世界征服はできないけど、パンを買わせることはできる―「最新版 戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」本田哲也(著)
世界征服は無理でも、パン一つを買わせることはできるようになるかもしれません。
まさかと思うかもしれませんが、私たちはその技術さえあれば人をその気にさせることができます。そしてこれはあなたにとって魅力的なことかもしれません。
自己啓発本のベストセラーにD.カーネギーの「人を動かす」という本があり、これは現在でも売れ続けている一冊です。
ベストセラーである「人を動かす」に限らず、人に影響を与えるための内容に関する本は今も発売し、売れ続けています。
これは人を自分の思う通りに操りたいという欲求を持つ人がいるということです。
思う通りに動かすまではいかなくても、自分の欲求を少しでも通して欲しい、聞いて欲しいと考える人がいるということです。
あなたはどうでしょうか。別に悪いことではないと思います。
むしろ自然な欲求ではないでしょうか。
ですが、人を動かすことは簡単ではありません。非常に難しいことです。
ひと昔前の王様であればこれは可能でしょう。命令一つで人を動かせました。それも過去のことで現代には使えません。
このようなことを技術的、学問的に研究すると「マーケティング」という分野に通じます。そして本書はそのマーケティングの話を通じて、人を動かす効果的な表現方法を学べます。
あくまで商業的なものですから、人を洗脳というところまでにはいきません(笑)
だけど、冒頭に書いた通り、パンの一つくらいなら買ってもらうことができるかもしれません。マーケティングとはまさにその商品をどのような手法で買ってもらうかを研究する学問だからです。
・相手を知る
相手に何かを買ってもらうためには、まず相手はどんな人なのかを知らなければなりません。
例えばコスメに興味のない男性に、いきなりコスメの広告を見せても買ってくれません。興味がないんですから。
ですが、その男性について知ることによって、彼がコスメに関心を持ち、買おうと思うような広告を作ることができるかもしれません。
男性向けのYoutube広告に「脱毛」「ホワイトニング」といった広告があります。そしてその手の広告はショートアニメの形で、だいたい「広告で宣伝したい内容を実際にやったら女性にもてた」というものがほとんどです。
そしてこの広告の構造が崩れないということは、この広告は一定の成果を上げているからだと言えます。あの広告は、最初は興味のない人でも徐々に関心を持ってもらえるように工夫をして出来上がったものなのです。
このように「誰」「どのような」というのを意識するのは大事なことです。相手を知ることで相手が一番影響を受ける内容の広告を作れ、そしてそれは実際に人を動かすのです。
動かしたい人間を知って分析することはとても大事なことです。そして人を動かすとき、それは相手がその行動をとることにメリットを感じていると言えます。
・情報社会の分析ツールとしての広告
私は本書を「広告を作る人はどのような観点で作っているのかな」という関心から読みました。なぜなら、広告は最初から人を動かすため、緻密に作られた作品だと考えているからです。
必ず、その広告には狙った人に刺さる内容や、買う気にさせるトリックがあると考えられます。だからおもしろいのです。
わがままを言うだけの主張はよっぽど親密な関係でなければ通りません。相手を動かすためには。相手がその行動をとることにメリットを感じなければならないのです。
今の情報社会において広告(PR)はあふれています。私たちはそのような広告を何気なく見て、そして何気なく影響されているのです。
本書を読んで「こんな感じで俺はあれを買ってるのかもしれない」という発見がありました。
なんなら本書の題名である「戦略PR」という題名が、広告であり「私のニーズに応えてくれる本だ」と影響されて読んでいるのですから、私は本書の広告の術中にあったということです(笑)
ひょっとすると世界征服もニーズがあれば成立する野望なのかもしれませんね。でも、それは相手のことを考えなければ成立しないというところこそ、PRやマーケティングにおいて大事なのです。
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