常任理事国という夢
今日行われた日米首脳会談で話題になっている話というと「台湾防衛」と「日本の常任理事国入り支持」の二つですね。
「台湾防衛」についてはバイデン大統領の失言説も出ているようですが、今回は失言ではないと思います。
理由を書きますと、首脳会談前に両国の外務官僚(日本だと外務省・アメリカだと国務省)が綿密に打ち合わせをして決まったことを、首脳は会談という場を通じて確認・決定するのが通常です。
今回の「台湾防衛」はアメリカの今の立場を表明したという認識でいいと思います。どこまでするかという踏み込んだ発言はしてないですし。
さて、もう一つの話題である「常任理事国入り支持」ですがポジティブに捉えない方がいいです。なぜならありえない夢のようなことだからです。
・昔からあった話
日本の常任理事国入りの件ですが、20年くらい前からある話です。日本・ドイツ・ブラジル・インドの4国は常任理事国入りを目指して活動をしていました。
ですが、いろんな活動の甲斐なく日本は常任理事国入りできていません。
この理由を中国に求めてしまいそうなものですが、必ずしもそうとは限りません。中国以外にも反対する国はあります(例えば韓国とか)。
・なんで夢なのか
日本の常任理事国入りはなぜ夢なのか。バイデン大統領の発言を振り返ってみると「改革された安保理において」という「注」があります。
この改革が難しいのです。なぜなら国連改革は常任理事国の「拒否権」によって簡単に潰されてしまうからです。
日本が常任理事国入りをするとすれば、ロシアや中国の拒否権行使によって防がれることは当然予想できます。
ロシアに貸しはないですし(あっても返すような国でもない)、中国とは領土問題でもめています。このような状況でアメリカが支持をしてもリップサービスにもなりません。
・国連においてアメリカの味方は意外と少ない
国連は元々、大西洋憲章を軸に作られたので一見アメリカ優位な組織に見えがちですがそうではありません。
世界規模で見ると民主主義国は少ないですから、アメリカの重視する価値観「自由」「民主主義」を実現している国は加盟国の一部でしかありません。
安保理は拒否権の力が大きいので、対等であるように見えます。ですが、国連における影響力の強さは国連総会における議決の結果からわかります。
例えば、国連における中国の代表は中国国民党政権(台湾)か中国共産党政権のどっちかということを決めたアルバニア決議を確認すると賛成多数で中国共産党政権が代表権を獲得しています。
ヨーロッパやアフリカ諸国などにとって中国の代表がどっちであろうとどうでもいいのです。だから利益をくれる方に投票をする傾向にあります。
中国は最近アフリカ支援をしているので、国連の中には年々中国の味方が増えています。
詳しく知りたい方は「国際機関における中国の影響力」国立国会図書館(下のリンク)より確認してみてください。
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11651162_po_1144.pdf?contentNo=1
・台湾とか常任理事国入りの前にすべきこと
台湾防衛はアメリカを中心とする自由主義諸国においては重要なことですが、欧州は今回のロシア・ウクライナ戦争の影響でアジアを見ている場合ではなくなりました。
欧州は対ロシアとエネルギー問題が喫緊の課題であり、台湾は外交問題としては優先順位は低いでしょう。
日本の常任理事国入りという話も書いてきた通り夢です。拒否権行使ができる国と仲が悪い以上、どうすることもできません。
むしろ日本は国連とは別の場を通じて国際社会に影響力を持つべきだと言えるでしょう。サミットなどはいい場だと思います。
日本は国際社会で影響力を拡大するために再び「富国強兵」を真剣に考えなければいけません。経済規模の縮小は著しく、そろそろ中等国に支援をしている場合でもなくなってきました。
軍事・経済・人口、これらの問題にこれまでとは違った手法で対策をしないといけません。国民の一人一人が豊かにならない国は国際社会で立場を確立できるわけないのですから。
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