見出し画像

ほんの少しの知識と気づかいで言葉は美しくなる

就活マナーを教える立場でもあるため、日頃から言葉づかいには注意を払っています。教える立場のわたしが正しい言葉づかいができなければ、「お前にだけは教えてほしくない」と思われてしまう気がして・・・

出かけた先でも聞こえてくる言葉が耳に入ってきて、思わず言葉づかいの添削をしたくなるわたしがいます。


特に若い世代は、電話やメールに苦手意識を持っている子が多いと感じています。また、大人とフォーマルな会話をすることもあまり得意ではない様子です。

その要因は「敬語を知らない&使えない」ことかと思います。

一方で、敬語=お客様のようなあらたまった関係と捉えているようで、親しい間柄になるほどあえてタメ口で話す傾向があるようです。

また、普段は使わなくても「いざとなれば敬語で話せる」と考えていて、敬語を使わないことを正当化する傾向が見受けられます。


わたしが言葉づかいを教える際には、「声はさえぎることができない」という大前提から入ることにしています。

姿は隠すことができても、声をさえぎることはなかなか難しいんですよね。どこからともなく会話が聞こえてくる―――なんて経験は、誰でもあるのではないでしょうか?

ですから、「いつ、どこで、誰に聞かれるかわからない」という前提で会話をするべきだと思っています。
万一お客様に聞こえてしまったとしても、正しい敬語でふさわしい伝え方で話していれば、お客様を不快にさせることは少なくなります。
タメ口で下品な言葉で誰かの悪口を言っている・・・なんて場面に遭遇してしまったら、お客様はお店に対して幻滅してしまいます。

やはり正しい敬語やふさわしい言葉づかいができれば、自分だけでなく職場や周囲の人々の好感度も上がるはずです。

だからこそ聞かれても恥ずかしくない言葉づかい=敬語を身につけることが大切なのではないでしょうか。


ところが誤った敬語(いわゆるバイト敬語)も当たり前に使われているため、何が正しい敬語なのかがわからなくなってしまうことも。大人であってもきちんと使いこなせないので、改めて勉強することが大事だと感じています。

ちなみにわたしが気になる敬語(バイト敬語)としては、次のようなものがあります。

  • こちらメニューになります
    なります=成ります=完成するという意味。
    白い紙から一瞬でメニューになるならOKですが・・・
    正しくは「メニューです」「メニューでございます」

  • ご注文繰り返させていただきます
    させていただくとは許可の意味。復唱するの許可を取る必要はない。
    「ご注文確認いたします」「ご注文繰り返します」でOK。

  • よろしかったでしょうか
    初対面なのに過去形はおかしい。過去のやり取りについてだったらOK。
    正しくは「よろしいでしょうか」

  • 1,000円からお預かりします
    からとは続きがあるということ。1,000円で足りないという意味になる。
    正しくは「1,000円お預かりいたします」

  • レシートのお返しです
    おつりとレシートが混在している場合に多く見受けられる。
    おつりは返すもの。レシートは店側が発行して客に渡すもの。
    正しくは「レシートのお渡しです」

  • お名前頂戴いたします
    名前は物と違ってもらうものではない。
    「お名前を教えてください」「お名前をお聞かせ願えますか」でOK。

  • ○○様、おられますか
    おる=謙譲語 + られる=尊敬語 の矛盾。
    ただし関西地方では、おる=いるという意味があるので、間違いとは言い切れない。
    「○○様いらっしゃいますか」が無難。


また、多重敬語や書き言葉と話し言葉の誤用、不要な漢字変換も気になります。

  • 拝見させていただきます
    拝見する=見せていただくの意。させていただくを重ねている。
    正しくは「拝見いたします」「見せていただきます」

  • (面接で)貴社を志望した理由は~
    貴社は書き言葉、御社は話し言葉。
    履歴書に書く際は「貴社」でよいが、面接では「御社」と言う。

  • 宜しくお願い致します
    宜は常用漢字では「ギ」としか読まない。公文書では常用漢字表に記載された漢字しか使えないため、ひらがな表記が正しい。
    致すは「至らせる、よくない結果を起こさせる」という意味があり、するの謙譲語である「いたす」とはまったく違う意味の言葉。
    よって正しくは「よろしくお願いいたします」


「言葉を大切にしよう」という意識で学べば、いくらでも手に入れられる知識です。また、美しい言葉は相手への敬意を表すことにもなります。

ほんの少しの知識と、相手への気づかいがあれば、言葉は美しくなります。
あとは積極的に使って自分のものとするだけです。

わたしは、ありがたいことに美しい言葉を使う機会に迫られるため、必然的に正しい敬語を身につけることができました。
まだまだ学んでいる最中ではありますが、少なからず言葉づかいに意識を向けることは欠かさずしています。
また、いつどこで誰に聞かれても困らないよう話す内容にも十分に気を配っています。発する言葉には責任を持ち、誤解を受けないように丁寧に伝えることを心がけています。

かといって、言葉づかいについてうるさく言うつもりはありません。
ただ、少しでも敬語を身につけたいと思う人がいたとき、適切に伝えられるだけの知識は蓄えておきたいと思っています。

恐らく、わたしにとって「言葉はキャリアカウンセラーの生命線だから」という思いがあるはず。だからこそ、正しい敬語や美しい言葉づかいを身につけたいと考えているのでしょうね。そしてこれからも、ますます言葉を磨いていきたいと思います。




明日も佳き日でありますように




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?