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「通貨」って何だろう。

 (参照) 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ5 「お金」って何?|損切丸|note

  標題の「お金」、何かお判りになるだろうか?

 元・銀行員で専門家のはずの「損切丸」でも "0" の数が多過ぎてすぐに金額を答えられなかった。答えは「100兆ジンバブエドル」。この天文学的金額の紙幣も当時の価値はたったの@0.3円(300兆ジンバブエドル ≓ 1円)2015年には廃止になって米ドルと南アフリカランドを「法定通貨」とする経済(その後2019年には ”RTGSドル” )に移行している。

 ジンバブエでは2000年頃から選挙などの度に労働者の「賃上げ」要求に応えたり選挙費用を捻出するために「ジンバブエドル」を発行しまくった(どこかで聞いた話だなぁ…)。その結果「ハイパーインフレ」が起き、こんな "0" の多い紙幣が発行されるに至った。その仕組みは単純明快 

 「通貨」を10倍発行すれば物の「値段」は10倍になる。経済規模が大きいともう少し複雑になるが基本のメカニズムは同じ。例えば2020年日本で支給された「新型コロナウイルス感染症緊急給付金」一人当り@10万円、総額12兆円だが、これが仮に@500万円なら総額600兆円日本のマネタリーベース ≓「日本銀行券」+「日銀当座預金」↓ 1/31時点で647兆円だから、単純計算で「通貨供給量」が倍になり物価も倍になる理屈。

 もっとも現在の日本国債(JGB)の発行量は1,200兆円(含.短期国債)と現在のマネタリーベースの約2倍「バズーカ」前は128兆円=日銀券84兆円+当座預金44兆円@2013.1だったので「通貨供給量」は約4倍になった事になる。ある意味壮大な「社会実験」だったわけだが、ようやく実を結んで(?)「インフレ」になった。ただ無理をした代償が日銀によるJGB保有率50%超であり、その "異様さ" が際立つ。

 これは企業に例えれば自社株や発行社債の半分を自ら買い付けていることに等しいはっきりいって「自転車操業」だ。日本が「お金持ち」の「預金大国」だから成り立っているが、ジンバブエでは到底無理な芸当

 とどのつまり「お金」というのは単なる「紙切れ」あるいは銅などの「金属片」に過ぎない「国」の保証で担保されて始めて価値を持つ。その ”信用力” を巡って日々取引されるのがFX(Foreign Exchange、外国為替)であり「国」の株価とも言えるものだ。 ”信用” を失えば無価値に帰する極めて危うい「資産」天敵は「インフレ」「預金は安全資産」は銀行が創り出した "幻想" に過ぎず「お金持ち」はその事を熟知しているマーケットで「値段」が付いていないだけでその価値は日々刻々と変化しており、その "度合い" を測るのが「金利」というわけだ。

 つまり「お金」にとって "危険なサイン" は「通貨安」と「金利上昇」

 前稿.米CPIと新興国の「通貨切下げ」。ー 「利下げ」幻想の消滅がもたらすもの。|損切丸|note でも書いたが、世界中 "危険なサイン" で満ちあふれている。

 代表例が5年で価値が5分の1になった「トルコリラ」↑ 。「高金利」による景気後退を嫌った大統領が「インフレには ”利下げ” 」の独自理論で突っ走った結果とも言える。日本でも10%以上の「高金利」に吊られて「トルコリラ建債」を購入して大火傷を負った投資家が続出したが、「インフレ」被害の典型だろう。そんな苦境の中、追い打ちをかけるように大地震が発生すれば残念ながらドサクサの強盗、略奪が多発してしまう。5月の大統領選挙でトルコ国民はどういう "審判" を下すだろうか

 その他にも「インフレ」被害にあった国々は枚挙に暇がない

 実は「戦争」で最近 "優勢" が伝えられている彼の国も、FX、金利だけを見れば "劣勢" なのは明らか通貨は売られ金利は上昇に転じている「お金」が足りないのだろう。マーケットは嘘をつかない

 かかる状況を受けて既存の「法定通貨」に挑んだのが「仮想通貨」=「暗号資産」だ。エルサルバドルが「法定通貨」に指定したビットコイン(BTC)も一時@6万ドル超に暴騰したが現在は@2万ドル近辺。やはり ”信用” を醸成、維持するのはかなり難しい

 経済力があるからこんな派手な動きにはならないが、GDP世界3位の国の通貨が一時▼30%近く減価した「円安」もかなりの事態。そこに「金利上昇」が重なってきたのは "危険なサイン" と見て間違いない。対処方を間違えると大変なことになる。

 そして断トツ世界1位のアメリカで金利が+5%も上がるのも実は凄い事決済システムの高度化銀行の流動性+資本規制を厳格化したお陰で未だ "クライシス" に至っていないが、時が時ならブラックマンデーリーマンショック級の暴落が起きてもおかしくない。ただ「インフレ」は余談を許さないだけに、今後も「ドル安」「金利上昇」には気を付けなければなるまい。まずは今日(2/14)のCPIだ。


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