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「どうにもこうにも、やる気が起きない」という経験、あなたにもあるのではないでしょうか?

一方で、部下や子どもの「やる気を起こしたい」と思うことも。

どこかに『やる気スイッチ』があって、それを押せば動き出す―――と思いたくなるくらい、やる気が起きない場合はどうしますか?

今日はこの『やる気スイッチ』についてお話しします。




わたしの学びの1つ【職場の基礎代謝(R)】では、
・能力は保有するもの
・実力は発揮するもの

と考えます。

そして実力を発揮するためには、外的要因と内的要因の両面から「不」を取り除くことが大切であると考えます。




外的要因は職場環境にあたります。
例えば整理整頓が行き届いた工場なら、工具を探す手間も減りますし、新人であってもどこに何があるかがすぐにわかり、仕事を覚えることに注力できます。つまり働きやすい環境を整えることで、実力が発揮しやすくなるということです。

外的要因には「仕組み」が有効な手段になります。ルールや決まりごととして決めてしまえば、働きやすい環境が整うわけです。

熊本地域医療センター(熊本県熊本市)では、日勤/夜勤の区別がつきにくく長時間働かざるを得ない状況にナースたちが疲弊していました。そこで、日勤と夜勤で『制服の色を変える』ことで、誰が見てもわかる仕組みを導入しました。すると自然と勤務時間を超えて仕事を任せることが減り、残業も年間110時間⇒20時間にまで激減したそうです。

環境面から「不」を取り除いて、実力を発揮しやすい状況をつくりだすことが「仕組み」です。




一方、内的要因はやる気にあたります。
例えば、プライベートでうれしいことがあった日の仕事ってなんだか楽しく感じませんか?うきうきした気分で仕事に臨むと、つられて成果も上がるなんてことも。逆にやる気が起きないときの仕事は効率も悪いですし、成果も高くありません。
つまりやる気を起こすことで、実力が発揮しやすい状態を生み出すということです。


さて、この「やる気」、いったいどこから来るのでしょうか?

1つは、『自己効力感と自己肯定感』です。
自分はこの仕事ができる、そして仕事を通じて役に立っているという実感が得られれば、やる気につながっていきます。
それには、ライフもキャリアも含めた経験が重要です。あなた自身の経験があなたの支えになっている―――そう考えると、これまでの経験がやる気の源になってくれます。それは自信とも言えるでしょう。

もう1つは、『内的動機(モチベータ)』です。
内的動機とは内発的動機ともいい、興味関心やこだわり、夢中になることなどの、人の内面から生まれる要因のことです。
例えば、「新しもの好きの人」が新製品の開発を任されればやる気が湧いてきそうですが、検品や事務作業にはやる気が起きそうもないですよね。
ワクワクしたり、楽しいと感じる要素は、この内的動機(モチベータ)にあると思いませんか?




では、内的動機にはどんなものがあるのでしょう?
【職場の基礎代謝(R)】の学びでは、大きく3つに分類しています。

(C)2022職場のSDGs研究所(NPO法人沖縄人財クラスタ研究所)
職場の基礎代謝(R)改善ファシリテーター養成講座 資料より引用


1.コミットメント系
何かを成し遂げるという事に積極的に関与していく目的合理的な動機。それぞれ高い目標を達成したい、人を動かしたいという動機のことで、特に影響動機は支配欲にもつながってくる。
達成動機・影響動機・賞賛動機・闘争動機など

2.リレーションシップ系
人に関する感情的な部分に関与していく人間関係構築的な動機。人と仲良くしたい、相手を理解したい、自分の思ったことを人に伝えたいという動機のことで、コミュニケーションを重視する。
社交動機・理解動機・伝達動機・感謝動機など

3.エンゲージメント系
結果を出すとか、人と仲良くするとか、何らかの目的のためではなく、思わずのめり込んでしまっているという状況をつくろうという動機。知的好奇心が旺盛で、物事にのめりこむことが多い。
抽象概念動機・自己管理動機・切迫動機・徹底動機など


