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日本の「インフレ」の行方 ー 問われる日本人の ”覚悟”

 10月CPI(年率) 総合 +3.3% 予想 +3.4% 前月 +3.0%
 コア(除.生鮮食品) +2.9% 予想 +2.4% 前月 +2.8%
 コアコア(除.食品・エネルギー)+4.0% 予想 +4.1% 前月 +4.2%

 日本のCPIはやれ「GOTO」「エネルギー補助金」だと(意図的に) "歪み" が生じているので正しい姿が掴みにくい、e.g., 「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。|損切丸 (note.com) 10月CPI「エネルギー補助金」効果が半減した事によって ”CPI引下げ効果” が▼0.5%まで低下、総合指数を押し上げている。

 「日本のインフレは "コストプッシュ" 。だから消費税減税すべきだ!」

 こういう言説が未だにネットで蔓延っている。だがもう一度良くCPIの中味を見て欲しい。コアコア>総合の状況がずっと続いている「デフレ」の時期はもちろんだが、実はこういう状況は希有。食品・エネルギーを除く物価上昇率+4.0%水準が続く(  標題グラフ)のだから、もうこれは "コストプッシュ" ではない。もちろん今は「デフレ」なんかではない

 ネットではどうしても ”犠牲者” の声ばかりになってしまうが、全体で見ると「お給料」はかなり上がっている。そうすると*人件費の影響を受けやすいサービス価格が上昇しコアコアが強く出る。現象としては欧米と全く同じで、要は「人手不足」なのである。

 最近驚いたのがホテル代の高騰。都内の1流ホテルで@5万円ぐらいがスタンダードだと思っていたが今や軒並み@8~10万円。それでも海外の旅行客にとっては ”格安” であり、ここでも「インフレ」の輸出が進む。圧倒的に住居人に有利な「借地借家法」で守られているため上がりにくかった賃貸家賃もさすがに影響を受け始めており、なかなか突破できなかった@4,000円/㎡の壁(東京)を抜けてきた。ゆっくりとだが "後追い" が進みそうだ。

 日本の「インフレ」の現状は2年前のアメリカと似てきている
 (参照)パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com)

 パウエル議長:「インフレは一時的(transitory)」 ≓ 植田総裁:「物価上昇率は@2%以下に徐々に低下」

 双方の味方をするなら、おそらくどちらも "本心" ではない政治的プレッシャーで本当の事が言えない状況だったわけで、最近ようやく「物価見通しの間違いを認めざるをえない」膨大なデータを抱える日銀「損切丸」程度の見通しを誤る事などない。知っていて嘯いたと考えるのが自然だ。

 だがやっと日本の政治状況が ”変化” してきた。「インフレ」「円安」による生活苦が選挙投票などの行動変化を促している財政赤字分を加味すると「国民負担率」が@60%に達する ”六公四民” 。これでは+5%程度の「賃上げ」では賄いきれない**「税金」が一部の利益団体に流れる構図を根本から変えられるか、大事な時期に来ている。

 **歳出110兆円のうち国債借換が約20兆円なので、税収+70兆円に対して▼20兆円「穴」が空いている。これをどうやって埋めるか。当然現在+20兆円を享受している側には大きな ”痛み” を伴うが、国民の側にもその ”覚悟” があるか、試される。財務省ばかり悪者にしていてはここから前には進めない。日経平均もドル円も、マーケットはその ”変化” に着目している。

 これは「金融政策」にも同じ事が言える。アメリカでモーゲージ(住宅ローン)金利が@7%になろうかと言う時期に、金利が+1~2%上がるだけで「破綻する」とか言っているようではどうにもならない「固定金利」か「変動金利」か。ー 「銀行」の立場から考えて見る。|損切丸 (note.com) 等、方法はあるのだからあとは ”覚悟” の問題。

 サッチャーが全てをぶっ壊したイギリス”Crush & Build” のアメリカのようなドラスティックな変革は無理でも、少しでも前を向く姿勢が問われる。「現状維持」にすくむ国民心理 ≓「デフレマインド」を政治に上手く利用されているのが今の日本。ただ、いくら我慢強い日本人でももう限界だ。

 「政治は国民の映し鏡」

 折しも@149円台でもみ合っているドル円。大袈裟でなく@130円に向かうか@160円に向かうか岐路に立たされている。マーケットは日本人の ”覚悟” を見ている。「減税」で英国債とポンドが暴落し退場を迫られたトラス英首相が記憶に新しいが「消費減税」を求めれば日本にも同様の結果をもたらすだろう。 ”楽あれば苦あり”「インフレ」に「減税」は御法度

 目先の利益に走れば、アルゼンチンが示唆する「日本の未来」|損切丸 (note.com) 「円安」は@160円では収まらなくなる危険をはらむ。昨日(11/23)トルコが+5%「利上げ」(予想+2.5%)して政策金利を@40%にしたが時既に遅し。リラはほとんど戻さず、金融政策の遅れがいかに経済にダメージを及ぼすか、如実に示した。 ”変化” するなら早い方がいい。 

 

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