紀尾井町に一人だけ味方がいた
就活をしていて、周りの全員が敵に見えたことは一度や二度ではない。特に出版社の選考を受けていたときは、あまりの倍率の高さに、周りが敵に見える確率がかなり高かった。しかし、紀尾井町にある出版社を受けたときに一人だけ味方がいた。三橋くんだ。
三橋くんと会ったのは、二次面接のグループワークの時だった。線が細く、メガネをかけた三橋くんからは賢さが漂っていた。自己紹介をする声も低く落ち着いていて、「こういう人が受かるんだろうな」と直感的に思った。一方私は体力と元気さだけが取り柄の体育会