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昭和・戦前期を知りたいときに頼れる文庫本とAudible

自分用の備忘録も兼ねて、昭和・戦前期がよく分かる資料を紹介します。書籍とAudibleの兼用です。


資料①『日本の歴史 23 帝国の昭和』有馬学(講談社学術文庫)

もともとは2002年に刊行された日本の歴史シリーズが文庫化されました。その中で1924年(大正13)から1945年夏までを扱ったのが「帝国の昭和」。最初はあったはずの政党政治がいつの間にか「挙国一致」内閣になるプロセスや、社会変容について政局を絡めながら細かく解説しています。

個人的には p.161 からの「マルクス主義と歴史観」の項がとても参考になりました。歴史学でも経済学でも政治学でも必ず通る「マルクス主義」について、なぜ当時の人たちにとって「必須科目」となったのか述べられています。自分の意見を考える際に、まずここで構造を知って、ここをガイドにすれば他の資料に当たりやすいと思います。

文庫本になっても1500円近いのがネックですが、買う価値あり。

資料②『昭和経済史』中村隆英(岩波現代文庫)

これも元は1985年の講義録に加筆して刊行されたもので、2007年に文庫化。語りで理解してもらうコンテンツがベースなので読みやすいです。全7章中1〜3章で終戦までを扱っています。

昭和史というとつい政治や軍部との関わりが注目されがちですが、その背景の経済状況はどうだったのか。当時は何がネックで、内閣や軍は何を改善したかったのか。逆にどの分野の調子が良かったのか。経済の視点から新しい景色が見えてきます。

Amazonで調べると新刊では買いにくいようです。そうなのか。良い本なのにな。

資料③『昭和史 1926-1945』半藤一利(平凡社ライブラリー)

これも2003年に刊行したものが2009年にライブラリー化。1945−1989のシリーズ後編とともに、昭和通史として一度は読んでおいたほうがよい本。元が授業形式の語り下ろしなので「複雑怪奇」な話も頭に入りやすいです。どちらかといえば軍部と政局に関する情報が厚い内容。

これだけだと抜け落ちてしまう情報について、資料①と資料②で補足するような使い方をしています。

資料④『昭和史』講義 半藤一利 Audible版

資料③の語り下ろしを、そのまま完全ノーカットで配信開始という太っ腹なコンテンツ! 文庫本をテキストにしながら一緒に聴くと、細かい人名や組織名をノートに取らずに済むので便利です。

昭和の始まりから終戦までの20年しか語っていないのですが、それでも全18回というボリューム。半藤さんの江戸弁の切れ味が最高です。1930年生まれで当時を知っているからこそ、半ば冗談めかした語り方もできるのだなと思います。パーマネントの人をからかった話なども当事者ならでは。

語られているのは以下の18項目です。それぞれ1時間くらいあります。

日露戦争に勝った意味/張作霖爆殺と統帥権干犯/関東軍の野望、満州国の建国/五・一五事件から国際連盟脱退まで/陸軍の派閥争い、天皇機関説/[二・二六事件]大股で戦時体制へ/[日中戦争]盧溝橋事件/国家総動員法、ノモンハンの悲劇/米英との対立、ドイツへの接近/ひた走る軍事国家への道/ドイツのソ連進攻/太平洋戦争開戦前夜~運命の御前会議/太平洋戦争開戦前夜(2)」~「ニイタカヤマノボレ 一二〇八/真珠湾攻撃からミッドウェーへ/ガタルカナル・インパール・サイパンの悲劇から特攻隊出撃へ/ヤルタ会談、東京大空襲、沖縄戦、そしてドイツ降伏/ポツダム宣言受諾、終戦/[むすび] 昭和史二十年の教訓 全18回

Audibleのサブスクで聴いています。長い話ですがもう何周したことか。聴くたびに発見があるので油断できません(笑)リンクは1回目の分です。

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迷ったら上記の資料に立ち返るようにしています。昭和・戦前期の基本事項を確認するのに便利です。

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