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オキタシロウ
2020年3月31日 23:36
コツコツとヒールの高い革のロングブーツを鳴らしながら、その魔女は俺達の前を行ったり来たりしていた。 すらりとした均整の取れた身体に、革製のズボンと銀の刺繍の入った白いカットシャツ。赤い宝石と銀細工で装飾された革製の胸当てと手甲をつけ、腰には細身のレイピアを帯びている。 レイピアの柄には大きめの橙水晶。剣が魔法杖としての役目も担っているとみた。 女性にももてるんだろうなと思える男性的な美しい
2020年3月29日 00:13
背丈ほどもある長く黒い杖を、コツコツとならしながら、その魔女は俺達の前を行ったり来たりしていた。 黒色の鎧を全身に身にまとい、身長よりも高いハールバード(長い柄の斧)を持った兵士達が俺たちを取り巻いている。 俺はと言えば、後ろ手に木製の手錠をかけられ、膝をついて座らされてている。かかし娘もしかり。 ドラゴンはといえば、これまた魔力で封じられた黄金色の籠にいれられて地面に転がされていた。
2020年3月23日 12:04
俺とドラゴンを乗せて、爽やかな朝日の中をキッドは走り出した。 森を抜けると、また一面の麦に似た植物が地平線の向こうまで豊かに実り、風に揺れている。 しっかし、どうしようかなぁー。あの荷台の荷物。 バニラソングを止めることも忘れて考え込む俺。 そんなこんなでしばらく走っていると、どこからともなく、歌声が聞こえてきた。 この一見のどかな田園地帯をしばらく進んだところで、やつは天を見上げて陽
2020年3月21日 12:26
東の魔女の支配していた地域は、マンチキン達によって耕作されている豊かな穀倉地帯だった。 ところどころに、果実や野菜も育てられている。馬や牛に似た動物も多く放牧されているようだ。 途中、マンチキンの家に寄って、水や食料をわけてもらった。 既に俺が、東の魔女を倒したウィッチスレイヤーという話は広まっているようで、マンチキン達は通りかかると色々な物くれたりしたので、食べるものに困るということはな
2020年3月16日 15:06
よく見ると、バニラトラックは、日野の二トントラックだった。 トントン、トントンっヒノノの二トンてやつだな。 フロントガラスの上には四角い目のような形で前方用のセンサーがついていて、なかなかの最新装備ぶりだ。 ただ、フロント部分が木に突っ込んで凹んじゃってるので、動くかどうかはわからない。 シートに上がり、とりあえずキーを回してみるが、案の定、セルの音がするだけでエンジンはかからない。
2020年3月11日 00:14
空は一面、重い灰色の雲に覆われ、周りの風景をどこまでも灰色に染めているようだった。 思えばここ数ヶ月、ずっとこんな灰色の世界で生活していた気がする。 喜び勇んで転職した老舗教育出版社。IT関連の技術や経験を買われ、プロジェクトの責任者として採用された。組織を作り上げ、計画を立て、事業を立ち上げたまでは良かったが、突然の解任、生え抜きのプロパーへの担当変更。 理由を聞くと、「ジョブローテー