥取大山を拠点に漂うように暮らしてます。

水木しげるを追って、鳥取にきました。今は東京拠点もあり、行き来してます。

フリーランスとして「移住」「まちづくり」「小商い」を軸にライターとして活動したのち、沖縄や東京での空きスペースの企画運営に関わってきました。2020年に合同会社TENGを立上げ、地域の多世代に向けた人材育成・教育プログラム(ワークショップ)づくり、地域に紐づいた広告(企画・情報発信・デザイン)業務を通じて、ローカルな場づくりに取り組んでいます。

そして、この度、「空間づくりを実践から学べるコミュニティ」として日本各地で「つくる人のつながり」を育み続ける「KILTA」を大山でもスタートすることにしました。

正確には、来年春からになるのですが、大山でKILTAはじめるにあたっての経緯をここでは紹介させてもらえればと思います。

5年間の暮らしの延長線上で、出くわす遊休スペース、みつかる”つくる人”不足

人口約15000人が暮らす大山町にきてから、いつ間にか5年が経ち、そろそろ6年目に入ります。母屋に蔵に厩にと少し広めの家を借り、寄り合いではべろべろになるまで諸先輩方と飲んだり、区長を務めたり、さまざまな経験をさせてもらうなかで、集落(田舎)で暮らすとはを何なのかを日々学んでいます。

自分の家を「アキナイイエ」として住み開きしながら、暮らしの実験を続けています。徒歩3分の集落内にもう一軒借りており、そこも外からの滞在拠点として整え中

そんな大山で自分が住む家をどう使っていくかを1年目から悩んでいたわけですが、ひょんなことから、徒歩3分にある廃園となった旧保育所スペースを地域でどう利活用していくかという組織づくりにも関わることになりました。

「近所におもしろい場所ができたらいいな」

ただただそんな好奇心から関わりはじめたのですが、以来、(超絶コミュニケーションに苦悩した)自治組織の立ち上げから、保育所のDITによるリノベーションのハード整備、人が集まるきっかけとしてのイベント・ワークショップなどのソフト企画運営までを5年近く続けています。

すると、ここで知り合う人を通じて、新たな遊休スペースにも出くわすようになりました。ただ、場があっても「①空間をどう使いこなすかのアイデアがない」「②運営していくための仕組みをつくれない」「③改修していける人材(または予算がない)」という問題があり、①②はぼく自身のソフトについてはわりかし得意なことでカバーできるのですが、③の部分には力及ばず歯がゆい状況も増えていきます。

「つくる人がつどう場をつくる」から共鳴したKILTA


その歯がゆさの根源である「改修していける人材」については、超一流の玄人じゃなくてもいいわけです。(技術を高め続けることは前提として)プロとアマチュアの間でよく、”つくる欲”があり、経験を積みたい人であれば、ローカルな物件には取り組んでいけると経験則的に感じています。

じつは、先ほどの旧保育所を運営する組織「なわのわ」ではさまざまな「つくる」が実験できるようなNEO公民館づくりを2年目から取り組んでいました。

拠点「なわほ」の喫茶スペースは、8ヵ月間と時間をかけ、スローなDIT方式でつくってきました

その当時からずっと気にしていた取り組みが「KILTA」でした。めざしている形がすでにあり、各地の「つくる人のつながり」が広がりはじめている。この仕組みを自分たちで名和でつくれないかと動いていたわけですが、2年ほど動いてみた結果、「ちょっと厳しいかな…」と感じたわけです。

理由としては、なわのわが活動する1200人ほどの地域では、あまりにも”つくる側”にまわる人口の分母が少ないことが挙げられます。東京約1700万人に対して、鳥取約56万人という人口格差がただでさえあるなか、さらにその中の町の、さらに地区なのです。となると、「つくる人」の集め方を少し考えなくてはいけません。

そこで一度「なわのわ」の組織の枠組みから離れ、フィールドをすこし拡張したTENGという弊社の活動として、再度「KILTA」に戻ってきました。運よく、その動きをスタート時点から眺めていた「KILTA山口」のやすむろさんは知り合いであり、代表のくわばらさんも数年前におしごとでご一緒した経験があり、なんとなく顔を知ってはもらっていました。

やすむろさんへの相談からはじめ、くわばらさんと3人で話が進めるなか、すでに大山で活動してきた場所やつながりを紡ぐような形態であれば「KILTA大山」をやれるんじゃないかという結論に至りました。

ちなみに、ここでの「大山」は大山町にかぎらず、(「TENG DENKI」と同じく)暮らしのなかで「大山(の山)が映るエリア」と位置付けています。そのため、米子や境港、松江などもギリギリ範囲内となります。

「KILTA大山」でやっていきたいこと

先ほど記したように、既存の活動を紡ぐようにKILTA大山を動かしていければと思っています。

「KILTA大山」のラフイメージ

ぼく自身がすでに関わっている4つのスペースを案件化し、そのプロジェクトを実践の場として、DIT(Do It Together)の空間づくりを共に学び、「インストラクター育成」から「近所の『ない』を『ある』に変える場づくり」を進めていきます。

