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今日はJCDA長野地区会のウェルカムイベント「治療と仕事の両立支援」交流学習会を開催しました。


がん患者会の代表などを歴任し、現在はNPO法人ノーマcafeの理事長を務めている【織田英嗣】さんを講師としてお招きし、お話ししていただきました。


当事者としての視点で、病前~告知~治療~社会復帰の各ステージでの苦しみや葛藤を率直な言葉で伝えてくださいました。

「がんは2人に1人がかかる病気です」

頭ではわかっている・・・つもりでした。
正直、知らないことばかりで・・・いかに“つもり”だったかを痛感させられた、というのが正しいでしょうか。


がんという病が蝕むのは病巣だけではないことを―――
自分の身体が思うように動かない(病前と同じように動かない)辛さに葛藤し続けていることを―――
周囲からは完治したように見えても、実は見えない部分での痛みや苦しさをずっと抱えていることを―――
心の言い分だけでなく、体の言い訳もあることを―――

お話しを伺いながら、これまでわたしが無自覚に「がんを克服した」と思って接してきた人たちの顔が浮かび、悔やむ気持ちが湧いてきました。

人間は機械ではないので、修理したら元通りというわけにはいきません。
病後は病前と同じではないんですよね。


そこで織田さんはおっしゃいます。

「午前から午後の価値観へと変えていく」
⇒どんどんと昇っていくような若い頃の価値観(=午前)を、病後に持ち続けることは自分を追い込んでしまうことになるかもしれない。
それよりも、これまで培ってきたこと活かして生きていこう(=午後)。病気になって新たに得たことを活かして生きていこう。いまあるものに目を向けて、大切にしながら生きていこう。そうやって余命宣告を乗り越えた先の人生に感謝をしながら生き抜くという価値観の方が、無理がないのではないか。

「仕事の視点と人生の視点の双方から見る」
⇒仕事の視点では、自らの役割を果たし、周囲から期待される自分であることで収入を得る。現在の生きがいを大切にすることが幸せである。
人生の視点では、自分らしく自分がやりたいことを大切にした人生を送ることを重視する。未来のありたい自分が生きがいとなり、そこに向けて進むことが幸せである。

「自分らしく生きる」
⇒がんになって死を意識すると、残りの人生を充実したものにしたいと思うようになる。役割を担うだけの生き方から、自分の人生を自分で歩んでいきたいと思うようになる。


病気になったことで、価値観が変わったわけです。その価値観の変化を受け入れ、「自分らしく生きよう」と覚悟を決めた日から、織田さんは未来の自分を思い描いて、今の自分がどう生きるべきかを見つめるようになったそうです。


「未来から今を見る」

この考え方こそ、わたしたちCDAが相談者と相対するときのスタンスではないかと感じました。


今日は、そんな病気治療に立ち向かいながらも、社会復帰に向けて歩み出した方々の就労支援に携わるとしたら?、という視点で「キャリアコンサルタントにできること」を考える機会としました。

実際、相談者ががんサバイバーだったという声や、同じ職場に復帰後も苦労しながら働いている方がいるといった声が聞かれ、参加者同士でディスカッションが想像以上に盛り上がる結果に。

わざわざ長野県内各地から集まってくださる方々です。このテーマに大きな思いを持って参加してくださっています。だからこそ、織田さんの熱い思いに触れて語りたくなったのでしょうね。

わたしたちは傾聴のプロです。そしてキャリアの専門家です。
特にCDAはその方の経験にその人らしさを見い出すことに重きを置いています。自分らしく生きている未来をともに描いていくことこそ、医療従事者でも福祉関係者でもないキャリアの専門家としての役割が果たせる道なのかもしれません。


講師の織田さん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

これからも、ともにCDAとしての歩みを進めてまいりましょう!




明日も佳き日でありますように

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