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続・日本人にとっての「最適投資」2023。- 跳ねるか ”卯(うさぎ)年” 。

 日本人にとっての「最適投資」2023。- 円金利上昇で狭まる選択肢。|損切丸|note の続編。

 常に必要な ”ブーム” ”バブル” 2023 ー  見えてきたウォール街の ”狙い” 。|損切丸|note でウォール街の2023年の狙いを:

 ”欧米の景気後退とインフレの沈静化”

 ①原油、ガスなどのショート(売り)、価格下落
 ②エネルギー危機の和らいだ欧州株のロング(買い)
 ③ドル高終焉に伴う円や人民元の買い戻し
 ④経済正常化の恩恵で中国株買い戻し(含.香港ハンセン)
 ⑤ドル安に見合う分のNYダウ、ナスダック買い戻し

 と読んだ「損切丸」。ここまで「日経平均」はWTIと最下位争い

 2022年に大きく下落した中韓の株に遅れを取っており、日銀が画期的な ”利上げ” に動いて年初@129円台に突っ込んだ「円高」も進んでいない

 日本への投資は逆風? いや、筆者の見方はむしろ逆だ。

 "辰巳(たつみ)天井、午(うま)しり下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。 戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)は躓き、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる"

 毎朝「今日の運勢」を見てから出社していた「損切丸」”オカルト・トレーダー” などと仲間には揶揄されたが結構 "験を担ぐ" 。相場はやればやるほど「無常」を思い知らされるからか(苦笑)。

  ”神頼み” ということではなく、占いとか暦の類いは一種の「統計学」と捉えている。現実に「高島暦」だけで売買いをするトレーダーもいるそうだから、意外と馬鹿にならない。これはチャートを頼りに売買をするトレーダーにも言えるが、「理屈」より「サイクル」が影響することも多い。12年周期とかフィボナッチの「黄金比率」1:1.618とか、下手に「理屈」に拘るより "当たる" 事も多い やられた苦い経験から)。

 今年は「卯」(うさぎ)年「統計学」で言うと、①天井の「辰」+27.9%②繁栄の「子」(ねずみ)+22.8%③固まる「亥」(イノシシ)+16.8%に次ぐ歴代4位の+16.3%(  標題)。悪くない年回りだ。

 ややこじつけ気味になってしまうが、今回は日本を取り巻く環境が整ってきている。筆者は現政権の支持者では無いが、 ”異次元” かどうかは別にして「新時代」を迎えようとしているのは間違いない

 ”ファストリ、最大で年収4割上げ 国内従業員、人件費15%増”

 耳を疑うようなニュースが流れた。「賃上げ」も+5、6%なんてみみっちいものではなく、ユニクロが最大+40%引上げるという。確かに正社員の比率も低いし、低サラリーの社員なら年収400万円→560万円なので全体では大した事はないのかもしれない(発表では+15%の人件費上昇を予想)。

 それでも日本を代表するリーディング・カンパニーの動きは大きな影響がある。世界的に事業を展開する企業だけに、やはり「安過ぎる日本」に目が行ったのだろう。トヨタパナソニックのように中国やアメリカに大々的に工場を展開していると、インフラごと移動させるのはそれ程簡単ではないが、同じ業務なら「日本で担った方が安い」現象が起き始めている。

 「安過ぎる日本」に注目するのは何も国内企業だけでは無い。1,000億円かけて千葉にデータセンターを作るグーグルなど*日本への投資に乗り出す外資は相次いでいる。最近では外資製薬会社のテレビCMがやたらと増えているのも気になる。

 筆者が投資銀行に身を置いた22年間は全く逆の流れ。とにかく「脱日本」。筆者が転職した当初、アジアは「東京支店」「Ex-Tokyo」(東京以外)に分けられていたが、その後シンガポール、香港への業務の移転が進んだ。アジアのハブはシンガポール支店となり「東京」を吸収日本の「失われた30年」と合致している。筆者が退職する2016年頃から香港の日本株業務の ”東京返り” が起き、既に流れは反転している。

 アマゾンなどのトップ企業やウォール街も数千人~1万人規模の「大リストラ」を始めているが、その内何割かは「東京」への業務代替ではないか。「脱中国」を目指す中、当然 "安くて質の高い労働力" に注目しており、日本の人材獲得競争は熾烈を極めそう。日本企業にもそういう "危機感" が芽生え始めており、政府の「賃上げ」要請はまさに渡りに船、という訳だ。

