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昨日のことが昔のように、時間は行ったり来たり。


昨日のことが、凄く昔に感じる。

友人にキャンプをしようと誘われて、長野に来た。
車で山へ向かっている途中で、友人に急用が入り、最寄り駅で降ろした。
「ごめん、キャンプ楽しんで」
「うん、気にしないで良いから」

一人キャンプか。どうかなぁ。
普通に観光に切り替えようかな、なんて考えていると、山の中、道に迷った。
ネットが繋がらない。
車を停めて、ネットが繋がる場所を求めて少しだけ歩く。

「ん?」
振り返ると、さっきまで歩いていた道と別の道に見える違和感。
戻ってみたが、車をどこに停めたのかすら分からない。

ヤバッ。
そこから、とにかく山を下りようと、一晩中歩いた。
山は下りたのだけれど、街がない。
家からは灯りがなく、暗い。
街灯も灯っていない。
怖い。

時折、ガサっ。と獣の気配。
恐怖。
とにかく、どこかに辿り着きたい。
ダメだ眠い。何やってるんだろ。

と、空が明るくなり始め、辺りの様子も分かってきた。
「……」
何もない。
廃墟のような場所。

どこ?

すると、スマホの呼び出し音が鳴った。
着信を見ると、昨日別れた友人。
「もしもし?」
「あ、でた、今どこ?」
「え、昨日別れてから、道に迷って」
「え、昨日って、お前がいなくなって、もう四年は過ぎてるんだぜ」
「四年?」
ふと、廃墟の建物にある、看板を見ると「2097年」の文字。

へ?
と、唐突に電話が切れた。
友人の世界では、四年が過ぎ、ここの街は、もっと先の未来のような。
いやいや。

でもまぁ、昨日のことが、遠く、昔に感じるのは事実。
と、猿が二匹横切った。
こわっ。

猿の惑星。
いやいや。



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