これは、どれか1つだけというものではなく、いくつかが組み合わさって内的動機を構成していると考えます。
ただ、一人ひとりその傾向は異なるため、コミットメント系が強い方もいれば、リレーションシップ系+エンゲージメント系の方もいるわけです。

わたしの場合は、
「抽象概念動機」40% ⇒ 曖昧なものを明確にしたい、定義化したい
「伝達動機」30% ⇒ わかるまで伝えたい、知ってほしい
「理解動機」10% ⇒ 相手を理解したい、知りたい
「感謝動機」10% ⇒ ありがとうと伝えたい、感謝を分かち合いたい
「影響動機」10% ⇒ 人に影響を与えたい、何か変化をもたらしたい
という感じでしょうか。

noteを書き続けているのも、「抽象概念動機」が強いですね。何だかよくわからない『モヤモヤしたもの』を明らかにしたい、紐解きたい、定義化したい、意味づけしたいという思いに駆られるからです。
それを人に伝えたいから「伝達動機」、読み手であるあなたとのやりとりをして相手を理解したいから「理解動機」、読んでもらったことへの「感謝動機」、読んでくれたあなたに変化があったらうれしいという「影響動機」が相まって、わたしのnoteを書き続けたいという『内的動機(モチベータ)』が生まれていると思っています。
そういえば、365日連続更新という「達成動機」もあるかもしれませんね(笑)


このように自分のやる気がどこから来るのかを考えてみると、内的動機の要素は多分に影響していることがわかります。

「あなたのやる気は、どんな内的動機の組み合わせでできていますか?」

そう問われたら・・・あなたは何と答えますか?




先ほど内的要因は『自己効力感と自己肯定感』『内的動機(モチベータ)』の2つだと紹介しました。では、内的要因を高めるためにはどうしたらよいのでしょう?

内的要因には「仕掛け」が有効です。本人が自ら動き出すような要素を整えておくということです。

株式会社 中部自動車整備工場(沖縄県沖縄市)では、年間目標⇒月の目標⇒週の目標⇒日々の課題と落とし込み、いま何をやるのかを明確にした「ランクアップノート」をスタッフ全員が持っているそうです。このノートを上司との「成長対話」という面談で活用し、上司と気づきを共有するという仕組みを導入しています。

沖縄県雇用政策課番組「働きがいTV」第1回放映(平成29年2月4日)

「ランクアップノート」と「成長対話」という仕組みを活用することでスタッフ一人ひとりの成長したいという内的動機を高めるよう「仕掛け」がされています。
経営者や上司が「従業員の働きがいと幸せを創り出す」というねらいがあり、「達成動機」「自己管理動機」「賞賛動機」「感謝動機」「理解動機」にアプローチするように仕掛けているからこそ、この仕組みが成り立っているのだと思います。




今回、やる気について考えてみました。

実力を発揮するには、外的要因と内的要因の両面で「不」を解消することが大切であることがわかりました。

そしてやる気スイッチを入れるには、内的動機を高めること、それには「仕組み」と「仕掛け」が有効なことが見えてきました。

これは経営者だけの取り組みではありません。自分自身のやる気スイッチを入れるためにも、内的動機の傾向をつかんでおくことや、自分なりの仕組みと仕掛けを作っておくことが役立ちます。


一方でキャリアカウンセラー・キャリコンサルタントとしては、相談者のやる気を診断する仕組みを持っていると非常に役立ちます。例えばアセスメントツールがあると便利ですよね。
わたしは学生相手のツールを持っています。簡単な自己診断ですが、自分のモチベータが客観的にわかるというものです。
各種のツールを使いこなすことで、自分なりのキャリアカウンセリング・キャリアコンサルティングが行いやすくなります。

noteでは広くたくさんの方に伝えることをしてますが、ツールを使いこなすための具体的な学びは、JCDAの各地区で行う自主的な勉強会として提供したいな・・・と妄想が膨らんでいます。

どうやらわたしの中の「抽象概念動機」が疼いているようですね(笑)
やる気スイッチが入ったかも?!



明日も佳き日でありますように

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