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「お客様は神様です」~三波春夫さんの生き方・あり方を通じて感じたこと~

カスハラ(カスタマー・ハラスメント)で、クレーマーが揃って口にするのが「お客様は神様」という言葉。実は昭和の名歌手「三波春夫さん」が公演の際に口にしたことが始まりでした。

この意味について、記事中で紹介している三波春夫オフィスのブログに詳細が載っています。

三波本人が生前にインタビューなどでこのフレーズの意味を尋ねられたとき、こう答えておりました。

 『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。ですからお客様は絶対者、神様なのです』

出典:三波春夫オフィス「お客様は神様です」について

歌い手として、芸を通じてお客様を喜ばせるものとしての「心構え」を言葉にしたものなんですよね。

お店でいえば、「お客様は神様です」と言えるのはあくまで店側であって、客自身ではないということです。
そもそも自分のことをお客“様”と言っている時点で……ね(笑)


三波春夫さんは、“あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心”になって舞台に臨んでいたわけです。
舞台上から見た観客の笑顔や輝いた目、聞こえてくる大きな拍手や歓声は、神様からの祝福に感じられたのでしょうね。

戦後復興の時期、東京オリンピックや大阪万博など日本が敗戦から立ち上がる中での大イベントにはいつも、三波春夫さんの歌声が響いていたことでしょう。
その笑顔にどれだけたくさんの方が勇気をもらい、喜びを得たのか……思いを馳せるだけでも心がジーンと熱くなります。


笑顔がトレードマークのようでしたが、いつも人に笑顔を向けられる自分であるようにと、心がけていました。日常、腹の立つこともありますし、不愉快な思いもしますが、そのまま仕事に入ってしまっては良い舞台はつとめられません。ですから、心の持ち方のスイッチをいつでも切り替えて笑顔が出来るように、と努力していました。

 これらは、若い時に先輩から「普段の暮らし方が舞台に出るんだよ」と教えられたことを心におき、より良い舞台をつとめられるように、お客様に歓んでいただける歌手であるために、の切磋琢磨でした

出典:三波春夫オフィス「お客様は神様です」について

三波春夫さんご自身が、「笑顔を向けられる人であるために」という強い信念をもって舞台に立っていたことがうかがい知れます。

先日書いた“シメイカン”を、三波春夫さんの言葉に感じます。


あらためて「自分は誰のための役割を担っているのか」を心に刻んだ、超一流のあり方、そして生き様を三波春夫さんの言葉から感じました。


では「お客様は神様です」の心意気を、わたし自身に置き換えたら?と考えてみました。
わたしは現在、教員とキャリアカウンセラーという職業がありますので、この2つについてそれぞれ捉えてみます。

教員は「学生が知りたい・身につけたいことを的確に教え、育む」という役割を担っています。
そして「育て上げた学生を社会に送り出し、地域や社会に貢献する」という活動の一端を担っています。
さらに、学費を出して入学させてくれたご家族に対して「知識や技術に加えて人間的な成長を目に見える形で示す」という期待に応えるための役目を果たすことが求められます。

キャリアカウンセラーは「相談者の悩みごとや困りごとを解決・解消する」という役目が第一です。
そのうえで「自身のあり方や生き方について、一度立ち止まって考える機会を提供する」という大きなテーマを任されています。
また、「自身が悩み考え抜いたというこの経験を糧とし、自身のものの見方や捉え方をアップデートする」という使命も任されています。

これらに共通しているのは、「お客様は神様」ではなく、「成長し続ける人間」であり、「輝かしい未来が待っているかけがえのない存在」と捉えているわたしがいることです。その人の持つ可能性を信じ、必ず自らの力で成長を遂げることができると考えています。
それには、相対するわたしが自らのスキルに100%の自信を持ち、相手に対してうそ偽りのない誠実さで臨み、利己ではなく利他の精神で関わることが欠かせないと感じています。
例えるなら、「神様の前で祈りを捧げるがごとく、一点の曇りもない純真な気持ちで、本気で相手のことを考えて臨んでいますか?」と問われているかのようです。
その問いに「はい」と答えられるわたしであり続けることが、この仕事を続けるうえでは絶対条件だと思うんです。
(キャリコン倫理規定を読み込むと、このことが書かれていますよね)


さて、三波春夫さんにとって、お客様とはどんな存在だったのか。
その一端を知ることができる言葉が記事の中にあります。

三波にとってのお客様はオーディエンスであって、カスタマーではないのです。オーディエンスに喜んで頂きたいと日々研鑽を積み、芸一筋に生きた三波の歌にかける心意気は、生前の歌う姿に見て取って頂けるかと思います。

出典:朝日新聞GLOBE+
カスハラ問題で引用される「お客様は神様です」の誤解
三波春夫さんの真意は別次元

オーディエンスとは「聴衆、観衆、観客」の意。カスタマーは「顧客、代金を払って物を買う人」を意味します。
わざわざ足を運び、自分の歌を聴くために集まってくれたオーディエンスを喜ばせるには、披露する芸を磨いて一期一会の感動体験を提供する他ありません。
一方で、対価を払って物を買うカスタマーは、目の前で行われる芸ですら、消費浪費の対象としか見ません。コンテンツ消費の感覚は、以前紹介した「映画を早送りで観る人たち」に通じるものがあります。

言われてみれば、わたしも授業やカウンセリングにおいて、「ライブ感」をいつも大切にしているんですよね。

テキストのように、いつでもどこでも誰でも同じ内容を提供するものと違って、その日わざわざ時間を作って足を運んでまで受けに来てくれた方に対して、「その労に見合った(上回るような)体験をしてもらいたい」という思いをもって本気で臨んでいます。それはまるで「ライブ」のように……


つまり、「いまあなたは、目の前の方のために本気で取り組もうとしていますか?」と、自らを省みるためのフレーズとして「お客様は神様です」とおっしゃったのではないでしょうか?
それが三波春夫さんの真意であると、わたしは解釈しました。

もちろん、今日のこのnoteを読んでくださるみなさんも「神様」です。
その期待に応えらえるだけのわたしであり続けられるか……また新たに問われたような気がしています。
心を引き締めて、今日からまたがんばっていきます!



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