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歌集『レインドロップ』を読む。

大塚亜希氏の
歌集『レインドロップ』を読んだ。


書影

※付箋が映り込んでいます。

本としての紹介

華やかな表紙から、ほんわかした内容かと思いきや、
良いことばかりではなく、人生の起伏がある。


五首選

処世術を誰もが持ちて歩む道傘をさす人傘ささぬ人

36ページ

何気ない光景から、通行人それぞれの個性を感じている。

傘をさそうかさすまいか微妙な降り具合の雨の時は、
傘をさす人とささない人が分かれる。
その判断の違いを「処世術」とした面白さ。


粉雪を降らさんとする白雲にルビふるようにすずめは飛べり

76ページ

風景の捉え方が面白い一首。

すずめの小ささをルビに見立てた点や、
白雲が雪を降らせそうだという描写で、冬ではないかと想像させる。


見つかると信じなければ見つからぬ間違い探しの最後のひとつ

81ページ

四つ葉のクローバーも、探さなければ見つからないと聞いたことがある。

間違い探しも、最後のひとつを見つける時が特に難しい。
気の持ちようの大切さや、それ以上の深みがある一首。


高く飛ぶ前には深く深く潜れ二頭のイルカがボールを弾く

121ページ


「潜れ」は命令形だが、応援的な意味合いも感じた。

爽やかな光景が脳裏に浮かぶ一首。


まとめ

一冊中に人生の起伏がある。

具体的には
人生の色々な問題や場面がある。
結婚、病気、入院、親族の死、人生の決断・・・などなど。
見に積まされる内容も多々ある。

それでも
読者が一冊を最後まで読み切ることが出来る、
短歌の魅力がある。

歌集としては、一冊中の連作の組み立て方の参考になる。


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