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この罪は許されるものなのか

右腕の白い長袖Tシャツに血が滲む

またやってしまった

証拠が残ってしまう

なんとかしなくては

何度同じことを繰り返してしまうんだ

ぼくはまた罪を犯してしまった

殺めてしまった

そうせざるを得なかった

初めてではない

長年同じことを繰り返してきた

いくつの命を奪ってきてしまったのだろう

殺めてしまった後は血を拭い

後悔の念でいつもと同じように処理をする

血で滲んだティッシュを人目に触れぬようゴミ袋に詰める

しばらくゴミ袋を眺めながら

自分がゴミ袋の中にいる立場だったらと考える

虚しい

この罪は許されるものなのか

右腕のTシャツをめくり

血で染まった腕を洗う

念入りに洗う

証拠がなるべく残らぬよう

外から緑色のとげとげしたものを手でちぎり取り

さらにそれを小さくちぎったものを洗った腕にこすりつける

これ以上の苦しみを味わいたくない

念入りに何度も何度もこすりつける

頼むからもうこれ以上ぼくを苦しめないでくれ

ぼくは奴らから長年に渡り嫌がらせを受けていた

物心ついた時には殺める行為を覚えてしまった

いけないいけない思いながら

その苦しみに耐えられなかった

奴らが許せなかった

我慢の限界だった

だから話し合いもせず殺めてしまった

話し合いができる相手ではない

正当防衛ではないか

その目に見えない境界にはそれぞれの見解があると思う

被害を受けた後では遅い

息を止めて我慢する方法もあるがそれにも限界がある

奴らは毎年紫陽花の季節に嫌がらせにくる

水を求めてやってくる

血の色をした奴らの子供達

嫌がらせにくる奴らの子供達には頻繁に出くわす

その時に何とかすればよいのだが

奴らは大勢で嫌がらせにくる

それを防ぐのはたやすいことではない

目に見えるものは事前に防ぐことができる

懐かしいにおいの煙を炊いてみる

若しくはピレスロイド系成分を電気の熱で揮発させる

やっかいなのは眠りについた時だ

奴らは暗いところを狙って嫌がらせにくる

無防備な時を狙って

そのやり方が許せない

気持ちよく眠っている時に限って現れる

耳元で音がする

ぷ~ん

暗いから探し出せないと思って

気付いた時にはもうどこか吸われている

足の指なんて吸われたら最悪だ

かゆこそばゆいあの感じ

とても不快だ

君を殺めなきゃ眠れないじゃないか

電気をつけ息をひそめる

やはりやってきた

二酸化炭素を求めて

口の辺りにある2本組の小顎髭にあるセンサーを使って寄ってきた

止まって直ぐ離れないよう我慢する

そこはもう諦めて

ごめん


色白の肌に血が滲む

またやってしまった

ぼくはまた罪を犯してしまった

殺めてしまった後は血を拭い

後悔の念でいつもと同じように処理をする

血で滲んだティッシュを人目に触れぬようゴミ袋に詰める

しばらくゴミ袋を眺めながら

自分がゴミ袋の中にいる立場だったらと考える

この罪は許されるものなのか


そう思いながらも殺めた後の何とも言えぬ安心感

そしてぼくは深い眠りにつくことができた


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99投稿目の駄文です。

カニさんに背中を押していただき、ピリカさんの募集企画用に書きました。

カニさんに背中を押していただけなかったら書かなかった駄文です。

昨日一日中考えてかいたものはこんなもんです。

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ヘッダーはvia myroomさんのイラストを使用させていただきました


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