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G7「最低法人税率@15%」合意は「日本化」の扉を開く?。

 やはり米国債の様子がおかしい10年で@1.60%割れも想定外だったのに昨日(6/8)は特段の材料もなく@1.52%まで低下@1.50%割れも伺う勢いだ。こうなると単なる「金利上昇の反動」だけでは説明が付かない

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  一体何が起きているのか?

 米中対立の ”お陰” で再度光が当たってきた ”G7” 。しばらく ”G20” と読み変えていただけに随分懐かしい響きだ(笑)。その中で米国債の金利低下と関連性がありそうなのが*「最低法人税率@15%で合意」だ。

 ちなみに法人税を安くして企業誘致を行っている代表がアイルランドの@12.5%当初アメリカはシンガポールの税率に並ぶ@17%を主張していたようだが、真ん中あたりで話をつけたようだ。

 これは「実質増税」でありターゲットはずばり「GAFA」。もっと正確には「GAFA」を筆頭とした「お金持ち」に対する「富裕税」だ。別のニュースでも納税ゼロの「超富裕層」について米国で税務調査が行われる旨報じられている。アメリカ(民主党)は本気なのか?

 「損切丸」では80:20で「インフレ」をメインシナリオに据えてきたが、その前提は100兆ドル単位の「お金」バラマキで「お金」>「もの」の状態が維持されること。事実、様々な「価格」が顕著に上昇している。

 この「需給インフレ」を止めるには余った「お金」を回収するしかない。その方法は①中銀による金融引締②財務省による増税の2通りだ。もし米国が「富裕税」に本腰を入れるなら②が実行される事になる。

 これは「財政健全化路線」であり「日本化」に扉を開く懸念もある。「インフレ一直線シナリオは修正を迫られ、筆者の心持ちも65:35に変化。そういう "空気" 米国債市場が読み取っているのかもしれない。

 普通米国債よりも物価連動債TIPS)とBEI(Break Even Inflation Rate、予想物価上昇率)に兆候がはっきり顕れている。一時@2.8%に迫った5年BEIは@2.52%まで低下 ↓ 。5/13.アメリカCPI@+4.2%の衝撃。↓ で "ガッツポーズ" をした後にこんな相場が来るとは...。泣く泣くTIPSの「損切り」に追い込まれたトレーダーも多かろう。やはり相場は怖い

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 一部 ”間の抜けた” メディア「5月米CPI(予想@+4.8%)の発表を控えインフレ懸念から株価が下落」などと的外れな相場解説をしているが、マーケットが見ているのは全く逆だ。

 株価も頭が重いが「インフレシナリオ」修正の直撃を喰らったのは「暗号資産」だろう。例えばビットコインBTC)。5月の急落局面で@$33,000辺りで上手く拾って@$40,000まで戻り "ガッツポーズ" していたら、気が付けば元本割れすれすれ。ちょっと ”汗” が出ているかもしれない。一時年初来運用成績が@+100%を優に超えていたBTCだが、気が付けばNYダウとほぼ同じ。これだけボラティリティーが高くて「危ない」のにこれでは割に合わない。悶々としている投資家も多いはずだ。

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 あまり大きく報道はされていないが、要注意なのは**「タックスヘイブン」(Tax Haven)に手が入る可能性だ。仮にこれが本当なら株は大幅な調整を免れない。ここには「アングラ・マネー」を含む有象無象の「お金」が渦巻いており、いわば「アンタッチャブル」。過去にも何度か話が出ては立ち消えになっている。それこそ ”死人” が出てもおかしくない「暗部」

 **投資銀行には ”Tax Arbitrage” (税制を利用した裁定取引)専門の部署が有り、毎年莫大な利益(=節税額)を上げてきた。国家間の税率の差を利用したスキームや「タックスヘイブン」をフル活用する。実際外資の発行する「高利回り仕組債」は「タックスヘイブン」が発行地になっている。

 アメリカ大統領選などに多大な影響力を持つ「富裕層」を本当に押さえ込めるのか不透明な部分も残る。反面「コロナ相場」で資産を大きく増やしたのも事実で、大型財政出動への感謝の証(?)として政府に一部返すのは有り得る話かも。何せNYダウなら9年間で約5倍。株価も▼$10,000ぐらいの下落を覚悟すれば「手打ち」の可能性もある。

 「ブラックスワン」があるとすれば中国の不良債権処理とデフォルトの行方。今日も米国債市場を無視するように10年国債金利は@3.15%にじわり上昇。実情が判らないだけにひたすら不気味ではある。

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 だが筆者個人としてはまだ「インフレシナリオ」は捨てていない。繰り返しになるが「物価循環」はそんな簡単にはひっくり返らない株や「暗号資産」の調整、あるいは米国債金利の急低下の場面はあるかもしれないが、現物の世界で「値段」が下がる流れ=デフレ=「日本化」になるとは思わない。実際今日(6/9)発表になった5月の中国の物価指数(年率)は:

  CPI @+1.3% (前月)@+0.9%

  PPI @+9.0% (前月)@+6.8%

 アメリカ政府と「富裕層」の「手打ち」も ”そこそこ” で済む蓋然性も高く、米中対立が続くなら「グローバリゼーション」復活もあり得ない。やはり相対的に「もの」の値段は上昇が続くのではないか。こういう局面こそ、あまり相場だけに振り回されずに「事実」(FACT)を見つめていきたい

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