見出し画像

「金利」が示す「お金」の余り具合。

 ここ数年の「金利市場」を見て、日米欧中を人に例えると  

 中国 ー 怖いもの知らずの「若者」
 アメリカ ー バリバリの「働き盛り」
 ヨーロッパ ー もう「喰う」には困らない「お金持ち」
 日本 ー 「貯金」を取り崩して暮らす「年金生活者」

 こういう見立てになる。悲しいかな、日本「貯金」は持っているが今後の取り崩しは確実 "先細り" の未来を想像してしまう。

 「金利」の "3大要素" とは:

 ①景気・物価の温度
 ②お金の余り具合(=流動性)
 ③信用 e.g. 借金の返済実績

 例えば中国は、時間も欲しいものも一杯あって「借金」してでも手に入れたいが③信用がないので「金利」が高くなる「お金」があっても( "長生き" 以外)欲しいものがない日本とは対照的③信用はあるが機動的に事業の廃棄、起上げを繰り返す「働き盛り」アメリカとも様相は異なる。

 さて最近乱高下を繰り返す株式市場だが、②お金の余り具合に絞って眺めてみると "シンプルな理屈" に辿り着く。「お金」が足りない市場のパフォーマンスが悪い「お金」の足りない中国株が最も悪く「スティルス・テーパリング」の日本、「利上げ」に動いた韓国、イギリスと続く

 FRBの「テーパリング」「利上げ」ばかりに目が行きがちだが、忘れてはいけないのは、1月まで月+40億ドル(約4,600億円)の「資金供給」が続いていること2月は+20億ドル、3月にやっとゼロになるだけで、余った「お金」=ドルは回収されない「全部上がる」? "予定調和" の相場。|損切丸|note で年金の「リバランス」について触れたが、それはマーケットの一面に過ぎず、それで長期債が買われてしまうこと自体、市場全体でまだ「お金」が余っている証拠でもある。

 ただ市場は先を読んで動くので、保守的な「お金持ち」は「お金余り」で高騰した株を早めに「利確」しようとする。気の早い人なら2021年前半で処分したかもしれない。逆に引っ張れるところまで引っ張ろうとする投資家もいるだろう。何せこの「超マイナス実質金利」である。筆者個人の感覚では、BEI(予想物価変動率)↓ から察するに政策金利が少なくとも@2%に達するまでは株 → 米国債のまとまった「現ナマ」の移動は考えにくい

 この辺りは「割高感」など投資家によって判断が分かれる空前絶後の「過剰流動性」、そしてその後訪れた「インフレ」だけに、NYダウ▼5,000ドルなのか▼20,000ドルなのか、あるいは「ドルの通貨価値下落」の分、 "名目株価" の下落は抑制されるのか「調整」がいつ、どれだけのものになるか、誰にもわからない。それが現在の株の乱高下に繋がっている。

 同じ乱高下でも日本は様相が異なる。実は日銀は2021年3月の「金融政策の総点検」で 「お先に!」 ー 着々と進む日銀による「ステルス・テーパリング」。|損切丸|note など既に「お金」の蛇口を閉めている。今や 「お金」が足りない? ー 突然の「円」不足で日銀が9兆円も資金供給。|損切丸|note 状況になりつつあり、通りで日経平均のパフォーマンスが悪いはず。おまけに 「公的マネーが大株主 8割」 ー 日銀・GPIFによる「株買い占め」。なぜ今更 ”表沙汰” にするのか?|損切丸|note で市場流動性が低下しており、ちょっとした仕掛けで乱高下しやすい

 「お金」が足りなくなるとマーケットは荒れる

 これが市場のコンセンサス(共通理解)だが、今そのプロセスに突入している。足りなくなった「お金」は市場間で奪い合いが起きるリーマンショックがあった2008年以前の「普通」に戻る=「正常化」するわけだが、果たして ”ソフトランディング” できるのか。今回は ”スペキュレーション" ( Speculation、仕掛け)だけでなく、リアルに「物価上昇」が起きており、かなり舵取りは難しい。しかも今のところ "Behind the curve" (後手に回っている)。過去の例に照らせば「利上げ」幅は大きくなる

 そして「お金」が足りない影響を最も受けるのが、取引量、流動性の乏しい "Bold Markets”東証なら日経平均よりマザーズの売られ方が酷いし、相変わらず暗号資産市場も荒れ模様*通貨市場ならトルコリラがとんでもないことになっている

 *エルドアン大統領「預金の為替損失補填」という奇策に出た。なるほど、確かに国内のリラ預金者がドルに換えようとする「自家中毒」を防げるため、+30%上昇というビットコインもびっくりの急反発になった。本人は「してやったり」かもしれないが、これが「インフレ」解消など本質的解決に結び付くかかなり疑問再度リラ売りが強まった場合、国家は際限ない財政支出を迫られるため「デフォルト」が早まるだけの気もするが...。

 年末時期の薄商いということもあるが、2022年相場も荒れ模様を予感させる相場付きだ。高いボラティリティー(市場変動率)が得意なトレーダーは積極参戦するも良し、じっくり構えたい人は「休むも相場」もあり。「損切丸」的には FED の Dot Plot e.g. 2024年に@2.5%に利上げ、と米国債金利の示す「利上げ」幅 e.g. @1.5~1.75%で打ち止め、に大きな齟齬が見られるため、かなり "変な感じ" になっている。「お金」がなくなって突然「金利」が暴騰する可能性も含め、これからじっくり見極めていきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?