「もう二度と行くことができない場所」によせて
夢を見た。
大学時代に住んでいた兵庫の田舎の学生アパートに行く夢。
卒業以来6,7年ぶりに訪れた月4万8000円、木造2階建てのワンルームは、まるで時が止まったようにあの頃のままだった。
玄関には一人暮らしとは思えないほどの量のスニーカーがあって、そのすべてに土がついている。ニューバランスがやたらと多い。
コンロはひと口。シンクには蕎麦を食べた後と思われる食器とザルが。
洗面台には使い切った紫色のギャツビーのワックスがだらしなく置いてある。
ベッドは実家から持って