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オンラインで祭りイベントをやってみてわかったこと~成功に必要なポイント~

新型コロナウィルス感染症の影響で全国各地の夏祭りが中止を余儀なくされた今夏、この状況を何とかしたい・日本の祭り文化を盛り上げたいという気持ちで、祭の主催者や関係者の皆様の協力をいただき、8月15日に「オンライン夏祭り」を開催しました。

全国各地の祭りを現地に行かずに参加できるイベントということで、配信された動画の再生回数は2万回を超えましたほか、テレビや新聞など多くのメディアに取り上げていただきました。

今回イベントを主催したことで分かった運営のポイントや気づきを、これからオンラインイベントをやろうと考えている方々にシェアしたいと思い、この企画を手がけたオマツリジャパン加藤のインタビューを公開させていただきます。

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―今回オンラインイベントを主催するにあたり、最初に心がけたことは何でしょうか?

加藤 参加者にとっての当日の体験が、情報を一方的に受け取るものではなく、少しでも祭りに「参加」した気分になってもらえるようにするにはどうしたらいいか、ということですね。過去のお祭りの映像を流すだけでは、映像を見るだけの一方通行のコミュニケーションになってしい、視聴者の満足度は上がりません。参加して、感想や想いを発信して、それに対して周囲からの反応がある、というような、同じ体験を共有して共感できる空間をオンライン上で作り上げたいと考えていました。

—オンラインで実施するのに向いている祭りのジャンルはあるのでしょうか?

加藤 祭りには様々なジャンルがあります。お神輿、山車、阿波踊り、よさこい、なまはげ、雪まつり、火祭り、裸祭り・・・その中でオンラインでも体験感を共有しやすいのは「踊り」だと思いました。踊りであれば、踊り手さんから直接レクチャ―を受け、画面越しに一緒に踊れますから。
ゴールデンウィークにもオンラインの盆踊り企画をやったのですが、外出自粛要請の中で、ストレス発散になった、楽しみが増えたと、非常に喜んでいただけたのも自信になりました。

①GWに開催したオンライン盆踊りのバナー

ゴールデンウィークに行なった「WEB盆踊り」


—今回のイベントでライブ感や一体感を出すための仕掛けについて教えてください。

②カメラ複数台ある様子 (1)

「オンライン夏祭り」配信の様子

加藤 まず、基本的で一番大切なことがあります。オンラインイベントで大切なのは、電波(通信)とカメラとマイクです。多少予算をかけてでも電波は死守!です。
そして、ライブ感をより一層演出し、一体感や体験感を共有するためのポイントが、「カメラの台数」です。一定の見応えのある配信をするためには、1箇所のステージで、3台のカメラが必要です。分かりやすく言いますと「引き」「寄り」「動き」の3点を伝えるための3台です。このカメラアングルでの画像切り替えがライブ感と一体感には不可欠ですし、視聴者の満足度に直結します。普段テレビでなんとなく見ている映像も、長時間飽きずに見られるようにするための工夫が詰まっていることを今回身をもって学びました。オンラインでは画面を通じてしか伝えられないからこそ、見せ方は常に意識しなくてはいけないですね。

—オンラインイベントでライブ感や一体感を出すためのポイントは何でしょうか。

加藤 今回、出演団体に対して寄付ができる、いわゆる投げ銭を導入したのですが、これお祭りを(自分のお金で)応援する行動にもなり、出演者と参加者の一体感を感じていただけるポイントになったと思います。お祭りの主催者さんにも視聴者さんの想いと行動が見えるハッピーな結果になりました。
イベント当日の一体感をさらに高めるアイデアとしては、参加者に対して、祭礼に関係する・踊りに関係するアイテムを事前にお届けし、当日はみんなでそのアイテムを持ちながら踊りを体験する、という演出などが考えられますね。
他にも、七夕飾りを一緒に作るワークショップや、踊る時の鳴子も作るワークショップなど、共通のアイテムを参加者のもとに届けることができれば、オンラインでもライブ感や一体感が得られる企画になると思います。

③出演団体応援ページ

投げ銭として出演団体に寄付できる仕組みとした

加藤 場所は離れていてもアイテムや体験で一体感を得ることが出来る仕掛け作りはこれからも継続したいと思います。

—オンラインイベントの今後の展開について。

④共通のアイテムで一体感(のどごし生オンライン祭り)

加藤 今後取り組んでいきたいのは、ECサイトなどオンラインでの物販との掛け合わせですね。楽しい体験や一体感を得た後の思い出として、他の人にシェアするツールとして、また、その祭礼や地域を応援するアクションとして、物販と連動した仕掛け作りも必要です。オンラインイベントは、地域や地域文化に興味を持っていただくきっかけになると思いますが、その次につながる仕掛けをどうするかも今後のテーマだと思います。応援の気持ちを投げ銭や購入という形に変えることも企画者側には必要な目線ですね。

—withコロナ時代に入り、お祭りがオンラインに移行していく流れは今後も続くのでしょうか?

加藤 あらゆる祭りやイベントがオンライン化されていますが、言い方を変えれば、オンラインでしか祭りができない、いわば選択肢がない状態だとも思います。コロナが収束しても、世の中全てがコロナ前のようには戻らないとも言われています。しかし、祭りやイベントの一体感やライブ感は、オフラインでしか感じることができない魅力が少なからずあると考えています。ある調査では、オフライン体験の代替としてのオンラインサービスは、継続して利用したい意向が低いという結果もあります。 

⑤リアル体験のお置き換えは継続意向が低い

リアル体験を置き換えたデジタルサービスは、継続意向が低い傾向に【電通デジタル調査】
https://markezine.jp/article/detail/34431

加藤 一方で、オンラインだからこそできる企画、オンラインじゃないとできない企画というのもあると思います。
今回のオンライン夏祭りだと、祭りの研究者や主催者を集めた「お祭り未来会議」や、ご当地観光大使たちが地域のPRバトルを繰り広げる「ご当地ガールズコレクション」など、普段交わらない人や地域を掛け合わせる企画を展開しました。物理的な制約がなく、地域を超えてリアルタイムで繋げることができるのが、オンラインならではの魅力だと思います。また、地域やお祭りに興味はあるけど現地に来るほどではない層の人たちを引き寄せる呼び水にもなると考えています。

⑥ 地域をまたいだPR対決

(大阪、徳島、群馬のご当地ガールズがPRバトルを繰り広げた)

—なるほど。オフラインではできない要素があることが大切なんですね。


加藤 はい。先ほどもお話した、画面越しに踊り手さんから直接踊りのレクチャーを受けるという体験のほか、祭礼当日に現地にったら会えないであろう神輿を作る職人さんや神職さんの御話を聞けたり、今までなら見ることができなかった神事の様子を視聴できたり。オフラインではハードル難いことも、オンラインなら実現できることを見つけていくことが大切だと思います。
これまでは「行くか」「行かないか」の2択だったものが、「現地に行かないけど楽しめる」という新しい選択肢が増えて、「今度行ってみたい」という気持ちにつなげることが、オンラインの祭りやイベントの目指すべき姿なのではと思っています。

お読みくださり、ありがとうございました。

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