 ”東京の消費者物価40年8カ月ぶり@+4%台”

 大谷選手の大リーグ記録ではないが、最近日本の「インフレ」指標は30年、40年振りが相次ぐ。東京のCPI@+4%台は「バブル」まっ盛りの1982年4月@+4.2%以来。面白いのはアメリカの動き、e.g., ↓ CPI, BEI(予想物価率)、を1年遅れで後追いし、金利の方向性が逆向きになることだ。

 株価が「インフレ」の先行指標になるなら、2021年の@36,000台から▼8%下落しているNYダウはそれを反映しているが、同じく▼8%下落している日経平均はこれから ↑ 、という解釈も成り立つ。

 日本のCPIは政府のエネルギー補助金で▼1%下がると堂々と唱えるエコノミストがいるが、これは「インフレ」の経済学的解釈が誤っている補助金は補助金であり「インフレ」の趨勢には何の関係も無い財政悪化要因と捉えればむしろ「インフレ」を加速させる要因2023年には「人手不足」が深刻化し「賃金」が上がるのは確実な情勢で、いくら ”見た目” を繕っても「インフレ」の騰勢は制御できない

 そうなると鍵を握るのは金利、特にJGB(日本国債)の動向になる。

 円金利で1つ面白いのはTONAR(無担保コールO/Nレート)↓

 @▼0.01~▼0.02%で安定推移していたが、昨年11~12月に突如@▼0.05~▼0.08%に急落。不思議に思っていたが、12月の「YCC金利+0.25%引上げ」で合点がいった。マーケットでは ”予想外” となっているが、**日本の「銀行村」では周知されていたと推定できる。

 **日々のモニタリング等において「おたくは金利が上がっても大丈夫?」というような問いかけがなされていれば、あとは日本特有の「あ・うん」金利上昇に備えて銀行が保有JGBを売ったり円スワップをPayしたりしたため手元の「お金」が余ってTONARが急落。短期金利市場では金利上昇局面でしばしば見られる動きだ。

 ”低金利、いつまでも続くわけではない=斎藤・財務省理財局長”

 財務省はさぞや金利上昇を嫌がっているかと思いきや、既に局面は違う方向に展開しているようだ。***金利上昇を覚悟したような理財局長の発言だが、これにはどうも "裏付け" がありそう。2022年10~12月に大幅な税収増が見込まれ、ある程度の金利上昇は吸収できる物価が上がれば当然「消費税」も増え「お給料」が上がれば「所得税」も増える2021年度には過去最高の67兆円だった税収も2022年度は70兆円に届きそうな勢いらしい。

 ***仮に日銀が「利上げ」に動いても+1.0~1.5%程度は想定内。海外工場を展開して「円高ヘッジ」も出来ている今、構造的に国内の「円買い」需要は限定的ドル円も@120円を割り込むような事態は想定し難い

 ようやく「経済成長すれば税収も増える」の当たり前に戻りつつあり、悪くない傾向だ。防衛費少子化対策で相変わらず「財源、財源」と喧しいが、その実は少しでも税金が取れれば御の字、ぐらいかもしれない。優秀な財務官僚はその辺り把握しており、裏で ”振付け” しているはず。

 色々書いてきたが、様々な要素を考え合わせると「日本投資」の低調スタートはかえって好機。 一味違うクリスマス2022。|損切丸|note でも書いたが、不動産市場や消費の現場を見ると昨年の冬のボーナス以降、明らかに雰囲気が変っている。やはり「お給料」が上がる事の心理的インパクトは大きい。懐が暖かくなると、人は前向きになる。

 念のために…。「損切丸」自身は日本株などを大量に買い込んでいるわけではない。影響力も無いので余り心配してもしょうがないが「風説の流布」なんて咎められるのも嫌なので。まあ「日本買い」に関しては自宅があるのでウェルカムではある(苦笑)。もっとも銀行に在籍していればいればこういうSNSの発信は「コンプライアンス違反」に当たるので不可能。金融機関系のエコノミストなんかは仕事、やりずらそうだなぁ...。少し同情。


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