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#小説
時代小説『龍馬、その傷を見よ!』
「先生、伊東甲子太郎様の配下の御陵衛士と名乗るお武家様が、御用改めに来られております」
元相撲取りで用心棒の藤吉が二階に上がってきて告げた。
「俺に会いに来たのか」
「いや、中岡先生をお探しに来られたと察します」
坂本龍馬と中岡慎太郎、顔を見合わせる。
「何人だ」
「お二人です」
「分かった。俺が応対する。通せ」
火鉢を挟んで北側の床の間の前に龍馬が座り、南側に慎太郎が座っていた。
時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第21話「万国公法をエサにして」
齊藤一が菊屋の二階に上がると、やはり毛内有之助がいた。
「齊藤さん、見ていましたよ。中岡慎太郎が近江屋に逃げ込んだのですね。よりによって、近江屋を選ばなくても良いのに」
「毛内さん、ご苦労様。見ての通りだ。厄介なことになった。ところで何かありました」
「伊東甲子太郎さんからの伝言ですが、情勢が変わってきているそうです。土佐薩摩とは深入りせず、距離を置くそうです。そして早々に、御陵衛士を解散し