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今日もドローという日々を。

5.11 木

 AM4時16分.緊急地震速報が鳴る。リビングのソファーで寝落ちしていた夫がすごいスピードでガラリと寝室の扉を開けた。
 「地震だ」私は寝転んだまま、夫は寝室の入口で仁王立ちして地震を迎えた。
 あの時から、地震が来ると夫がささっと近くに来る。時に手首を掴まれて、安全そうだと夫が判断した場所に連れていかれることもある。
 それは、構造と全く関係ない飾り柱の下だったり、片持ち構造の(下が支えられていない)トイレだったりして、建築を生業としていた私としては全くの頓珍漢な場所と感じる場合もあるけれど、そんな夫はとても良い。きゅんである。

 本当は、地震が大の苦手な夫なので、私を助ける為に来ているのか助けて貰いに来ているのかわからないけれど。(「主に愛情」では無いだろうなと思う事は、結婚していたらままある。)

 いや、きっと助け合う為に来ている。と思おう。一緒に生きている甲斐とはこのことか。


 夫にプロポーズをした。
 と言っても、結婚式の2次会(の余興)で、新郎に手紙を書くことを頼まれていた(幹事をお願いした友人に)のに書いていなくて、咄嗟にアドリブでしたプロポーズだけれど。

「私はひとりいても誰と居ても幸せになれるけれど、あなたはきっと私が居ないと暗い暗い人生になるでしょう。あなたを幸せに出来るのは私だけです。しょうがないから私があなたを幸せにしてあげます。」(某snsにあげていた方がいたのでほぼ原文と思われる)

 偉らそうだし半ば呪いだ。(今考えると)

 この呪いに私は、私が、縛られて生きている。

 この人ちゃんと幸せになってるかな?まさか不幸じゃないよね?まさか。と斜め下から夫の顔をそうっとそうっと伺って日々を生きている。

 人を幸せにするってことは大変なことだ。


 ところで先日のゴールデンウィークに夫の身に降りかかった『ショックな出来事』だけれど、(水筒からカランと氷の音が聞こえる抜粋↓)

夫になにやらショックな出来事があったらしい
《中略》
 それは例えるならば、必死でコンプリートしたビックリマンシールをうっかり燃えるゴミに出しちゃった、みたいな。50年継ぎ足し継ぎ足し使っているお店秘伝のタレをうっかり全部流しに流しちゃった、みたいな。やっとやっと大学に受かったのにうっかり入学金振り込み忘れて入学取り消し、みたいな。そんな感じの出来事で。
(例え話で分かりづらくするタイプ)

水筒からカランと氷の音が聞こえる 参照

 あれからゴールデンウィーク中も、今週もずっとずっとどんよりと暗い夫をみかねて、少し調べてみたところ、見事解決方を見つけた(私すごい!)。そして、見事に本日解決したらしい。私、賢すぎる。

 例えるならば私は、捨てられたビックリマンシールを焼かれる直前に見事発見し、継ぎ足し継ぎ足し使っていたタレの壺に遜色無く同じ味のタレを再現する事に成功し(うっすら昔のタレも残っていたから継ぎ足しと言っても過言では無いでしょう。ぐらい見事に)、大学にどうにかこうにか頼みごんで見事補欠合格にしてもらった。
(どこまでも、例え話で分かりづらくするタイプ。だし、見事見事うるさいし。)

 私は今日、夫の女神でありヒーローであり内助の功って奴になった。(自画自賛がすごい)

 つまり、もういいかなって、もう幸せにしようと頑張んなくていいかな?ってちょっとちょっとだけちょっとだけ、思ってる・・・。

 夜。見たことも無い笑顔で帰ってきた夫に、WBCで優勝決まったみたいなハグを決めて(WBCはみてないけれど)尋ねる。

「これだけで、私と結婚してよかったよね?ね?ね?」って連発して。
 もう幸せになったって事で良いですか?十分でしょ「Is this enough?」の気分満載で。
(英語が合ってるかはしらん)

 続けて
「ね?妻は顔じゃなくて賢さで選ばないとね。」
 胸を張る。

 「・・・顔でも選んでるよ」
 ちっちゃい声で夫が答えた。きゅんである

 今日の幸せ、ドローという事で。


夫に不幸が襲った回はこちら

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