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「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉Ⅱ。 ー 「引け」の雰囲気の悪さ。

 「ここまで下がるとさすがに戻すか...」

 たまたま早起き(それも凄い早起き。笑)して見ていた1/20のNY株式市場NYダウも一時+500ドル近く上がり、昨年までなら半ば常識だった「押し目買い戦略」を思い起こさせたが、「引け」の動きが違った最後の1時間で株価はあれよあれよいう間に下げ、何と終値は▼300ドル以上下落かなり雰囲気が悪いナスダックはこれで年初来▼10%近く下げている。

 「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉。 ー 2年米国債は@1%越え。|損切丸|note でも指摘したが、大枠は「利上げ」「過剰流動性解消」に伴う動きと考えられるが、あまりにも ”出来過ぎ” 。少し穿った見方をすると:

 ①企業決算の悪化
昨日ならNetflix(ナスダック)の決算が悪かったようだが、株価は既に年初来▼15%近く下げている。ただ他にもゴールドマンサックスなど投資銀行のトレーディング不調サプライチェーン混乱による業績悪化も顕著だ。

 ②1/21のSQ(特別清算指数)
NYダウのSQは毎月第3金曜日
で、大量の先物やオプションの建玉がその精算値を巡って "大激突" 。売り手優位で価格が押し下げられた可能性。

 ③AI取引、プログラム売買
株式市場では既に高速度取引(HFT、High Frequency Trading)やAI取引によりプログラム売買が主流になりつつあり、一定の法則で一方方向に動きやすい。人間と違い、あまりためらったり踏ん張ったりしない

 ④ウォール街による「利上げ」反対運動
「利上げなんてするなら株売っちゃうよ」という投資銀行業界から政権への "陳情"、悪く言えば "脅迫" 。 ↑ ③AIプログラム「売り」にバイアスをかけたりできるはず。

 ⑤戦争リスク
ロシアによるウクライナ侵攻が明日(1/22)にも始まるという見立てまである。欧米ではナチスドイツの「ポーランド侵攻」を想起させ、「北京オリンピック」≓「ベルリンオリンピック」となぞらえる向きもある。 "平和ボケ" の日本とは大分「リスク感度」が違う

 まあ技術的要因を挙げればきりが無いが、それだけ相場がベア(売り方向)に傾いている証拠。さすがに米国債も反発(金利は低下)し、「3月+0.50%利上げ」を織り込んでいた金利水準は「+0.25%」に押し返された

  *⑤戦争リスクを考えれば「質への逃避」(Flight to Quality)という事になるが、元々 ”失策” からスタートしたバイデンーパウエルコンビの「インフレ退治作戦」は "砂上の楼閣" だ。国民の生活や海外経済よりも、今は大統領選の中間選挙で頭が一杯株価の下落がインフレより選挙に不利と判断すれば、コロリと「作戦」を変更するだろう。

 *アメリカの安全保障政策については、やはりアフガニスタン撤退の失敗が尾を引いている。あれを見て中国、ロシア、北朝鮮が強く出て来ているのは事実だろう。マーケットが「抑止力」を疑問視するのは当然だ。

 とにかくアメリカが不安定だとマーケットは荒れる株価下落阻止で一時的に「利上げ」を停止してもいいが、そうすると今度は「ハイパーインフレ」が襲ってきてかえって状況を悪くするかもしれない日本も他国のことを言えた義理ではないが、極単に言えば「アメリカのトルコ化」の懸念すらある。とかく「不要な低金利」が破滅的な結果を招いてきたのは歴史が証明している。今の "指揮官" と "消防士" コンビでは何とも心許ない

 2022年前半は少なくとも辛抱の時が続く。株等の投資資産は昨年までのように「どこで買うか」ではなく、「どこで売るか」に集中すべき**「どうせ戻るでしょ」の感覚で毎月積み立て「ガチホ」(相場が下がってもずっと持ち続けること)、「ほったらかし投資」下げ相場では無理なナンピン買いと同じであり、かなり辛くなるかもしれない。

 **「どうせ戻るでしょ」的な感覚は実は日本人特有" Trend is Friend" (流れに付け)を主流とする欧米、特にアングロサクソン下がるのを覚悟で「ガチホ」したりはしない台風や大雨を凌いで秋に実りを祈る農耕民族と違い、目先狩れるものは狩っていく主義。例えばNYダウ2年後に36,000ドルに戻るとしても、売り相場のさなか30,000ドル割れを覚悟して33,000ドル台で買い向かう日本人の「腹切り」スタイルは理解し難い(苦笑)。それだけ相場が動くなら売買を繰り返す方が「機会損失」が少ないと考える。

 今日(1/21)も日経平均は朝から▼500円以上下げ@27,000円に迫りあれほど勢いのあったドル円もあっさり@114円割れ。こうなると日銀がちょっとETFを買ったぐらいではどうにもなるまい(そもそももう十分な「お金」もない)。⑤戦争リスクまであるのならやむを得ないが「損切り」、良くて損失穴埋めの「レパトリ」(Repatriation)の嵐が吹き荒れそう

 長く日本人が欧米の投資銀行の食い物になったのを見てきた「損切丸」的には、同じ事が起きるのはもうたくさん。キツい書き方になったが、少なくとも筆者は日本人の味方です(笑)。どうぞみなさんご無事で。


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