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「全部上がる」? "予定調和" の相場。

 "Sell the Rumour, Buy the Fact" (噂で売って事実で買え)

 この相場格言を地で行くように「材料出尽くし」NYダウもナスダックも反発低水準の金利が示すように、まだまだ「お金」は余っている

 昨日(12/15)FOMC後の声明文(全文+抜粋)↓ を検証してみよう。

Federal Reserve Board - Federal Reserve issues FOMC statement

 "In light of inflation developments and the further improvement in the labor market, the Committee decided to reduce the monthly pace of its net asset purchases by $20 billion for Treasury securities and $10 billion for agency mortgage-backed securities. Beginning in January, the Committee will increase its holdings of Treasury securities by at least $40 billion per month and of agency mortgage‑backed securities by at least $20 billion per month. The Committee judges that similar reductions in the pace of net asset purchases will likely be appropriate each month, but it is prepared to adjust the pace of purchases if warranted by changes in the economic outlook."

 1つ「訂正」をしておこう。「3月までのテーパリング終了」はまだしも、多くの*日本語メディアが「2022年に3回利上げ」などと "誤訳” を伝えているが、そんな「政策決定」はされていない「テーパリング」に関しても経済状況の変化によっては見直されるときちん書かれている。「利上げ」については、 "FED Dot Plot" (標題添付)が "予測" しているだけ

 筆者現役の頃から酷かったが、メディアの劣化が止まらない。最近は「ヒット率」ばかりを追って "事実" より刺激的な見出しに傾斜。株の騰落に関する記事などもネットや書き込みで「後付けの理由」「いい加減な記事を書くな」等等、散々叩かれている。これに懲りたのか、 "理由" を書かない記事も増えてきた(苦笑)。これでは「ヒット率」を上げるどころか、読者が減る一方。要は「信用」の問題だろう。

 確かに2年、5年の米国債からシミュレーション ↓ すると2022年内に政策金利は@0.75%まで上昇するFRBは市場を追認したに過ぎず、ドル金利に "サブライズ無し" が米株の反発に繋がったと考えていい。

 だが10年~30年を見ると "妙な事実" に気が付く"FED Dot Plot" では2024年に政策金利が@2.00%に達するという予想が支配的だが、現状の金利水準では政策金利は@1.75%にも達しないことになる。

  ”Conundrum” (謎)(by Greenspan) - これは一体どういう事なのか

 米国債に関して1つ気になる記事を見つけた。NY市場午後3時頃に決まって年金と見られる大量の米国債、それも長期債に買いが入るという

 なるほど...

 これは日本GPIF(年金投資機構)も同様だが、彼らは株、債券等の投資比率を予め規定している。だから株が急騰すると株の比率が規定値を超えてしまい、債券の買い増しが必要になる。これを市場では「リバランス」と呼ぶが、どうもこれが「異常に低い長期金利」の主因のようだ。

 金利に敏感なナスダックなどは「低金利」をテコに買われる部分もあり、これでは「全部上がる」 "予定調和" の相場になってしまう。裏を返せば国債、株が急落する場面では「リバランスの売り」で「全部下がる」 ...?。

 "That's Manipulated …" (それは人為的に操作されている)

 「損切丸」は本店からの日本の経済指標に関する問い合わせに、度々 "苦々しく" 答えた。国土交通省によるデータ改竄問題が世間を騒がしているが、**これは今に始まった事ではない。これではGDPが嵩上げされ、経済政策の効果があったかどうか検証もできない。そうでなくてもGPIF、日銀による ”買占め” で嵩上げされている「株価」にも齟齬が出る訳で、海外はおろか国内投資家も離れてしまうのも当然だろう。

 **筆者が再三指摘してきたCPIも同様。黒田総裁が認めてしまったが(苦笑)、現在の年+0.1%は携帯電話要因▼1.5%により「底下げ」(底上げの反対の意)されている。問題は調査対象を度々改定してCPIを「低め誘導」した結果「実質物価」との乖離が大きくなってしまった事。昨今の各種商品の値上げ幅は+5~10%で、家計の「物価」は+1.6%どころではないCPIをベースとして決まる「賃金」が「物価」に追い付かないはずである。

 最近は「上がらない日経平均」に業を煮やして米株に切り替える個人投資家も多い「円安」にもなろう。老婆心ながら米株については「リバランス」など "予定調和" にはご注意を。「全部上がる」相場などあり得ない

 我が国に関して言えば、過去に何度も裏切られているので若干の不安もあるが、今回の国土交通省の問題が「出直し」のきっかけになると信じたいまずは正しい情報を隠蔽・操作せずに公開する事「嘘つきは泥棒の始まり」そんなに難しいことではないはずだ。そうすれば日経平均にも買いが戻るし「円安」も止まる「信なくば立たず」という事だろう。

 

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