見出し画像

結婚式が延期になって暇だったので、妻とTシャツを作った話

ゴールデンウィーク、予定していた僕らの結婚式が例のウイルスの影響で延期になった。

結果、僕と妻は、暇を持て余していた。

YouTubeで「スーパーファミコンで売れたゲームランキング100」「世界の深い海ランキング」「クラッシュ・バンディクー 最短クリアRTA」みたいな動画を回し見てからスヤスヤと眠る日々。アニメの幽遊白書(全112話)やアベンジャーズシリーズ(23作品)をはじめから観ようとも思ったが、そんなガッツや霊気はない。

趣味のフィルム写真を撮りにいこうにも、プリントできるお店も閉店中なので、なんとな気が進まない。

ウーム。どうしたものか。なんとなく過ぎていく時間に謎の焦りを覚えていたところ、おもむろに妻が衣替えをはじめた。

僕もなんとなく自分のタンスを覗いてみたところ、真っ先に気づいたのが「イマイチ夏に着たいTシャツがない」ということ。

カナダで買った胸に「CANADA」って書かれたTシャツとか、フリマで買った胸に「HARVARD」って書かれたTシャツとか、そういうのばかりある。

記憶が正しければ、僕の母校は兵庫県にあったはずだ。ハーバードは三田市にはない。

ネットサーフィンをビュンビュンしてみるも、良さげなTシャツは見当たらない。

そこであることに気づいた。

「もう、自分たちでTシャツ作っちゃえばいいんじゃね?」

ないなら、作ればいい。暑けりゃ冷ませばいい。さみしけりゃエビバディバディバディである。

ということで、妻と僕の初めてのTシャツ作りがスタートした。

コンセプトとデザインを考えた

いきなり勢いでデザインから着手するのはよくないと思ったので、まずはコンセプトを考えることに。

当時は、じわじわとした結婚式延期ショックがあったので、ベースとして、「なんでもない毎日を大事にせねば…」という気持ちがあった。(と言いつつ、YouTubeで家で二郎系ラーメンを作る動画ばかり見ていたのだけど…)

だから、コンセプトとしては、自分たちが生きていた証がちらりと残るものにしたいと思い、そういったメッセージが自然に入り込むようなものを採用した。

そして、デザインパートへ。

いくつかオリジナルTシャツ作成サイトを見てみたけど、友達の三浦くんが紹介していた「SUZURI」が費用感的にもTシャツの種類的にも一番イケてるような気がしたので、こちらに決定。

PCやスマホから任意のは画像を選択するだけでTシャツを作れる、なんともお手軽なサイト。

Tシャツにプリントする写真については、1時間ほどかけて、お互いのカメラロールの中から50枚ずつ画像を厳選し、その中からさらに10枚くらいに候補を絞っていく。

画像4

この、カメラロールをさかのぼって写真を選んでいくプロセスは、「これまでいろいろあったねぇ」となんだか胸にくるものがあった。

そして、妻がお得意のIllustratorでフォントや画像、諸々のデザイン面を整え、合計10種類の入稿が完了。

Tシャツ完成!わっしょい!

ということで、できたのがこちらのTシャツ。

画像1

表面には「 I was here.」の文字。

画像2

背面には、過去に僕か妻が撮った写真をプリント。

これは正月に世田谷区を二人で散歩してたときに、マンションが夕焼けに照らされていたのを撮ったもの。

画像左下には、「2020.1.3 Setagaya , Tokyo , Japan」の文字。

すなわち、撮影日と撮影場所をプリントしている。

どうしてこのデザイン・メッセージにしたのか

「I was here.」というブランドメッセージについて。

「ブランドメッセージ」だなんて言うと、プロの人たちへの申し訳ない気持ちやこっ恥ずかしさが少なからずあるけど、これは我々にとっての立派なブランドである。暇つぶしの遊びのつもりではじめたけど、いつの間にか本気で愛着が湧いてしまった。

「I was here.」はそのまんま「私はここにいた」という意味。

そして、バックには自分が撮った写真=そこにいた証を大きくプリントしている。

すなわち、自分の人生の中での、ある日の思い出を着るブランドである。

画像3

↑の写真は、2017年10月10日、キューバの海辺ではしゃぐ僕の写真。めちゃくちゃ「I was here.」である。

「I was here.」と書かれたTシャツを着て写真を撮ることで、その写真を未来の自分が見返したときに「私はここにいた」というメタ的なメッセージが含まれるのも、このTシャツの特徴だ。

「I was here.」と書かれたTシャツを着た人が写った写真を「I was here.」Tシャツにプリントすれば、「I was here.」のマトリョーシカ的な楽しみ方もできる。

先々、iPhoneで写真を撮ることも多いだろうと考え、文字フォントはApple社のものを使用している。わりかし襟に近いところで文字を印刷しているので、オンライン飲みで撮ったスクショにも文字が残りやすい。

ちなみに、ぽっちゃりしても着られるように、TシャツはビッグTにしている。

画像5

こちらは、プロポーズの前の日に撮ったクリスマスツリーの写真。これを撮った日の気持ちを思い出して、なんだか毎日がんばれそう。

画像6

これは、フェス会場のトイレに並ぶ人たちの写真。あの夏は暑かった。

画像7

これは台湾に行った時に撮った、バイク軍団の写真。また行きたい。

こんな感じで、合計10種類、SUZURI上で公開している。

いざサイトに並ぶと、なんだかそれっぽい。

スクリーンショット_2020-05-04_9.07.17

暇つぶしから「意味」が生まれた

暇つぶしでなんとなく作ったTシャツだったが、まさかここまで愛着が湧くとは思っていなかった。

特に「思い出」を題材に扱ったことは自分にとって大きな意味を持つ。
絶対に大事に着るし、カメラロールでひっそりと埋まってた写真たちも喜んでいると思う。

そして何より、妻とこれまで見てきた風景を一つの作品として形にできたのが嬉しい。

未来から逆算してみれば、あらゆる記録や記憶は「I was here.」である。

なんだかうなだれた日に、タンスの中からこのTシャツを見つけたら、きっと少しだけ元気が出るような気がする。

「ただそこにいた」という、事実と画像一つで勇気が湧くことだってきっとあるはず。

そんな、いつかのために作ったTシャツ。
なんとなく忘れられない風景を集めたTシャツ。
事実に意味が生まれるTシャツ。

そんな感じの、人生で最も豊かなTシャツだ。

他の誰かのために作ったものではないけど、もし気に入った方がいたら、SUZURIからどうぞ。僕らにはハーゲンダッツ代くらいの利益しか出ないですが、もし買ってくれる人がいたら一緒にハーゲンダッツを食べましょう。

もうすぐ夏が来ますね。

みなさんも、家族や友達、恋人、気のおけない人たちと、ひと夏の思い出にTシャツ作りなんてどうでしょうか。

今年もたくさん写真を撮れるといいなぁ。



サポートをいただけましたら、そのお金で気持ち泡多めのビールとか飲みにいきませんか……!