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「ドル高問題」再び。ー 「ドル建債務」が重くのし掛かる。

 1月米個人消費支出価格指数(PCE、前年比) +5.4% 予想 +4.9% 前月+5.3% ← +5.0%
 コアPCE +4.7% 予想 +4.1% 前月 +4.6% ← +4.4%

 FRBが重視している個人消費支出価格指数(PCE)だが、もろに 米CPIの ”反転リスク” Ⅲ。ー 金融政策効果の ”タイムラグ” をどう読むか。|損切丸|note が裏目に出てしまった。いかに物価指標が遅効性でタイムラグがあるとはいえ、少なくとも「利下げ」を論じられる状況ではない

 これを受けて米国債は売り込まれ、年内「利下げ」はほぼ消滅政策金利 > 2年米国債の「逆イールド」も3ヶ月振りに解消した。ターミナルレート(政策金利の到達点)は@5.5%に上方修正

 この影響をモロに受けたのがFX(為替市場)。それでも「お金」のある「ユーロ」「フラン」北海油田を抱える「ポンド」はまだいい。FRBに歩調を合わせて「利上げ」出来る

 「お金」があるという意味では「円」も大丈夫なはず。だが頑なに「利上げ」を拒んでいるため@136円台まで再度「円安」が進んでいる。ただ、こちらも「金融政策の正常化」はいざとなれば明日にも可能であり、あとはタイミングと "覚悟" だけ。植田新総裁は就任早々いきなり正念場だ。いや、4月まで 相場は待ってくれない。- マーケットを信用しない日銀。|損切丸|note かもしれない。

 ここまでは騒ぐ程の事ではない。問題は「お金」の足りない国々。またも「ドル高」=「自国通貨安」で「ドル建債務」が重くのし掛かる

 例えば「戦争」でバカスカ「お金」を使いまくっている「ルーブル」。いくら資源が豊富といっても限度がある。明らかにおかしい:

 そしてその ”支援” に廻っている「人民元」「ルピー」「ランド」「リラ」も同様の売り圧力を浴びる。やはり「ドル」が足りない

 「香港ドル」については上限レート@7.8500で断続的に「ドル売り介入」を続けているが、これもどこまで「ドル外貨準備」が保つか。そろそろ ”ボディブロー” が効いてきそうな気配だ。一度「ドルペッグ」ダムが決壊すれば、案外この辺りから「黒い白鳥」が飛び立つかもしれない

 「円」と同じ様な動きをしてる「ウォン」も「お金」が足りないのがアキレス鍵このところ「円」より弱い。だから日本ににじり寄ってきている訳で、政治的に関係がこじれているだけに危うさも漂う:

 いみじくもインドのモディ首相が*「債務問題」に言及していたが、スリランカは既にギブアップパキスタンもデフォルト寸前。他人事ではない。

 2/22発表した2022年の世界の債務残高(名目価値ベース)は2015年以来7年振りに減少に転じた。主に先進国の債務が▼6兆ドル減って200兆ドルになったことで、全体では前年から約▼4兆ドル減り、298兆ドル(≓ 4京円)とわずかながら300兆ドルの大台を下回った。
一方新興国では借入コストの上昇などから債務が膨らみロシア、シンガポール、インド、メキシコ、ベトナムではそれぞれ過去最大規模の増加債務残高は98兆ドルと過去最高を更新している。

 鍵を握りそうなのが中国の「外貨準備」3兆ドルのうち米国債1兆ドルを除いた分は「一帯一路」政策の元、対外貸付に廻っていると目され、デフォルトで回収不能に陥れば深刻な問題になる。そうでなくとも国内の不良債権問題でアップアップなのに、とても国外債務まで免除する余裕などない。だから最近日本やアメリカに擦り寄ってきているのだろう。「ドル高問題」は結構堪えているはずだ。

 一方 ”金主” のアメリカ。こちらは「リーマンショック」の ”怪我の功名” なのだが、銀行の資本・流動性を厳格化したお陰で+0.75%×4回などという「途方もない利上げ」をしてもマーケットではクラッシュが起きなかった。現在のように不安定な国際安全保障環境下、「利上げ」「ドル高」を "飛び道具" として使えるメリットは大きい。これは立派な "武器" である。

 しかしそれも株価が値持ちすることが大前提「株至上主義」のアメリカでは株価下落は国の崩壊に直結する個人消費も生産活動も全ての経済活動の源泉は「株」。例えばNYダウが再び@30,000ドルを割るような事態に陥れば "武器" などと言っていられなくなる

  ”金主” のアメリカにも余裕がなくなれば、世界は 遂に始まった ”切り捨て” の時代と ”返ってきた円安” 。|損切丸|note に突っ込む「米中対立」の対決構図を鑑みれば、おそらく ”レッドチーム” をまず切り捨てる

 だが世界はマーベル(Marvel)漫画のような単純な「正義 vs 悪」の構造ではない。米中間の膨大な貿易量を考えれば、中国が潰れる時はアメリカも沈む。やられる方も黙っているはずもなく、新たな「戦争」だって起きかねない。「お金」で追い込まれれば何でもするのは万国共通。ここからは丁々発止のやり取りが繰り広げられる。

 とにかく「ドル高」が「債務問題」「デフォルト」と深く関わっていることは頭に入れて起きたい「投資」「相場」で最も気を付けなければならないリスクは「デフォルト」=破綻、倒産。株価や為替の変動や金利なんていうのは二の次だが、マーケットが発するサインだけは見落とさないように元金が無くなるような事態だけは避けるのが鉄則である。

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