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【備前焼研究】古備前焼を鑑定する:考古学的価値(歴史的価値)とは?【古備前鑑定】古陶磁鑑定美術館 監修

こんにちは、古備前鑑定の古陶磁鑑定美術館です。

古備前焼鑑定査定評価の要点とポイント

前回は、『古備前焼を鑑定する際の5つの価値』について解説しました。

古備前焼に限らず、古美術品や骨董品の鑑定時は、単純に年数や古さだけを見ている訳でなく、希少性や傷の有無や市場での人気など、総合的なバランスを評価して価値を判断していたのです。

古備前花入 古伊部花入 古備前花生 古伊部花生 古備前掛花入 古伊部掛花入 古備前掛け花生 古伊部掛け花生 古備前掛け花入 古伊部掛け花入

一見すると、パッとしない壺やお皿が、とても高額な評価になるのは、そのような理由があったのですね。

記事引用:前回の記事を読んでない方はこちらから

古備前(骨董品)がどのような要件で評価されているかを知ることは、古美術の世界を理解する上で非常に役に立ちます。

古備前焼鑑定査定評価の要点とポイント

そのため、今回からは、その『5つの価値(要件)』について、それぞれ一つずつ詳しく紹介していきたいと思います。

最初は、『考古学的価値』についてです。

「考古学的価値」とは、文字通り、歴史を考察する上での一時資料(時代資料)としての価値のことです。

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つまり、「歴史的な価値」と言えます。

この歴史学的価値は、原則「古ければ古い」ほど、価値が高くなる傾向があります。

なぜなら、古いほど現代まで残っている残存数が少なくなることも関係しますし、古い時代の歴史ほど未解明の謎が多くなるため、歴史学的資料としての価値が高くなることも関係します。

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考古学の世界では、例えば、桃山時代の大名の「黄金の鎧兜」と、同じ時代の武将が書いた「書」が出てきた場合、後者の「書」の方が、価値が高いと判断されるケースだって普通にあり得るのです。

以下の事例で考えてみましょう。

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美術、骨董的観点から見れば、戦国大名の黄金の鎧兜なんてものが存在したならば、それは物凄い金額の鑑定になるだろうことは言うまでもありません。

しかし、考古学的価値で見た場合は、あくまでも豪華な「戦国時代の鎧兜」であり、当時の伝来品は多く残っているため、特に珍しくもない品と評価されてしまうのです。

古備前花入 古伊部花入 掛け花入 掛け花生

後者の「書」の場合は、美術的観点で見れば、あくまでも「桃山時代の書」であり、見た目の美しさや、書き手の著名さ(信長など)がなければ、それほど価値は評価されません。

しかし一方の考古学的価値で考えた場合、その書に、例えば「関ヶ原合戦」につながるような内容が書かれていたり、武将同士の同盟を証する書面だったり、未解明の歴史を明らかにするような内容だった場合は、途轍もなく高い評価がなされるケースがあり得るのです。

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このように、「考古学的価値=歴史的価値」とは、単純に古ければ良いと言うだけではなく、その中身を評価していくと、より深い古美術品の価値が鑑定できるようになります。

美術館や博物館の学芸員の方や鑑定士の方以外の、コレクターや収集家の方や数寄者や茶人の方でも、これらの知識は役に立つでしょう。

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ぜひ、古陶磁鑑定美術館のコラムを今後とも宜しくお願い致します。

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