![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70361880/rectangle_large_type_2_fa8bb6fff1e8ce2c43b889fb666cf9fb.png?width=800)
「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉Ⅱ。 ー 「引け」の雰囲気の悪さ。
「ここまで下がるとさすがに戻すか...」
たまたま早起き(それも凄い早起き。笑)して見ていた1/20のNY株式市場。NYダウも一時+500ドル近く上がり、昨年までなら半ば常識だった「押し目買い戦略」を思い起こさせたが、「引け」の動きが違った。最後の1時間で株価はあれよあれよいう間に下げ、何と終値は▼300ドル以上下落。かなり雰囲気が悪い。ナスダックはこれで年初来▼10%近く下げている。
![](https://assets.st-note.com/img/1642726739367-M42B3mku0v.png?width=800)
「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉。 ー 2年米国債は@1%越え。|損切丸|note でも指摘したが、大枠は「利上げ」「過剰流動性解消」に伴う動きと考えられるが、あまりにも ”出来過ぎ” 。少し穿った見方をすると:
①企業決算の悪化
昨日ならNetflix(ナスダック)の決算が悪かったようだが、株価は既に年初来▼15%近く下げている。ただ他にもゴールドマンサックスなど投資銀行のトレーディング不調やサプライチェーン混乱による業績悪化も顕著だ。
②1/21のSQ(特別清算指数)
NYダウのSQは毎月第3金曜日で、大量の先物やオプションの建玉がその精算値を巡って "大激突" 。売り手優位で価格が押し下げられた可能性。
③AI取引、プログラム売買
株式市場では既に高速度取引(HFT、High Frequency Trading)やAI取引によりプログラム売買が主流になりつつあり、一定の法則で一方方向に動きやすい。人間と違い、あまりためらったり踏ん張ったりしない。
④ウォール街による「利上げ」反対運動
「利上げなんてするなら株売っちゃうよ」という投資銀行業界から政権への "陳情"、悪く言えば "脅迫" 。 ↑ ③AIプログラムも「売り」にバイアスをかけたりできるはず。
⑤戦争リスク
ロシアによるウクライナ侵攻が明日(1/22)にも始まるという見立てまである。欧米ではナチスドイツの「ポーランド侵攻」を想起させ、「北京オリンピック」≓「ベルリンオリンピック」となぞらえる向きもある。 "平和ボケ" の日本とは大分「リスク感度」が違う。
まあ技術的要因を挙げればきりが無いが、それだけ相場がベア(売り方向)に傾いている証拠。さすがに米国債も反発(金利は低下)し、「3月+0.50%利上げ」を織り込んでいた金利水準は「+0.25%」に押し返された。
![](https://assets.st-note.com/img/1642725936133-ZkNvxWLSi4.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1642726013533-ZUHhv3HULE.png?width=800)
↑ *⑤戦争リスクを考えれば「質への逃避」(Flight to Quality)という事になるが、元々 ”失策” からスタートしたバイデンーパウエルコンビの「インフレ退治作戦」は "砂上の楼閣" だ。国民の生活や海外経済よりも、今は大統領選の中間選挙で頭が一杯。株価の下落がインフレより選挙に不利と判断すれば、コロリと「作戦」を変更するだろう。
*アメリカの安全保障政策については、やはりアフガニスタン撤退の失敗が尾を引いている。あれを見て中国、ロシア、北朝鮮が強く出て来ているのは事実だろう。マーケットが「抑止力」を疑問視するのは当然だ。
とにかくアメリカが不安定だとマーケットは荒れる。株価下落阻止で一時的に「利上げ」を停止してもいいが、そうすると今度は「ハイパーインフレ」が襲ってきてかえって状況を悪くするかもしれない。日本も他国のことを言えた義理ではないが、極単に言えば「アメリカのトルコ化」の懸念すらある。とかく「不要な低金利」が破滅的な結果を招いてきたのは歴史が証明している。今の "指揮官" と "消防士" コンビでは何とも心許ない。
2022年前半は少なくとも辛抱の時が続く。株等の投資資産は昨年までのように「どこで買うか」ではなく、「どこで売るか」に集中すべき。**「どうせ戻るでしょ」の感覚で毎月積み立てや「ガチホ」(相場が下がってもずっと持ち続けること)、「ほったらかし投資」は下げ相場では無理なナンピン買いと同じであり、かなり辛くなるかもしれない。
**「どうせ戻るでしょ」的な感覚は実は日本人特有。" Trend is Friend" (流れに付け)を主流とする欧米、特にアングロサクソンは下がるのを覚悟で「ガチホ」したりはしない。台風や大雨を凌いで秋に実りを祈る農耕民族と違い、目先狩れるものは狩っていく主義。例えばNYダウが2年後に36,000ドルに戻るとしても、売り相場のさなか30,000ドル割れを覚悟して33,000ドル台で買い向かう日本人の「腹切り」スタイルは理解し難い(苦笑)。それだけ相場が動くなら売買を繰り返す方が「機会損失」が少ないと考える。
今日(1/21)も日経平均は朝から▼500円以上下げ@27,000円に迫り、あれほど勢いのあったドル円もあっさり@114円割れ。こうなると日銀がちょっとETFを買ったぐらいではどうにもなるまい(そもそももう十分な「お金」もない)。⑤戦争リスクまであるのならやむを得ないが「損切り」、良くて損失穴埋めの「レパトリ」(Repatriation)の嵐が吹き荒れそう。
長く日本人が欧米の投資銀行の食い物になったのを見てきた「損切丸」的には、同じ事が起きるのはもうたくさん。キツい書き方になったが、少なくとも筆者は日本人の味方です(笑)。どうぞみなさんご無事で。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?