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Day7:脳の機能は回復する(と思う)。

 今住んでいるこのstudioタイプの部屋には、とにかく陽光が入る。窓の一部は天井から床まである。周囲は高層ビルで、天気のいい朝は、朝日がビルというビルの窓ガラスに乱反射して、非現実的なほど明るい。

 部屋を購入するときは、セキュリティ重視だったので採光はあまり考えていなかった。でも、ここは、「かつての自分が、心から求めていた環境」だったと、うっすらと解る。

 とんでもない環境で育ち、脱兎のごとく逃げて、心身を「自分で」改造して、(自分のイメージとして)「サイボーグ状態」になったことは、今まで書いた。

 そして私は、非常に長い間、鬱だった。

 親に「精神病院なんかに行ったら、人生で烙印を押される」という、ばかばかしい恐怖を植え付けられ、しかし、ナンセンスだとわかっていながらも、それは強烈な呪いの言葉となり、生家から逃げ出した後も、長らく心療内科に行くことができなかった。

 頭の中にはいつも、靄がかかっていた。集中するのに、とにかく労力が必要だった。それでも何とか、並みの会社員として仕事をこなして自活できていた。あの頃の自分を、心からリスペクトする。

 「明るい陽光」に惹かれた。何しろ、いつも視界が「暗い」のだ。それが、目のせいでないことは薄々わかっていた。

 日本を離れて、熱帯のリゾートに行って、あっけらかんとした空を見れば、視界は少しだけ「明るく」なった。こんな、クリアに明るい世界で生きることができたら、と、心底望んでいた(と、思う)。

 ただ、「傷ついた脳の機能は、二度と回復しない」といった本を読んでしまい(誤読だったのかもしれないし、記憶は定かではない)、これは一生治らないものなんだ、とさらに落ち込んだこともあったように思う。

「反撃」に出ることができたのは、いつ頃なのだろう?

 たまたま(いや、それを心から望んでいたわけだけど)、いくつかの得難い出逢いを得て、そして猛烈な読書をして、自分の、「長年の生育環境によって歪んでいることそのものがデフォルト」の認知を、「自分で」、ほんの少しずつ、修正した(これは、今も、だけど)。

 最も大きかったのは、購入資金を稼いで、この部屋を得たことだ。

 何重ものセキュリティに護られた都心の要塞。これで「心理的安全性」のポイントがマックスに跳ね上がった。購入にはいくつもの幸運が重なって、「この幸せは、それまでの全人生の不幸と引き換えだったと思おう」と感謝している(今も)。

 いつ変化したのかは思い出せないけれど、いつからか、頭の中の視界がクリアになっていた。それも、隅々まで自分のものになっているのがわかる。昔の「モヤモヤしていて、見えない」状態から、「つながっている」感じが感覚としてあるのだ。

 「つながっている」感じはふしぎだ。そして気持ちがいい。

 自分の内側からパワーがわき出し、自分の中にある知識と知識が、面白いようにつながっていく。そのベースには、とても静かな、自分へのゆるぎない信頼感がある。視界はいつも明るい。これは決して「ハイ」な状態なのでなく、「静かな満足」の上に走っている、私の新しいシステムだ。

 健康について、医師や学者の著書を読み、いわゆる「完全無欠コーヒー」や「ファスティング」という、身体に合うものを見つけた。(私が「拒食症」になったのは、母親が、食べきれないほど多量に作って「食べろ、食べろ、食べろ、食べろ」といつまでもいつまでもしつこく強要する、料理を摂りたくなかっただけだ。)

 そのエビデンスとして、体組成計の数値は非常にいい。

 心身は回復する。わたしはたった1人の「実験」結果としてそれを書いておく。あらゆる知見をさまざまな本から得て、そもそも歪んだ自分をニュートラルにしよう。そして健康についても、自分に合う方法を取り入れよう。

 たぶん、心療内科のお世話にはもう、ならないと思う。今日も私の脳は、非常にクリアだ。