立憲民主党の受難

・立憲民主党が目立った一週間

 今週は立憲民主党の名前を報道でよく見たような気がする。最近、枝野ビジョンを読んだせいか何かと目に入ってくるのが若干気に食わないところでもあるのだが、現在の立憲民主党はいよいよ持って厳しいような状況になっているようだ。

特に気になっているのは党内の倫理観の問題だ。現在の立憲民主党は過去の民主党同様、反自民党の寄せ集めとしての性格が強いように思われていたが、個性の強い一部の議員が新たな性格を表現してしまっていることが気になる。

・彼らは誰の味方なのか?

 まずは本多平直議員の「14歳と性交して逮捕は不当」との主張に関するものだが、個人の意見として持つことは自由だけれども、これを発言していい立場であるかどうかは十分に考えた方がよかったと思われる。これは党の印象を悪くさせたことは否めない。女性や子供という弱者を救済するという表現を打ちだす政党がこのような議員を擁立している現状は最大野党の立場を極めて危うくするのではないだろうか。

 次に森ゆう子議員の「北朝鮮に人道支援を」発言は韓国の文大統領を彷彿とさせる。我が国のワクチン接種状況を批判する立場にありながら、ワクチンを積極的に海外へ。さらには拉致問題でもめているにも関わらず援助するという発言は極めて甚大な国益に反する行為であるように思えて仕方がない。これにはよっぽどの北朝鮮ファンでない限りは疑問を抱いたのではないだろうか。

 最後に枝野党首のいくつかの発言についてだ。まず「消費税減税」という発言が飛び出した時、政治において危機感を覚えているように感じた。弱者のための政治を訴える党として最も国民の負担となる税金である消費税を減税するという発言はこれまで避けてきたようだが、ようやく議場において触れたということは大きな意味を持つ。実際に行うか、減税法案を支持するかは別の問題だが、言うようになっただけでも今年の選挙の争点が何かということへの理解はしているように感じた。

さらに「共産党とは連立を組まない」という発言も大きな意味を持つだろう。野党共闘を掲げて、共産党などと協力する方向性でまとまっていたが、立憲民主党が選挙を前に蹴ってしまった形だ。

立憲民主党内には共産党と親和性のある議員が何人もいるのだろうが、地方で見ると協力できないところも多々あり、何よりも立憲民主党の最大支持母体である「連合」は共産党との協力に忌避感を示している。来月頭に投開票の都議選でも連合は共産党と立憲民主党の協力をしないように求めている。これは結局のところ、野党共闘の限界を示しているのだ。

・票は欲しいけど、金も欲しい

 共産党との立憲民主党が協力することによる立憲民主党のメリットは獲得できる票数が増えるということだ。共産党は党内の結束力が高く、組織力も高いので地方で野党統一候補となると票を得やすい。

しかし、最大の資金提供団体でもある連合の意見を聞かないというわけにはいかない。連合は枝野党首の消費税減税発言に対して「減税は必要ない」と牽制球を投げてきた。これは連合が、現在の行政と密接に繋がっているから起きる現象で、もはや労働者の代弁者ではなくなっている。このような中身のない惰性の産物が現状の左の勢力の現実なのだ。

・日本の左翼は変われるか

 未だに自由主義国内で共産党が一定の勢力を得ているのは日本くらいなもので、欧州では共産党は共産主義を捨てる宣言を行い、社会民主主義に方向転換をしている。日本ではこのようなことは起きず、結果として日本の社会主義政党陣営は共産党を頼りにしてしまうくらい中身のない陣営になってしまっているのは問題だろう。

ゆえに立憲民主党は党内の改革をして心機一転した動きを見せるか、連合が国民民主党などに乗り換えるかしないと変化は起きないように感じる。少なくとも今のままでは立憲民主党は日本の議会の動きを阻害する癌でしかない。

だが、今年の選挙で立憲民主党が野党第一党の地位から転落するということになれば、日本の議会における社会主義陣営の危機感からくる改革(変化)の機運は高まることだろう。私は彼らの支持者では微塵もないが、現在の悲惨なさまを見ると日本の政治のもろさを痛感し、悲嘆せざるを得ない。


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