ぼくの立ち位置としては、”ディレクター”なんですが”インストラクター”としても学びつつ、空間づくりに関心がある新たな人を巻き込んでいければと考えています。

そのためにもKILTAの「つくる人のつながり」を通じて、「インストラクターとは何ができるといいのか/必要なスキルセットは何か」の学び(人材育成)や「(可能であれば)先輩インストラクターに大山のプロジェクトに関わってもらう」などのサポートをいただきます。

もらってばかりでは申し訳ないので、ぼくらができる(かもしれない)こととして「学生との協働プログラム」や「リモートDIYサポート」などのナレッジ共有をさせてもらいます。最初から難しいとは思いますが、ただただ恩を受けるだけでなく、活動を重ねるなかでこちらから提供できるものも増やしていきたいです。

空き家が”踊りだす”ことで”踊り手”も増やせるよう

既に活動としてやってるからいいじゃん? という声もあるかもしれませんが、「KILTA大山」という旗を上げる自体の意味を大きく感じています。旗が上がることによって、散り散りになっていたプロジェクトがまとまり、「ここにいるよー」とお伝えできます。その旗をめがけて、近しい興味関心の人が集まり、グルーヴしていける可能性を感じています。

旗の考え方は、「『ここで生きてゆく』人たちの旗印になる」を掲げる京都をはじめとした「移住計画」プロジェクトに関わるなかで、身に沁みついたものです

この旗をかかげるかんじ、”あの動画”と似てるなぁ、と、ふと思いました。

「リーダーシップとは何なのか」についてのTEDでのプレゼンテーション。一人で陽気にへんてこな踊りはじめた男性がおり、その人に釣られて二人三人と徐々に加わり、最終的に大きなムーブメントとなる。しかしここで指摘されるのは、踊りはじめた一人目よりも、最初にフォロワーとなった二人目が重要であること。

つまり、「旗を上げたとて」であり、それだけに意味はなく、その旗をみつけ、そこにジョインしてくれる人がくれてこそ。だからこそ、インストラクターをはじめ、ワークショップなどを通じて空間づくりをみなさんと愉しく進められるように心がけたいです。

大山でKILTAプロジェクトが進むなか、空き家や廃園などの遊休スペースも、場として”踊り”はじめれば、新たな人や情報を引き寄せる風景を地域の人に眺めてもらえる。そこから「わたしも踊りたい」と空間づくりに関心を示す人(大家さん含め)が増え、ポジティブ・ループに転換していければなあと思います。

まちやどのコンテンツをつくってから、後、編んでゆく

また、その”躍り”だす場が、(地域の内>外に意味ある)新たなまちのコンテンツになればと考えています。

名和駅すぐ横の「saku box」。元々駄菓子屋だったスペースを、高校がないため隣町へ通う子たち(と地域の人)のつどえるたまり場にできないかと、地元の高校生らと企画&リノベを進めてます

言い換えると、KILTA大山のめざす先に、まちを一つの宿と見立てた宿泊施設「まちやど」があるのではないかと。まちやどは言い換えると、「既存のまちのコンテンツをつなぎ合わせるコミュニティデザイン」として編集視点でまちに関わることだと捉えています。

ただ大山町においては、そもそもの徒歩圏内に店舗(コンテンツ)自体も少ない現状があります。そのため、KILTAを通じて空間や場を「つくる人」を増やし、まちのコンテンツづくりからはじめ、最終的に”まちやど性”を帯びられるように活動を積み重ねていきたいです。

人や地域、情報、領域など、さまざま点と点をつなぎ合わせ、(TENGの”G”を読めば”天狗”が現れるように)見える化していくのが弊社TENGのローカルにおける役割だとも自負しております。

来春、大山町でキックオフイベントします

2023年にはじめるKILTA大山。まだまだ準備段階のくせに紹介がだいぶ長くなってしまいました…。じつは「タレント(クリエーター)としての”大工”」などKILTA大山については言い足りない話はいくらもあるのですが、来年3月4日(土)のキックオフイベントにてお伝えできればと思います。

KILTA代表・くわばらさん
KILTA山口・やすむろさん

代表のくわばらさんをはじめ、「KILTA山口」を動かすやすむろさんが大山までいらっしゃいます。改めて「KILTAとは」の話から、大山ではどういう動きをつくっていけるかを参加者の方を交えてディスカッションできればと。詳細は追って紹介させてもらいますね。

また、11月4日(金)にも直接的ではないですが「KILTA大山」のエッセンスに触れるであろうイベントが東京谷中@HAGISOで行われます。もしもろもろツッコミたい方、準備段階から絡んでくれる方、いらっしゃたらお越しくださいませ。

とにもかくも、KILTA大山、はじまります!

大山を中心とした山陰のみなさま、また各地のKILTA先輩のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

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