OKOPEOPLE - お香とわたしの物語
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本
オープン・フェア・スロー──お香と社会の3つの「隙間」
こんにちは、お香の交差点OKOCROSSINGを運営している麻布 香雅堂代表の山田です。
お香をはじめとする和のかおりの専門店・香雅堂を手伝い始めておよそ10年が経ちました。思うところがあって初めてこのような文章を書くに至っています。みなさまにあまり馴染みのないと思われるお香業界の今をさまざまな観点で紹介しながら、お香の未来について考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
香木・香
冬のはじまりは雨上がりの匂い
晴れていた空がみるみるうちに暗くなって、地響きのような雷が落ちた。とたんに風が吹き荒れて、ぼつぼつ鳴っているのは何だろうと思ったら地面や屋根に打ち付けられている雨で、びゅうびゅう水がガラスを流れていき、また閃光。地響き。横殴りの雨。
あー、ぶりおこしだ。
こんな嵐に子どもを迎えにいくなんて嫌だなあ。思っているうちに雨は止んで、すっきりした青空がのぞいた。外に出ると、街はみずみずしく洗いたてとい