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退職者という、わりかし最強の採用コンテンツについて

先日、以前にお会いしたことのある方からこんな嬉しい連絡をいただいた。

「お久しぶりです!今、転職活動をしていて、せっちん丸さんが前まで働いていた◯◯(社名)の面接を受けることにしました。以前、いろいろお話をお伺いしただけに、楽しみです!」

自分と出会って会社のことを知り、新しいキャリアを歩むため候補先として選んでくれたという連絡だった。
この連絡を受けて、リアルに飛び上がるほど嬉しかったし、長く働ける環境を探していた人だったから尚更嬉しかった。

前職は本当に気持ちのよい人たちが集まっていて、退職はしたけど、今でも当時の仲間とはよくご飯や銭湯に行く。とてもお世話になった、好きな会社だ。

会社を辞めるときに、経営層の方に挨拶をしに行ったら、こんな言葉をかけてもらったのを覚えている。

「お疲れ様でした。一緒に働けなくなるのは本当に寂しいけど、卒業生の君の未来のために俺たちができることがあったら何でも言ってくれ!たくさん使ってください。また会おう!」

退職する時には、その会社と自分との関係性やその会社の性質が如実に表れるというけど、辞める自分に対して経営者自らが可能性にベットするような言葉をかけてくれて、涙が出るほど嬉しかった。

と、同時に、自分自身も”卒業生”として、現役生にはできない外からの援護をやっていきたいと強く思った。

そういった経緯もあって、今回の知り合いが自分と出会ったことをきっかけに、会社に興味を持ち、採用面接を受けようとしてくれた話は本当に感慨深かった。

会社を”卒業”する時代

Facebookでこんな感じの書き出しから始まる”卒業エントリー”を見かけるようになって久しい。

【ご報告】
~English Below~
2019年3月末をもって、新卒からまる4年間お世話になった株式会社◯◯を卒業することになりました。
直接ご挨拶ができていない皆様には申し訳ありません。

退職をポジティブな”卒業”という言葉に言い換えることについては、賛否両論あると思うけど、会社外の人間とも多く繋がるソーシャルメディアの時代においては自然な流れなのかなと思う。

言葉ヅラとか個人の見せ方の話になりがちだけど、ここで大事なのは”企業として退職者とどう向き合うか”という点にあると思う。

退職時の最後のやり取りは一生記憶に残るものだし、わりかしその先の企業イメージを左右すると思う。
もちろん、それまで働いてきた時のエピソードの蓄積で企業イメージは作られていくものだけど、特に最後の瞬間というのは特別印象的なもの。

ここで一度生まれた繋がりを断ち切るような言葉をかけるか、その先に繋がるような前向きな言葉をかけるか。
どれだけ、嘘じゃない真っ直ぐな言葉を届けられるか。
かつ、企業の体裁のためでなく、退職者の未来を想った言葉をかけられるか。

事業や組織をマネジメントする能力はもちろん、こういった人と向き合う能力・人柄が経営者や人事担当者には求められるのだと思う。
人間としての器の大きさと言ってもいいかもしれない。

退職者という最強の採用コンテンツ

前職に初めて出社した日、会社のOBが3名ほど商談兼社員とのおしゃべりをしにオフィスにやってきていたのを覚えている。

辞めた人が気軽に戻ってこれるような会社っていいなぁとこの時感じた。

そして今、僕がいた会社はリファラル採用によって多くの社員の採用に成功している。

直接の成功要因かどうかはわからないけど、退職者による見えないところでの援護射撃も何かしら影響しているのではないかと勝手に思っている。

僕はWebマーケティングの仕事をしているのだけど、企業のサービスサイトには必ずと言っていいほど、「体験者の声」が載っている。

言ってしまえば、退職者はその企業の良いとこも悪いとこもわかった「体験者」
ここをいかに活用して、届けられるかが、企業の採用活動において重要になってきているのではないかと思う。

新規の人材獲得が激化する市場背景があった上で、求職者は確実にインターネットや知人を通じて情報収集をしてから採用を受けるかを検討する。

企業の言いたいことだけ言ったコーポレートサイトやマーケティング臭のする求人サイトの記事よりも、個人ブログで退職までの経緯を克明に書いた人の退職エントリーやソーシャルでの声の方が信憑性は高い。

リアルで会うその会社出身者の話ならなおさらだ。

酸いも甘いもわかった退職者の声を集めることは、企業の経営体質の改善=今の社員の働きやすい環境づくりにも繋がるし、それを形にしてコンテンツ化することで新規の求職者とのマッチングにも繋がると思う。
(人選や内容の編集、ここのバランス感はかなり難しいけど)


とはいえ、上記はあくまでも方法論。
まずは目の前の社員を大事にしつつ、未来のための採用改善のための打ち手のひとつとしてこういうのもあるよなーというお話でした。

最近は、労働人口の減少や副業解禁、フリーランス活用みたいな背景もあって、「アルムナイ(卒業生)」を大事にしようという声も大きくなってきているように思う。
特にベンチャーとか、同業界とか、狭いムラだと、良い噂も悪い噂もすぐ広がるから、今後はこういった動きはますます大きくなるような気がする。
いずれにせよ、目の前の人を大事にするところからはじめたいですね。

まず、企業として今の社員が長く働けるような仕組みや風土を固めること

社員が辞めた時にはできるだけ背中を押せるような企業文化を作ること

その後の採用のためのいち方法として、退職者の声を活用すること


さいごに

僕は経営者でも人事でもないし、なんなら企業に所属もしてないフリーランスの若輩者なので、偉そうに知ったような口ききやがってコンニャロ!ってなられた読者の方には全力土下座を作務衣を着てしたい所存です。

でも、退職者って企業の成長のためにはきっと良い資産になるはずなので、パワーはかかるし複雑かもだけど、辞めていった人たちのことも時々思い出してもらえたら嬉しいです。

今はそこにいなくても、応援したいと思うかつての仲間たちはきっといるはずだから。

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↑前職の送別会のあと、朝まで飲んだ帰りに撮った写真


参考

ちょうど採用を受けるという知り合いの連絡をいただいた際に、gCストーリーの佐藤さんがこんな感じのnoteを書かれていたこともあり、本記事を書いてみました!


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