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株主というステータスホルダーになろう

 金融教育の専門家遠藤です。

 2024年春闘は前年に続き素晴らしく活況でした。ベアと定昇を合わせたら前年比5%のに賃上げを実行している会社もあります。

 数字だけを額面通りに受け取るなら手取り年収700万円の人であれば年30万円前後の固定報酬アップですから物価高で実感がわきにくいとはいえ、良いニュースです。


 ただ株式投資をしているおくちか読者の皆様からすると、5%って大した水準ではないですよね?

 例えば50円配当の会社が55円に増配したら増加率は10%です。また、人件費は費用の一部ですから仮に5%上がったとしても収益や粗利が10%上がれば人件費高騰分をはるかに上回る利益が会社に残ります。

 10%の収益アップ粗利アップは現場にとっては大変なことです。営業努力、製造努力、仕入れ努力をもって業績向上はあります。ベアだけでは社員に業績向上の果実を届けることができないので業績連動型の報酬として多くの企業に設置されているのが「賞与」です。

 会社によって賞与算定式は異なります。
 営業利益連動、純利益連動、単体ベース、連結ベース、または目標達成率という指標をおいている企業もあります。

 どれも一長一短があります。
 プロフィットセンターは営業利益連動が理にかなっていると思いますし、経営陣は節税努力までの責任をおう純利益連動が良いと思います。

 目標達成率、というのはよくわかりません。
 仮に前年の2倍の業績目標が掲げられた場合、業績が1.5倍になっても賞与が減給という可能性があるからです。現状に満足しないために、という視点はあるものの、一般的に前年と同水準の業績をあげるためには、前年以上の目標に向かって走らないと実現できないのは自明のとおりです。
 業績連動型が、財務的視点でみると納得感があります。


 ここまでの話で何が言いたいかというと、
「自分の会社の賞与算定式を把握してください」
ということです。

 業績向上が賞与上昇に繋がるようになっているはずです。
 ただ、業績と賞与は完全比例はしないと思います。賞与の伸びの方が低く抑えられ、会社に多くの利益が残る構造になっているはずです。

 ちなみに、フルコミッションの成果主義営業マンなどの場合は、個人成績が全てなので、全社の業績は関係ない算式になっている場合があります。


 賞与構造を知ることは、労働者の限界を知ることにもつながります。
 「もっと人に払ってもいいんじゃない?」という感想になります。

 これは、「赤字でも企業は給与を払わないといけない」という人件費を債務として見る考え方があるからです。業績が赤字でボーナスゼロでも、固定給は発生する企業がほとんどです。

 つまり労働者は報酬の上下のリスクが低い箱の中にいるということです。

 急に路頭に迷う可能生が低い代わりに、とんでもない高額報酬が得られるわけでもない、というのが一般的なサラリーマンの構造です。もちろん、大手企業の役員クラスになれば相当額の報酬になりますが、任期が短い場合は役員期間に築ける資産はそこまで多くない場合もあります。納税額も高くなりますし。

 普通のサラリーマンをやっているだけでは大した財は築けない。これは、報酬体系と企業の利益を残す仕組みを理解すれば明確です。


 ではどうしたらいいか。


 それは「株主になること」です。

 株主は、会社が稼いだ利益による配当や業績向上によるキャピタルゲインを受け取る立場にあるステークホルダーの1人です。

 株主になることで、搾取される側から搾取する側に回ることができます。
 しかも、上場企業であれば、会社を選び放題。自社の業績がイマイチなら、他社の株を買いましょう。


 私は、子供達が自身で財を築ける力を身につけて欲しいので投資教育を実践しています。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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