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アルゼンチンが示唆する「日本の未来」
”アルゼンチン大統領選、右派ミレイ氏勝利 中銀廃止主張”
またまたとんでもないニュースが舞い込んできた。アルゼンチンには自国通貨ペソも中央銀行もあるが、これを "廃止" するという。
「インフレには利下げ!」
こう言い放ったトルコのエルドアン大統領にもビックリしたが、今回もそれと同等かそれ以上の衝撃。やはり「戦争」が起きる時は世界中で「不幸」が蔓延。CPI@+143% ↓ なんていうのはやはりただ事では無い。
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新大統領は経済学者らしいので、このような「ハイパーインフレ」になった時点で「中央銀行」は不要と判断したようだ。ペソの代わりに米ドルをいわゆる「決済通貨」として用いる算段のようだが、カンボジアも自国通貨「リエル」を "無視" して実質「ドル経済」で回している。既に自国通貨への信用を失っているアルゼンチンやトルコ、レバノンも同様だろう。
「アルゼンチン経済研究」
こういうテーマが経済学の世界では取り扱われているらしい。世界恐慌(1929)まではGDP世界第5位の経済繁栄を享受してきた国が、その後の「大不況」「戦争」を経て「右傾化」「放漫財政」=バラマキの結果、デフォルト国家にまで転落してしまった。
とここまで書いてくると何だか "どこかの国" が思い浮かぶ。そう、良く引き合いに出されるのが「日本」だ。生活が苦しくて国民がやたらと「消費税減税」を叫び、票が欲しくて政治家がそれに答えようとする今の姿はまさに「ポピュリズム」。「美しい国」≓「右傾化」も似通ってはいる。それが行き過ぎるとどうなるか、アルゼンチンの例がよく示している。
「損切丸」は決して財務省の味方ではない(苦笑)が、最近立て続けに:
"特別扱い" じゃない「日本」ー 「円安」が迫る「普通の国」への変革。|損切丸 (note.com)
"ゆりかごから墓場まで" はもう無理。ー 「お金」の事ははっきりさせよう。|損切丸 (note.com)
なんて書いているのはそういう危機感から。できればイギリスの「ビッグバン」型の変革を望みたいし日本には潜在能力もある。だがタイミングを逸すれば「アルゼンチン化」の泥沼も有り得るわけで、マーケット、特に「円安」が発するメッセージには耳を傾けたい。
「 "ゴリラ" って何?」
いくら好きでも満腹のゴリラはバナナを食べない。|損切丸 (note.com)
ゴリラ(=キャリートレード)はバナナ(=ドル円)で満腹になったのか。|損切丸 (note.com)
最近の投稿で戸惑われた読者がいたかもしれない。確かに評判は今イチ。ただ相場に30年近く携わってきて「違和感」に助けられた事が何度もある。その事を "ゴリラとバナナ" で表現している。
今日(11/20)も東京市場で*ドル円が@150円近くまで突っかけたと思ったら、何も材料のない中であれよあれよと@148円台前半に。「違和感」が正しかった事になるが、こういうのは時として大相場に化ける。
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*今日は人民元の動きもおかしかった。外貨準備の米国債保有残高の漸減から推定して、こちらはおそらく「ドル売り介入」。米中首脳会談で「米国債売り」の了承でも取り付けたのだろう。これ以上の「お金」の海外流出は避けたいはず。
日本への旅行客数が「コロナ前」を超えたということは、それだけ世界中が「円が安い」ことに目覚め 旅行に行くなら「日本」。ー 貿易赤字解消 → ≓ 「円安」に歯止め?|損切丸 (note.com) となっている証拠。
FXでの「円」の需給でいうと、①日本旅行や②自動車等日本製品の購入による「円買い」と③金利差@5%のリターンを得るための「キャリートレード」による「円売り」がせめぎ合っている状況。
”Mrs.ワタナベ” やファンドが③「キャリートレード」で「バナナ」を貪っているうちは「円安」だが当然限界が来る=「お腹がいっぱいになる」。時間をかければ「あるべき値に戻る」。AIだろうがHFT(高頻度取引)だろうがその原理は変わらない。
この「円」に対する需要が続く限り「日本のアルゼンチン化」は絵空事に過ぎない。だがここでほっと安心して、例えば日銀・財務省が「利上げ」をしないという誘惑に駆られたり、エネルギー対策や経済構造改革で手を抜けば ”悪夢” は再現されることになる。**多すぎる銀行、飲食店、病院、大学等の整理統合という ”痛み” から逃げず、きちんと「お給料」の上がる世の中にして行く覚悟が必要だろう。
**筆者は英銀に努めていたから「英国礼賛」かというとさにあらず。確かにサッチャーが打ち出した改革は今の日本には参考にはなるが全く同じも考えもの。診察が数ヶ月待ちなのは現状も問題だし、知り合いは病気になったら日本に戻る、と明言している。要はバランスの問題だ。
物価も賃金も上がる「アメリカ型」と、どちらも上がらない「日本型」はどちらが幸せなのか。|損切丸 (note.com)
まあアメリカのように「お給料」は上がっても家賃がそれを上回るスピードで急上昇して、エリートがトレーラーハウスやテントでの生活を強いられるなんて馬鹿げた話もある。だが「日本の未来」もこのままではじり貧必至。「消費税減税」が果たして本当に正しいのか。政治家のみならず我々日本人全員が自問自答してみる必要があろう。そうやって初めて政治が動く。
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