見出し画像

【新型コロナ最新データ】抗原検査キットの精度?血液型でリスク変わる?経済的な男女格差?資産でうつリスク解消?など

コロナ関連の知見まとめです!

コロナと社会的・経済的な男女格差

世界中で「女性よりも男性の方が感染率、入院率、死亡率が高い」ってなことは広く確認されてますけど、新たに「間接的なダメージは女性の方が大きいかもしれないぞ!」みたいなデータ(R)が出ておりました。

これは2020年3月から2021年9月に世界中で行われた調査のデータセットをもとに、

  • ワクチンの接種状況

  • ヘルスケアサービス

  • 経済的・仕事関連の懸念点

  • 教育

  • 家庭やコミュニティの安全性

などをチェックしてまして、「パンデミック期間中、男女にどんなギャップが生じているの?」ってところを調べたんだそう。数年前までは世界中で男女平等を目指して突き進んできたわけですけど、パンデミックでその歩みはどの方向に向かったのか?ってことですね。

その結果、女性は男性よりも社会的・経済的なダメージを大きく受けていることがわかりまして、具体的には、

  • 女性は男性よりも多く失業を報告していた(26.0% vs 20.4%)

  • 2020年3月時点では他人の世話のために女性が仕事を辞める割合は男性の1.8倍だったが、2021年9月には2.4倍にまで増えていた

  • 期間中、休校などの理由以外で、女性は男性よりも学校をドロップアウトする確率が1.21倍高かった

  • ジェンダーベースの暴力を目撃する確率も1.23倍高かった

だったそうです。このような傾向は世界中のほとんどの地域で確認されたらしく、今回のパンデミックは男女間の格差を広げる方向にすすめてしまったわけですね。

このような傾向が見られた原因について研究チームは、

  • 女性の方が男性よりも接客業や家事代行のような対面での労働が必要な職に就いていることが多い

  • 世界的なジェンダーに関する社会的規範が暗黙的に女性に家事や育児を押し付けがち

といったポイントを想定しておりました。特に後者に関してはコミュニティ全体としてぜひ意識しておきたいポイントですね。

さらに研究チーム曰く、

社会は、Covid-19の流行によって男女平等の進展が停滞・逆転しないよう、女性の能力向上への投資が極めて重要な時期にある。

パンデミックによる社会的・経済的な影響をポストコビットの時代まで継続させるわけにはいかない。現在の格差を解消させるだけでなく、パンデミック前の格差をさらに縮めるための行動が求められている。

とのこと。人間、ストレスの多い状況下では理想よりも無意識下に染み付いた価値観に従ってしまいがちになりますんで、周囲の人たちへの態度が違いすぎちゃいないか?ってのは日ごろから意識しておきたいところです。


「資産」がパンデミック期間のうつリスクから守ってくれる説

「資産を持っている人ほどコロナ期間の慢性的なうつリスクが低いんじゃない?」みたいなデータ(R)が出ておりました。今回のパンデミック期間中で慢性的なうつを経験する人が大きく増えたってデータは有名ではあったんですけど、そのリスクは「資産」の多寡によって変わってくるんだ、と。

この調査は18歳以上の米国の成人のサンプルを用いて、2020年3月から2021年4月にかけて行われたもので、みんなの慢性的なうつ症状とどのくらいの資産を持っているか?っていうデータの比較を行ったんだそう。ちなみにここでいう「資産」には金融的な資産のみならず、結婚や学歴といった社会的、物理的な要素も含まれてます。

その結果何が分かったかといいますと、

  • 2020年でも2021年でも約5人に1人が慢性的なうつを経験していた。男性よりも女性の方がそのリスクが高く(25% vs 15%)、年齢別では18~39歳の若いグループが最もうつを経験していた

  • 全体的に、資産を持っている人ほど慢性的なうつ症状が少なかった。つまり、貧乏な人より裕福な人、高卒の人より大卒の人、独身の人より結婚している人の方が慢性的なうつのリスクが低かった

  • 特に世帯収入と貯蓄が多い人ほどその影響が顕著だった。しかし、失業や経済的な問題、人間関係のストレス等を抱えている人はいくら資産があってもうつリスクが下がらなかった

みたいになってます。こう見ると20~30代の人は、どうしても収入が少なくなりがちだし、結婚もこれからの人も多いし、人間関係も不安定になりがちだし、孤独感が募りやすい時期だしってことで特に精神衛生上の問題にも気を配っておいた方がいいかもしれないですねー。


コロナの移動制限が世界中のデング熱症例まで減少させた?

毎年右肩上がりに患者数が増加していて、世界人口の約半数が感染リスクを抱えているといわれているデング熱。新しい研究(R)では「2020年のデング熱の症例が激減してたんだけど、それってパンデミックによる移動制限とかが関連しているんじゃない?」って結論になっておりました。

ここではデング熱の主要な流行地域である中南米16か国と東南アジア7か国の月別デング熱患者数のデータを集めて、気温、湿度、降水量のほか、学校や店、公共交通機関の制限、人間の移動状況などとの比較を行っています。

すると、パンデミックに伴う公衆衛生、社会的な対策の導入とデング熱症例数の間には明確な関連が認められまして、

  • 2019年には408万人いた感染者数が2020年には228万人まで減っていた(44.1%減)

  • 地域別では中南米で40.2%、東南アジアで58.4%減少していた

  • この結果は、学校や公共交通機関の閉鎖、外出禁止、移動量の減少、滞在時間の短縮など、いずれの介入とも独立して関連していた。また、気候やホスト免疫を考慮に入れてもなお維持された

  • コロナ対策によってデング熱の症例が72万件ほど減少したと推定された

だったそうです。もちろんこの結果は、治療や診療を受ける人の数が減ったこと、誤診の可能性が高くなったことなども影響していることが考えられますが、一部の国ではあらかじめこの事態を予想して診断と治療を受けるように促すアウトリーチ活動を行っていたらしい。しかし、重症率、死亡率には変化がなかったことから治療を受ける数の減少がこの結果の主たる原因ではないと指摘されてます。

まあ実際には2020年はデング熱を完封した国もあれば新しい変異体が出現したことによって例年よりも発生率が増えた国もあったりして、解釈は容易ではないでしょう。なんで、2022年以降も動向の監視がマストではあるものの、デング熱を予防するための新たな介入策やターゲティングにつながってくれたらうれしいですよねぇ。


家庭用の抗原検査キットってPCR検査とどのくらい差があるのか?(プレプリント)

米国では来週から2回目の抗原検査キットの注文が可能になるそうですけど、「自宅でできる抗原検査ってどのくらいPCR検査に劣るの?」ってのを調べたプレプリント(R)が出ておりました。

PCRがウイルスの遺伝物質を検出する方法であるのに対して、抗原検査はウイルスの特定のたんぱく質を検出する方法で、実験室での分析が不要、15分程度で結果がわかるというのが売りですよね。

これは米国の5,726人の参加者を対象に、2021年10月から2022年1月までのデルタ、オミクロンサージの両方をカバーする期間で行われています。全員には48時間おきの検査を15日間行ってもらった結果、以下のようなことがわかったそう。

ここから先は

2,135字

¥ 250

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?